【F1 2019】第14戦イタリアGP/気づいたら、王子じゃなくて王だった

シャルル・ルクレール。その名前からして優美。まだあどけなさの残る表情と爽やかスマイル、羨望のモナコ出身、ドライバーとしての類まれなる才能、他者の運命すら背負って戦う姿、ときおり醸し出すダークなオーラ。そして2019年シリーズに与えられたのは伝統の真紅のマシン。映画や小説でも敵わないくらいのパーフェクト王子様ステータス。

だけど彼は一日にして王になってしまわれました。

勝つために、というよりは、予め定められた勝利を実現するために走っているみたいだ。

ルクレールが駆るフェラーリのマシンと、パワーユニットの組み合わせがモンツァ・サーキットの特性にガッチリとハマってる。ストレートでの伸びが他チームとは桁違い。最終コーナーを立ち上がると、後続のマシンを置き去りにしてホームストレートを駆け抜ける。その先にあるオーバーテイクポイント、バリアンテ・レティフィーロの2つのシケインでは誰ひとり並びかけることを許さない。

クルバ・グランデの高速右コーナーを抜けると2つ目のシケイン、バリアンテ・ロッジアが姿を見せる。ここの飛び込みではルイス・ハミルトンに追い詰められるシーンもあった。それでも意地の張り合いで一歩も引かず、反則スレスレのドライビングで相手を押し出しても悪びれる様子など微塵もない。チームからの無線で忠告があっても「それが何か?」と受け流す。

右、右と連続するレズモコーナーを過ぎてしまえば、フェラーリのマシンにとってはもはや安全地帯。左、右、左と続く3つバリアンテ・アスカリの先には最終コーナーのパラボリカが待っているだけ。誰がどんなに追いすがろうとも立ち上がりのパワーで一気に引き離せば、勝利にまた一歩近づく。

チームメイトのセバスチャン・ベッテルがスピンしてレースを台無しにした後、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスの2台に追われる不利な状況に追い込まれたルクレールは、次々と迫るプレッシャーを跳ね除けて首位を守り抜き悲運のベルギーに続いての2勝目をゲット。自身のミスでも戦略ミスでもなくハミルトンが攻めあぐねるのを見たのは今季初めてかもしれない。

しかもハミルトンとの攻防でちょっと弱いとこ見せちゃうとか完璧な勝ち方じゃないところが逆に完璧すぎる。フェラーリの母国イタリアで勝利!ってだけでも十分なのに「逆境に打ち勝って」とか「友の思いを背負って」とかソフトバンクでスマホを契約した直後みたいに「優勝」のひと言におびただしいオプションが付きまくっていて、もうこれ絶対解約不可。表彰台で手を上げれば、王子どころか「わが民よ!王国の繁栄を約束しようぞ!」って叫ぶ王様みたいになってるし。

ルクレール、すごいんだけど背負ってるものの大きさが気になって、今季はいいとしても来季のプレッシャー凄そうだなぁ、と心配になってしまいました。でも、それすらサラリと受け止めてチャンピオンになれそうな人なんだけど。

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