【F1 2019】第16戦ロシアGP/原点と現代の対峙

F1ロシアGP
Photo by Pascal Richier on Unsplash

想像を上回るマシンの進化で復活への期待が高まるフェラーリ。予選での快進撃は止まらず、シャルル・ルクレールはこれで4戦連続ポールポジション。メルセデスへの反撃の意気込みと「俺たち」への不安が交差する日曜日。

決勝になっても勢いは変わらずフェラーリが優勢で、スタートから綺麗に飛び出したルクレールの後ろにはセバスチャン・ベッテルがきっちり付いてルイス・ハミルトンを寄せ付けない。ベッテルはスリップストリームの加速を使ってルクレールの前に出ると、ゆるーいターン1を過ぎた先、直角に右に方向転換するターン2でルクレールの前に出る。

ベッテルの後ろからカルロス・サインツも、良い空気の流れに乗ってハミルトンに並びかける。さすがにオーバーテイクは無理だったけれど、オープニングラップからターン2までの流れがいかに重要なポイントになっていたか良くわかる。そんな序盤の戦略が完璧に決まりワンツー体勢のフェラーリが序盤の流れを完全支配。ちょっと上手くいき過ぎて、きっとビノットさんは逆に不安になってたんじゃないだろうか。

舞台となったソチ・オートドロームは直角コーナーでの急減速が多く、高速ロングコーナーもあったりして肉体的に大変そうなサーキット。ターン2の先はぐるりと半円を描くターン3、4の高速左コーナー。中速域が安定したマシンじゃないと地獄みたいになる見せ場をトロ・ロッソのマシンが華麗に駆け抜ける姿が目に映る。弧を描き終えるターン5からは公道サーキットっぽい人工的な直角コーナーの連続区間。ターン10からのDRS区間を過ぎると再びカクカクとしたコーナーの連続で、オーバーテイクし易そうに見えて難しい。中低速コーナーが多いこの場所でフェラーリが優勢だなんて正直予想していなかった。それだけマシンの性能が良く、勝利に最も近い場所を締めている。でも敵はメルセデス。油断を誘っているかのような落ち着いた佇まいに気づかずに、フェラーリは戦略としてベッテルをこのまま勝たせるか、計画通りルクレールを前に戻すか、そこばかり考えていたんじゃないだろうか。

ピットイン直後のベッテルのリタイア、そのタイミングですかさず動いたメルセデス勢がミディアムからソフトにタイヤを交換。この機会が訪れるのを知っていたかのような対応。フェラーリがチーム内しか見ていなかったのとは反対に、メルセデスは勝つことを常に見据えていたのが伝わってくる。後手に回ったフェラーリも遅れてタイヤをメルセデスに合わせるけれど、その時点ですでに後手に回ってしまい勝負あり。一応フェラーリはルクレールが3位表彰台には入ったけど見た目以上に両者の差が大きい印象。

フェラーリからはF1の原点みたいな純粋に速いマシンと良いドライバーで勝とうとする姿を感じるし、一方メルセデスは現代F1の頂点というか、ドライバーもマシンも勝つための要素の1つと考えて勝利のために必要なプロセスを遂行しようとする姿勢がある。

フェラーリの戦略が下手くそって評価はわからなくもないけど、これはこれでいいんじゃない?って段々思えるようになってきた。異なる時代のチームが同じ土俵で戦ってるようなもんだからロマンもあるし、あえて時代に逆らって古き良き思想を貫こうとする意思にも憧れるし、いろいろ言われても応援を続ける人たちの気持ちがようやく理解できるようになった気がする。きっとストレスも多いだろうけど。

昔F1が好きだった頃に強かったベッテルも調子を取り戻して来ているみたいだし、ルクレールという新キャラも登場したし、もうちょっと気持ちを込めてフェラーリというチームを応援してみようかな。

あんまり時間がないとDAZNの配信を見返して機微を追うこともできないので、どうしても優勝争いの部分ばかりになってしまいますね。ベスト・オブ・ザ・レスト(トップ3チームを除いた中の首位)も面白いので、そこにフォーカスしたカメラを用意して欲しいです。

スポンサーリンク