【フォーミュラE 2018-19】第6戦 三亜E-Prix/勝負は見えないところで決まる

Photo by Pascal Richier on Unsplash

2019年3月23日(土)にフォーミュラE 2018-19(シーズン5) 第5戦三亜E-Prixが開催されました。場所は中国、海南島の最南端に位置するリゾート都市、三亜市。

ガチャガチャしたレース展開で強く記憶に残ったのは、たった一瞬の出来事でした。

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たった一瞬の出来事が全てを変える

東シナ海に面した中国のハワイと呼ばれるその地はまるでリアルシムシティ。しかも最初は勢いで作ったものの途中で方向性を失って投げ出した感まで伝わってくる妙に高い再現性。

トラック長は2.236km、橋を利用した長いストレートが特徴の特設ストリートコース上には21台のマシンが並ぶ。いつも予選は速いニッサン・e.damsのオリバー・ローランドが初のポールポジションを獲得。反対にチームメイトのセバスチャン・ブエミはブレーキトラブルとペナルティでピットからのスタート。いつものようなダミーグリッドからのシーケンスとは違ってフォーメーションラップ付きのグランプリ。

フィニッシュラインから離れたターン9からスタートした隊列は複合コーナーのターン10をほぼ直角に右に向きを変え、ピットレーン入り口のあるストレートと通って最終ターン11を左に旋回し、短いホームストレートに戻ってくる。その先にあるターン1〜4を除けばストップ・アンド・ゴーの連続。ただ各コーナーの幅が狭く感じられてオーバーテイクは簡単ではなさそう。

トップグループはローランドを先頭にジャン=エリック・ベルニュ(DS・テチーター)、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(BMW i・アンドレッティ・モータースポーツ)、ダニエル・アプト(アウディ・スポーツ・アプト・シェフラー・フォーミュラEチーム)、アレクサンダー・シムズ(BMW i・アンドレッティ・モータースポーツ)の5台が数珠つなぎ。ベルニュは常に軽い牽制を仕掛け、ローランドは余裕を持って対応しているように見える。

レース開始から約25分が過ぎた頃。ルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・スポーツ・アプト・シェフラー・フォーミュラEチーム)がアタックモードの起動を失敗しまくって注目を浴び、トップ争いから意識が離れた矢先のこと。

首位を走るローランドのすぐ後ろにベルニュがそっと忍び寄る。前を攻める様子でもなく、むしろ3番手のダ・コスタの方が勢いがあり、彼に追われているかのようにすら見える。だけどそうじゃなかった。ターン8、橋を超えた先のヘアピンから静かにベルニュが加速する。何かが起こる予感がする。

緩やかなターン9、勢いを付けたベルニュのマシンがダ・コスタを少し引き離す。後方の憂いを断つには十分な距離だ。そして走行ラインをセンターに移動させる。ローランドのミラーには彼の金色のマシンが見えたはずだ。すぐにベルニュはラインを元に戻して、ただの牽制だとローランドに思わせる。

ターン10をクリアする。ベルニュが立ち上がりで一気にマシンを寄せる。ターン11への飛び込みでローランドのインに飛び込む。あっという間に順位が入れ替わる。カメラもベルニュの動き出しを全く捉えられていなかったから、誰もが意表を突かれたに違いない。

ベルニュが本気の速さを見せたのはこの一瞬だけだった。

その後はアンドレ・ロッテラー(DS・テチーター)とシムズとの接触でセーフティカーが入り再スタート。そこからのベルニュは経験豊富なドライバーの顔を見せる。後ろのローランドの攻撃を封じ込める微妙な距離。ローランドが攻めに転じてもフランス人らしく優雅にラインを塞いで完璧な防衛体制。

今までの暴れん坊のイメージを覆すにエレガントなドライビング。一瞬の速さと、経験によって得た強さでの完勝は、昨シーズンのチャンピオンが今季6戦目にしてようやく手に入れたシーズン初勝利。クラッシュや謎のペナルティも多いレースだったけれど、僕の心はベルニュだけで一杯になってしまった。派手じゃなくてもいい。背筋が凍るようなあの瞬間をもう一度味わいたい。

おわりに

相変わらずの大混戦で、チャンピオンシップ争いも6戦で6人の勝者が誕生するカオスっぷり。だけどやっぱりタイトルを背負ったドライバーは強いですね。

次は早くもシーズン折り返し地点となる第7戦ローマE-Prixは4月13日(土)開催です。お楽しみに!

YouTube配信動画

三亜E-Prrix 決勝フル配信動画

三亜E-Prix 決勝ハイライト動画


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