【映画感想】ドッグマン/今生きてるこの世界が地獄かもしれないし

ドッグマン
(C)2018 Archimede srl – Le Pacte sas

先日、cocoさんの試写会で鑑賞させていただいた 『ドックマン』 が本日8月23日から公開です。なんとも不気味で後味も最悪、なのに最後は感覚が麻痺して逆に気持ち良くなってしまう、得体の知れない力を持った作品でした。

いやでもこれ、今の社会そのものじゃないか。

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ドッグマンみがヤバい

あぁ、僕がこんな所に住んでら心が荒んでしまう。そんな寂れた町に住むマルチェロさんですが、犬好きで優しそうで自分のお店「ドッグマン」も持っています。でも彼にはシモーネという悪友がいて、他人からの頼まれごとを断れないマルチェロさんはことあるごとに悪事に巻き込まれてしまいます。

そしてシモーネの要求に答えるたびに1つ、また1つと大事なものを失っていきます。どこかで止めなければいけないのに、振り切れない負の連鎖を断ち切れないまま従い続けてしまうのです。

まるで飼い主に忠実な犬のように。

「ドックマン」と名付けられたお店には客から預かったたくさんの犬達がいて、檻の中から人間たちの一部始終を見つめています。ときに真実を見透かすかのような瞳で、あるときは汚らわしい何かを見下すような瞳で。本当に檻の中にいるのは犬?それとも人間なのではないでしょうか。

究極のジャイアニズム

悪友シモーネの行為はとどまるところを知りません。

「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの、その他も全部俺のもの!」

と言わんばかりにマルチェロさんだけでなく、周囲の人間までも不幸に陥れるのです。人のつながりを大事にする小さな地域社会の中で、シモーネとの縁を切れないマルチェロさんは板挟み。個としての幸せだけでなく、隣人とのつながりまでも破壊されていくのです。

ジャイアンの半分は優しさでできてると思うけど、シモーネは純粋な欲望の塊。所有物への異常な執着心と破壊衝動。いわば究極のジャイアニズム。その行き着くところに幸せなどありません。

自らの欲望を満たすため、他人に理不尽な要求を押し付ける人は日本の社会の中にも存在します。彼らが考えているのは己の利益だけであり、その理不尽さの犠牲になる人達の苦しみを理解することはありません。そんな人に出会ってしまったら同情してはダメです。相手は人を傷つけても心が痛まないんですから。ヤバい人だと判断するのが難しいところですけど。

嘘をつかず、誰も騙さず、ただささやかに生きていたいだけなのに、そんな人間を食い尽くす生き方が豊かさを享受できる時代。だから僕らは社会のありように疑問を持ち、同時に生きづらさを感じてしまうのかもしれません。

最後に衝撃の結末が

限界まで追い詰められたとき、マルチェロさんは意外な行動に出ます。

はっきり言って作中でもマックスに狂っていて恐ろしい場面でしたが、この頃には精神が崩壊してしまって「ムフ、ムフフ…」と変な笑いが止まらなくなっていました。そして虚しさと同時に開放感に包まれるという不思議な体験。押しつぶされそうになった心を救うには、こんな結末しかないのかもしれませんね。

なんだか地獄みたいな映画でした。でも現実もたいして変わらない。どう表現すればよいか悩んでいたら、すっごくしっくり来るメッセージを見つけました。

「今生きてるこの世界が地獄かもしれない(元乃木坂46 橋本奈々未さん)」

映画『ドッグマン』公式サイト

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