【F1 2019】第12戦ハンガリーGP/ガスリーの憂鬱

2019年8月13日

F1ハンガリーGP
Photo by Pascal Richier on Unsplash

いったい何が悪いんだ?という心の声が聞こえてきそうな嘆きの走り。見えないはずのヘルメットの下の、苦虫を噛み潰したような表情がたやすく想像できてしまう。いやほんと、どうなってるの?これって。

誰もが主役の一騎打ちに夢中になっていて、でもその影ではその主役の1人と全く同じマシンを駆るドライバーが苦悩の中にいた。

33周目から始まった胃を締め付けるような苦行。5位のカルロス・サインツを追うピエール・ガスリーのギャップタイムが、カメラには映らない激しい戦いを伝えてくれる。ペース自体はガスリーの方が上で、ジリジリと詰めてDRS圏内へ迫っていく。2台の差が1秒を切るとタイム差が更に激しく揺らぎ始める。いよいよ前に出たのか?と思ったところで今度は2秒程までタイム差が一気に開いてしまう。前を塞がれて必要以上に減速を余儀なくされてしまったのか、それとも冷却が必要なのか、とにかく立て直しまでに数周を要することになる。そして再び2台が近づいていく。また離される。こんな光景が何度も何度も繰り返される。

オーバーテイクの難しいハンガロリンク。相手は非常にクレバーなサインツで、彼のマシンは今季好調のマクラーレン。2戦連続で接触リタイアという最悪な事態は避けなくてはならないからドイツGPでのクラッシュがなければもう少し攻められるのに、という意識もきっとあるのだろう。それでも首位を走るマシンと同じ乗り物だとは思えないくらい勢いがない。

本人の望むほどのマシンパフォーマンスは出ていないのかもしれない。それでもマシンが悪いと言えるほど遅いわけでもない。現に何度も追いつくことはできているのだし。全く映らないライブ映像の代わりにカナダGPで散々見せつけられた光景が脳裏に蘇る。マシンを信じられないから思い切ってコーナーに飛び込めず、立ち上がりでは不安定なリアの挙動を気にして思い切りスロットルを踏み込めない、もどかしい姿。いくら優秀なサインツとはいえ、トップチームのマシンで、70周までレース半分以上も同じやり取りを続けてしまうのは見ていて心が痛い。

ガスリー本人も、もうどうしていいのかわからなくなっちゃってるんだと思う。散々走り込んでも慣れないし、セッティングをいくら詰めても結果に現れない。それでいてフェルスタッペンのセッティングで走ったら同じくらいのタイムが出ちゃうんだから、今までの苦労は何だったんだろう?ってなる。

僕自信もグランツーリスモSPORTをプレイしていて、千分の一秒でも速くなりたいと思ってセッティングを変えてみたりもするんだけど結局正解がわからなくて、諦めて全部戻してみたらあっさりベストラップを更新してしまったりってことが何度もあったりする。こうなってしまうと後は単純に自分の力量不足なのでひたすら走り込むしかない。だからガスリーにもレッドブルの広報任務をやっている時間があったら一秒でも多くシミュレーターでの練習とかに注ぎ込んで欲しいんだけど、残念ながらルーキーにそんな余裕は与えられないのが悲しい。

果敢に攻めるシーンを今季はほどんど見ていない。手負いのセバスチャン・ベッテルやトップ3以外のオーバーテイクはもういらない。実力と将来の可能性を認められたからこそレッドブルのドライバーになれたんだし、足りないのは、後は自信だけなんだと思う。なんて考えていたらガスリー降格のニュースが。

正直悔しいけれど、今一番見たいのは自由自在にマシンを駆る姿。 古巣でもう一度腕を磨いて、返り咲いて欲しい。その前にトロロッソ・ホンダのドライバーとして表彰台に上がってもらいたいな。

だけどトロロッソでも結果を出せないとしたら…なんて想像は今はやめておきます。

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