【映画感想】スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け/ふろしきのたたみ方

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スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 映画

幼い頃に父が録画した『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』を魅せられ、地上から数十センチ浮き上がって走るスピーダーを現実だと思い込み、そんな世界はまだまだ先だよと大人に笑われてから随分と時が流れた。

「もう過去の遺産など忘れて、思いっきり新しいことを好きにやればいいのに」

そう思っていた僕にとってエピソード7はまさに願っていたとおりの展開だった。過去作のオマージュや懐かしいキャラクターを取り入れつつも新世代の息吹を感じた。神秘性を失ったフォースの定義も忘れられて新しい解釈で再定義できる余裕すら生まれた。ジョージ・ルーカスから離れ、ディズニーの潤沢な予算もあるのだから、今までとは異なる新たなスターウォーズへの期待が高まっていった。

なのにエピソード8になると急に風向きが怪しくなってきた。旧作を意識しすぎたのか設定が窮屈になった上、数々の新しい取り組みも強い説得力を持たなかった。ローズの行動だって原作小説を読めば納得はできるけど(姉への強い思いが映像では表現されてなかったりする)どれも驚くようなオチにつながるほどのインパクトがなく、唯一レイの正体だけが最後の希望として最終章に引き継がれた。嫌いじゃないし応援したい、でもスケールばかりが大きくなって、おいこれどうまとめるんだよ、という不安のほうが大きかった。

もう何年前だったか、かつて僕が所属していた会社がIT関連の仕事を請けることになった。内容はそれほど大変ではなく古くなったシステムをそのまま新しく刷新するというものだった。当初はそのままの契約で引きるける予定だったのに、担当していた営業とプロジェクトリーダーが抜本的な改革を突然打ち出し受注金額を2倍近くに引き上げた。大ぶろしきは無限に広がり続け、メンバーが次々に増員され、納期だけはそのままに大プロジェクトが動き出した。

ところがシステム開発は意外なところから崩壊した。増える一方のコストを削減しようとしたのかリーダーが独断でハードウェア費用を削ってしまい必要最小限の構成すら揃えられなくなっていた。プロジェクトメンバーからの指摘を受け顔面蒼白になったリーダーは次の日から姿を消した。自律神経失調症で休職、とだけ連絡があった。

残された僕たちは、納期までに間に合わなければ全国ニュースになりかねない致命的な失態を避けようと、顧客を強引な理論で説得し、頭を下げ、広げたふろしきを可能な限り縮めていった。リーダーが消えたことで逆に一致団結したプロジェクトメンバーは文字通り不眠不休の作業で乗り切り無事にシステムは稼働を迎えた。ちなみに僕は直後に急性胃腸炎で病院送りになり1週間ほど身動きが取れなくなった。

エピソード9を観ながら、その当時のことを思い出していた。宇宙のように広がり続ける大ぶろしきを、J・J・エイブラムスは中身をボロボロとこぼしつつも必死に畳もうとしていた。あのときのあのシーンは実はこういうことなんです、あの設定ににはこのような理由があるのです、と周囲に頭を下げつつ1つ1つの質問に対して答える監督の姿が見えた。それは僕たちがクライアントを宥めながら強引に締めくくった手法に驚くほどよく似ていた。

正直言うと映画の結末は想像を超えるほどではなかった。エピソード7の公開時に、すでに似たような予想を立てているファンもいた。でも僕は内容よりもふろしきを畳みきった監督の努力に拍手を送りたくなった。どんな物語も終わらせられなければ物語にはならない。達成感に浸る監督の姿と、「もう二度とやらねーぞ!」という怒声が同時に聞こえた気がした。

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