【F1 2019】第17戦日本GP/一度触れたらずっと思い出

台風一過の真っ青な空。1年前に見た、モニターの向こうの景色を今でもまだ覚えてる。熱狂、落胆、パワーユニットの咆哮と、この手で直に触れたサーキットの感触。また同じ場所で、新しい歴史が作られる。今年は家の中でまったり観戦。でも全身で体験した思い出は一生消えたりしない。

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魂は彼の地へ

モニターの前で、祈る。シグナルブラックアウトと同時にイスからずり落ちそうになりながら、バルテリ・ボッタスが先導することになった隊列が、全車無事に帰ってきますようにと見守る。

オープニングラップ、ホンダ応援席の目の前でマックス・フェルスタッペンがイン側のシャルル・ルクレールと接触してコース外へ押し出され、スタートからわずか数十秒で勝利の可能性を絶たれてしまう。とびきり大きな悲鳴が耳を突く。ターン2の飛び込みでイン側に付けば奥目のエイペックスに辿り着くまで加速を我慢する時間がもどかしく、焦って早めにスロットルを開ければ外へ外へと流されてしまうからルクレールの気持ちもわかる。コース幅も狭いのでアウト側から仕掛けるのは危険だと誰もが承知しているだろうけど、前に出たいと思う気持ちを止められないフェルスタッペンの気持ちもわかる。幻のファイナルラップではセルジオ・ペレスとピエール・ガスリーが同じように接触してしまうし、ほぼ全開で飛び込むターン1よりも、そのぶん制動が難しくなるターン2のほうが重要なポイントなのかも。

次に訪れるのはS字の連続コーナー。左、右、左、右。一度リズムを崩してしまうとデグナーあたりまで立ち直れない、ルイス・ハミルトンでさえ最初は苦労した区間。ここの走りが鈴鹿で一番美しいと思う。今度行くときはこの辺が見える席を取りたいな。その先は左に上りながらのダンロップコーナー。後輪に荷重がかかるから前輪の操舵が効きにくく、曲がらずに外に飛び出してしまいそうになる。昨年はザウバーのマシンが予選で飛び出して行ったんだっけ。ちなみに昨年の初観戦ではこのコーナーの内側にいました。

次に待ち構えるのがデグナー。デグナー1では内側を縁石に乗せて浮き上がったタイヤが着地する場所に、黒いゴムの跡が生み出される。マシンの挙動を落ち着ける間もなく下りながらのデグナー2。完成間もない鈴鹿サーキットで真っ先に転んだデグナーさんは、今どんな気持ちなんだろう。

今度は上り坂になって右にステアリングを切りつつブレーキングからのヘアピンコーナー。ここも上りが続いてて、モニター越しに伝わる以上に曲がりにくく、かつ内側に巻き込みやすい場所なんだと思う。

ようやく忙しい区間も落ち着いて緩い右のマッチャンコーナーを全開で加速。その先にあるのはスプーンカーブ、左→左の複合コーナー。ターン1、2の逆バージョンみたいな嫌らしい組み合わせなのに、ルクレールがガスリーをオーバーテイクするときの阿吽の呼吸が素晴らしすぎて全然危なっかしさが感じられない。この辺での観戦も楽しそう。

ようやく長い長い西ストレート。デグナーの出口付近から見上げると、立体交差の高さがよくわかる。その先には度胸試しの130R。実は85Rと340Rの複合らしいけど今更そんな名前にされても困る。

最後に待ち受けるのが噛まずには言えない日立オートモティブシステムズシケイン。序盤で接触して早々にリタイアになったフェルスタッペンの代わりに期待がかかるアレックス・アルボンが果敢に攻めてマクラーレンのランド・ノリスと軽いコンタクト。正直2台同時に飛び込んで接触せずに抜くとかイメージが湧かない。並ばれたら諦めてください。そしてホームストレート。スタンドからの声援が聞こえるだけで涙が出るほど胸が熱くなる。

まるでサーキットにいるかのように、映像と記憶が結びついて物語が生まれる。今年のF1を象徴するルクレールは優勝から遠ざかってしまってもオーバーテイクショーで観客を魅了し、フェルスタッペンの代わりにアルボンとガスリーが奮戦する。5.807kmを53周、お気に入りの選手が目の前を通り過ぎる時間は、もしかしたら合計しても1分ないのかもしれない。なのに、1年経ってもこんなに幸せな気持ちでいられるなんて不思議なものだと思う。

優勝はバルテリ・ボッタス。でも気持ちはずっとベッテルに傾いたまま。スタートの失敗もあったけれどハミルトンを抑えての2位表彰台は、ようやく彼らしい走りを取り戻したように見えた。ごめんなさいボッタス。

もう一度、日本グランプリを見られる日は来るんだろうか。わからないけれど、見られなかったとしても魂だけは毎年鈴鹿に飛んでいってしまいそう。

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