【フォーミュラE】シーズン5 第3戦サンティアゴE-Prix/灼熱の10分間

2019年2月15日

2019年1月26日(土)にフォーミュラE シーズン5(2018/2019)サンティアゴE-Prixが開催されました。 場所はチリの首都サンティエゴ、チリで2番目に大きい公園パルケオヒギンスを周回する特設サーキット。

すっかり当たり前になってしまった超接近戦に今回も熱くなりました。

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元チャンピオンの苦悩

ようやく手応えを感じた。プラクティスからリズムを掴み、予選では2位のセバスチャン・ブエミに0.5秒以上の差をつけてのポールポジションだった。新しいシーズンに入ってこれまでの2戦は同じe-tron FE05を駆るエンビジョン・ヴァージン・レーシングが好走しているというのに、ワークスチームのアウディが結果を残せないのは不甲斐なかった。

ダスティな路面も味方になった。派手なドライビングスタイルのジャン-エリック・ベルニュらにとっては走りにくいコースだったのかもしれない。こういう路面では堅実な走りができるドライバーの方が強い。やはり、というか当然のようにセバスチャン・ブエミも速い。彼も丁寧な走りをする選手だ。

昨シーズンは前半の不調が長引かなければドライバーズタイトルも狙えたはずだった。6戦目までろくに戦えなかったあの頃に比べれば3戦目でポールポジションを獲れた今年は2度目のチャンピオン獲得に向けて良いステップになるだろう。

いや、なるはずだった。

その機会はバカバカしい規定によって打ち砕かれてしまった。インラップでブレーキの使用が多かったからといってタイムに何の影響があるというのだろう。しかも今大会直前にサプライヤー側の理由で追加された全くレースには関係のないルールではないか。こんなことでポールポジションのレースを最後尾からスタートしなければならないなんて。

プロフェッショナルとして、ルールに則ったペナルティなら従わなくてはならない。だが同じような理不尽を何度も味合わせるようなことがあってはならない。                  

降格の理由について

降格になった理由は予選のタイムアタック時よりもインラップ中により多くのブレーキを使用したことにあるとされています(下の訳は then の部分が than の誤りだと思われます)。

di Grassi was found to have used his brakes more in the “inlap” during Qualifying then in the flying lap without any reason.


Di Grassi disqualified from Qualifying, Buemi on Pole in Santiago(FIA Formula E)

規定違反とされた条項27.9にはFIA指定サプライヤーのインストラクションマニュアルに常に従うこと、とだけ記されており詳細は不明です(文頭の Its は It の誤りだと思われます)。

Its is mandatory to follow the instruction manual from the FIA-designated supplier at all times.

FIA Formula E Championship – Sporting Regulations 2018 – 2019(FIA)

ベテランの意地

レースは残り10分を切った。ブエミのクラッシュで労せずして首位を奪えたが簡単には勝たせてもらえそうにはない。サイドミラーにパスカル・ウォーレインの白と赤のマシンが映る。まだデビュー2戦目のルーキーらしい思い切りの良い走りからは、鏡越しに熱い闘志が伝わってくる。

後半になってバッテリーの残量が厳しくなるのはわかっていた。4番手スタートからオープニングラップでダニエル・アプトをオーバーテイクし順位を上げると、前を行く首位のブエミと彼を追うウェーレインのペースは速かった。後半までバッテリーを温存すれば取り返しのつかない可能性があるので序盤からプッシュを続けた。加えて35度を超える暑さだ。人間にもバッテリーにも酷な環境だった。ウェーレインはアタックモードを利用して早めに仕留めたが、その後は差を広げることはできなかった。

残り5分。背後からのプレッシャーの強さが跳ね上がる。アタックモードに入ったらしい。加速スピードが段違いに速い。こっちは2回分のカードを既に使い切っている。あとはテクニックで凌ぐしかない。ここからが正念場だ。

ホームストレートからのターン1。後ろから迫ってくる。インサイドに飛び込まれないように内側を締める。インベタになっても駄目だ。マシン0.8台分ほど。飛び込めると惑わせ、しかし入れない程度に空けておく。ウェーレインがアウトを全開で駆け抜けていれば前に出られていたかもしれない。だが一瞬の躊躇がそのチャンスを封じた。

ターン2からは小刻みなコーナーが続く。下手にラインを変えたりせず隙を与えないように逃げる。オーバーテイクポイントではないからテールに食いつかれても焦らず対処すれば抜かれない。ほんの僅かだけセンターライン側に寄せる。これだけでコース幅はずっと狭く見えるはずだ。ターン3、4、5、6。うまく切り抜けたが完全にロックオンされている。

ターン7を過ぎた後からが勝負だ。緩い左コーナーからのシケイン、そしてまた緩い左コーナー。常にアウト側の、距離を長く走る方を選択させる。横に並ばれてもレイトブレーキングでしのぐ。絶対にインはとらせない。

そして最後の難所2連続ヘアピン。ここはどうしてもアウトに寄らなければ旋回が難しい。インに飛び込まれないよう牽制を掛けて慎重に。加速区間が短いのが救いだ。ホームストレートに戻る。アタックモードもそろそろ尽きるはずだ。

背後からの圧力が一気に飛散する。アタックモードが終了すると諦めたように距離が離れていった。向こうのマシンもバッテリー残量が厳しいようだ。あとはタイムを維持しつつ、最後までエネルギーが保つことを祈りながら走る。気づけば5シーズン目を迎えた。創成期から毎シーズン必ず勝利を上げてきたベテランとして、まだまだルーキーに負けるわけにはいかないのだ。

【動画】A Classic In Chile! | Race Highlights – 2019 Antofagasta Minerals Santiago E-Prix

【動画】2019 Antofagasta Minerals Santiago E-Prix (Season 5 – Race 3) – Full Race

おわりに

フォーミュラEは新しいことにどんどん取り組んで来たことがレースの面白さにつながっているのだと思います。一方で曖昧なルールがときに混乱を招いたりもします。

今までのように良いところは残して、改善すべき部分は変えていくスタイルを継続してレースに挑む側と応援する側両方にとってメリットのある選択をしながら進化していってもらいたいと思います。

第4戦メキシコシティE-Prixは2月16日決勝です。お楽しみに!

Photo by Pascal Richier on Unsplash

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