【F1 2019】第15戦シンガポールGP/強く、切なく

シャルル・ルクレールの存在が、弱いフェラーリの姿を猛々しい姿へと変えていく。だけど、ドライバーとチーム、それぞれの思惑はどこかちぐはぐで、とても脆く見える。そんな薄氷の上の勝利を手に入れたのは、チャンピオン争いの最適ルートからコースオフしてなかなか帰ってこれなかった人。

表彰台の真ん中に、おかえりなさい。

あれ、今日はなんだか調子いいんじゃない?

フリープラクティスから好調だったセバスチャン・ベッテルが渾身のアタックで予選トップを狙う。だけど現在の力関係をたやすく打ち壊すことはできなくて、あっさりとチームメイドのルクレールが、そしてメルセデスのルイス・ハミルトンが彼のタイムを上回りフロントローを固めてしまう。調子が上がっても3番手。これが今の序列。仕方がない。

だけど決勝のレースペースは悪くなくて前半はしっかりとポジションキープ。タイヤ交換のタイミングが迫り、他のチームがハードタイヤで好タイムを出し始めるとお互い様子見の上位勢の中でベッテルが先んじて動き出す。

戦略が当たって快調に飛ばすベッテルを見て、ルクレールもすぐにタイヤを交換したかったのかもしれない。でもフェラーリは展開が変わってもどちらか一方を確実に上位でフィニッシュさせようと、リスクを取らず作戦を分けてきた。単に迷っていただけかもしれないけど。自分の望む戦略を選びたいならチームメイトよりも先に主張するのってフェラーリドライバーならでは、って感じがする。ルクレールはタイムの落ちたタイヤで走り続けてからピットストップを終えてみれば、その間にペースを上げたベッテルに前に行かれてしまってる。ベッテルに先手を打たれてしまい割を食った形だ。今後はルクレールも自分の取りたい戦略をガンガン主張し始めるかもしれない(このメモを書いてるときはまだロシアGPでの出来事を知らないのでした)。

結局ベッテルの戦略がうまくいったので、ベッテルをサポートするように回り始めたフェラーリ陣営。得られた結果はチームとしては最高のワンツーフィニッシュなのに、これからの終盤戦はエースと新鋭、常にどちらかの顔を立てなければならなくなりそうな不安な空気が残ってしまったのでした。

ベッテル1年ぶりの勝利は、人によってはルクレールに譲ってもらった1勝に見えてしまうのかもしれない。それでも自分の力だけじゃなくチームを味方につけて勝つあたり、さすがに百戦錬磨の強者なのだなと思う。

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