WRC(世界ラリー選手権) は約1ヶ月のインターバルを終えて、いよいよ来週からフィンランドで再開されます。各チームはそれぞれテストに入っているのであまり大きな動きは今週もありませんでしたが、wrc.comにアップされた記事の中から各ドライバーの心境やチームの動向などををいくつかピックアップしてお届けします。
僕なんてまだまだだよ
Paddon: Neuville remains the benchmark
ニュージーランド出身でヒュンダイチームのドライバー、ハイデン・パドン選手。ポルトガル、イタリア、ポーランドと、ここ3戦はチームのエースドライバーであるティエリー・ヌービル選手よりも良い成績を出し続けてきました。ヌービル選手、そしてダニ・ソルド選手は改良を施したマシンに乗れているというのに、旧型マシンにもかかわらずそれを上回るパフォーマンスでした。
しかし彼はあくまでも控えめな態度で、まだまだチームの中心はヌービル選手だと認めています。
「彼らにとって良くない時期が続いていただけさ。多分フィンランドではヌービル選手が速いと思うよ。フィンランドはポーランドみたいには飛ばせないコースだろうけど、それは僕らのマシンにもいいことだと思う。あまり限界まで攻め続けると息切れを起こしちゃうからね」
それでも心の底には強い意志が顔を覗かせます。
「目標は今までと変わらずトップ5に入ること。控えめに思えるかもしれないけどね。チームの状態にも不満はないし、もちろんできることは1歩ずつ進めているよ。あとはヘルメットを被って全力で戦うだけさ」
派手な選手よりも、彼のように冷静さを保てるドライバーの方が手強そうですね。フィンランドの次戦、ドイツからはパドン選手にも改良型が与えられる予定なので、さらなる活躍を期待したいと思います。
彼の自信は最高潮に達している
Wilson: Tanak’s confidence flying high
パドン選手とは正反対に、戦いの情熱を隠そうとしないのがフォードのオット・タナク選手。フォードチームの代表、マルコム・ウィルソンさんも彼の変化に気づいているようです。
「あんなにリラックスして走っている彼を今まで見たことがないよ。彼は過去にも表彰台に上がったことがあるし、元々才能はあるんだ。でもレースを台無しにすることも多かった。だけど今はとてもいいフィーリングを感じているし、今季後半の成績も期待できそうだね。彼はとても強くなったし、私の予想を超えるかもしれないね」
ここ数年、なかなか良い成績を残せないままでしたが、ようやくその能力を認められるときが来たようです。
「クルマと一心同体になることがドライバーとして最高の状態だし、今がその時だと思う。だからこそ彼はポーランドで結果が出せたんだ。フィンランド戦でも私の指示は変わらないよ。タナク選手が彼自身の走りに集中して、フォルクスワーゲンに挑戦し続けることだ」
成功も失敗も、やること全部が派手なタナク選手。WRCを盛り上げるには、彼のようの才能を持った人が必要なのかもしれません。
チェスの王者とWRCの王者、ご対面
最後の話題はレースとは関係ありませんが、面白い組み合わせだったのでご紹介します。
24歳にしてチェスの世界チャンピオンになったマグナス・カールセンさんがフォルクスワーゲンチームから招待を受け、WRCのチャンピオン、セバスチャン・オジェ選手と出会うことになりました。
カールセンさんはオジェ選手の隣のシートに座り、本物のWRCカーの走りを体験することに。元々彼はモータースポーツの大ファンだったそうでドライブを楽しんだ後は大喜びだったそうです。
「彼がどうマシンを操って、コーナーでマシンを振り回すのかをすぐ横で見られたんだ。最高だったよ!」
「チェスとラリーは、君たちが思ってるより共通点が多いと思うよ。両方に通じて言えるのは、常に限界の集中力と正確性を要求されることかな。加えて数手先を常に見据えていなけらばならないところもだね」
一方、オジェ選手もこの出会いに喜んでいます。
「マグナスさんに会えて嬉しかったよ。素晴らしい人だし個人的にも興味があったんだ。本当にすごい記憶力を持っているよね!」
このオジェ選手の”おもてなし”はWRCの楽しさを多くの人に体験してもらおうと過去にも何度か行われていて、去年はブラジルサッカーのスーパースター、ネイマール選手を乗せて全開走行を披露したそうです。
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