【F1 2019】第11戦ドイツGP/なぜツルツルは人を幸せにするのか

速く走るには速いマシンに乗れば良い。そんな現代F1の鉄則に天候が水を差す。雨なの?違うの?予測不能なレース展開が教えてくれるのは、チーム全員の底力でした。

ウェットコンディションなどお構いなしに早くスタートしたいドライバーのプレッシャーを浴びながら、コースギリギリを果敢に攻めるセーフティカー。3周の先導の後にようやくスタンディングスタートで始まったグランプリは全員手探り状態の大混戦。スタートと同時に舞い上がる水煙。早速波乱が起こりレッドブル勢が沈んでいく。2周目にはセルジオ・ペレスのクラッシュでおかえりなさいセーフティカー。

予選と違って暑くない。降ると思ったらそうでもない。インターミディエイトを使うにはちょっと乾きすぎ、ソフトタイヤで走るにはちょっと濡れすぎの路面。最終コーナーには罠でも仕掛けられているのかな?と思ってしまうほど次々とドライバーが飛び出してはカーリングのストーンみたい流れていって姿を消していく。ほんの0.1秒ブレーキが遅かったとか、ほんの数センチ、アウト側により過ぎたとか、それだけの些細な違いで運命が変わってしまうんだからレースって怖い。

強いだけじゃ勝てない、ドライバーの技量とチームの判断力が生きるウェットレース。その中で光っていたのはマックス・フェルスタッペン。ミディアムタイヤではスピンしてたけど、その後の走りはとても落ち着いていて、滑りやすい微妙なコンディションへの対応力が誰よりも高かった。普段からリアがセンシティブなマシンで何事もなく走ってしまうくらいだから当然って感じなのかも。チームの方も5度のピットストップを一度としてミスすることなく無事に送り出し、最後の作業では1.88秒という最速記録まで達成。全員が勝つためだけに仕事してるから勝てたんだっていう理想形。

そして予選のトラブルで20番グリッドからスタートしたセバスチャン・ベッテルはじわりじわりと順位を上げていく。メルセデスでさえ采配に苦しんでいるのに、何度も発生するタイヤ交換の度に順位が入れ替わる目まぐるしい展開の中で何一つ間違わず前に進む。時間をかけて悩むより瞬間的な判断で戦略を決めていった方がスムーズなのが、これまたフェラーリらしい。

結局はフェルスタッペン、ベッテルというトップチームが1、2位に立ってしまったけれど、その後ろにはダニール・クビアトとランス・ストロール、そしてカルロス・サインツJr.と荒れるレースが大好物そうな面々が勢揃い。混乱の中で勝ち上がってくる人たちって、みんなここぞってときの強さを持ってる人たちなんだなぁ。チームも彼らの仕事に応えてこその結果だし、チーム全員台風が来るとワクワクしちゃうタイプなのかも。

それにしても、なぜツルツルのレースがこんなに楽しいんだろう。表彰台上の結果だけならそれほど予想外ではなかったような気がするけれど、普段とは違った対応力を見せてくれたり、いつも余裕のあるチームがオロオロしたり、関わっている人たちの表情が違うからなのかもしれない。

いっそのこと年に3回くらい、ツルツルのタイヤでレースしてくれると面白いのかも。そのときだけ勝っちゃう人とか現れたりするのもまたご一興ということで。

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