【フォーミュラE 2018】シーズン4 第11戦〜第12戦振り返り/これからの未来予想図が見える?

フォーミュラE

いよいよ次世代の開幕を迎えるフォーミュラE、第5シーズン。誕生の瞬間から付きまとう否定的な意見を跳ね返し、化石燃料から代替エネルギーへの移行を模索する時代の追い風を受け、黎明期からさらなる飛躍の年を迎えました。

その前に、シーズン最終戦、そして今のフォーミュラEを象徴するレースとなった第11戦、第12戦ニューヨークePrixを振り返ってみたいと思います。

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栄光と挫折のマニファクチャラー

最終ラウンドの舞台はニューヨークのブルックリン地区。サーキットから遠くに視線を移せばマンハッタンの高層ビル群や自由の女神が視界に入る絶好のロケーション。しかし観客はまばら、まるで貨物置き場のような場所と足を運びにくい距離のせいなのかもしれなけど、フォーミュラEを観戦するなら観光ついでにもちょうどいい穴場スポット。

狭いコース幅を全く気にもかけず、ストップ&ゴーを繰り返すコースでドライバーたちは豪快にオーバーテイクを仕掛けていく。中でもひときわ目を引くのは、使用パワーの超過でペナルティを受けたジャン=エリック・ベルニュ(テチーター)。タイトル獲得のために最後尾から驚異の追い上げを見せる。テック(技術)とチーターの造語となるチーム名そのままに、電気エネルギーで走る猛獣が次々と獲物を仕留めていった。

ドイツらしい重厚な戦いぶりを見せたのはアウディ・スポーツ・アプト・シェフラー、ルーカス・ディ・グラッシとダニエル・アプトの2人。先行するアプトが首位に立つと、ハーモニーを重ねるようにディ・グラッシも追随する。途中チームメイト同士のバトルでヒヤリとさせられるシーンでアクセントを加えると、最後はディ・グラッシを先頭にワン・ツーフィニッシュで締めくくった。序盤の躓きが嘘のように、揺るぎない強さを誇示してくれた。

シーズン2、3では最強と言われたノー・e.damsには、もはや当時の勢いは見られない。かろうじてセバスチャン・ブエミが3位表彰台に残りはしたが、ディ・グラッシとアプトに並ばれると為す術もなく置き去りにされトップから順位を下げるばかりのレースになってしまった。マヒンドラ・レーシングも一時期の勢いはどこへやら、ポイント圏内をさまよう中堅チームになってしまった。同じシャーシを使い、各チーム開発可能が箇所が限られているというのに、たった1シーズン、いや半シーズンでチームの雰囲気が変わってしまうのはフォーミュラEの不思議なところ。

レースはベルニュが最下位スタートから5位まで挽回し、タイトル争い2番手のサム・バードとのポイント差が31ポイントまで広がったため、最終戦を待たずしてベルニュのチャンピオンが決定。今年一番の暴れん坊が最後まで勢いを落とさず駆け抜けた。

【2018 Qatar Airways New York City E-Prix (Season 4 – Race 11) – Full Race】

 

第12戦:ドライバーたちの妙技をご覧あれ

これが最後のレースとあって、ドライバーたちもリミッターを解除、後のことなど考えず前へ前へと突き進む。ポールポジションスタートはブエミ、だがチャンピオンが決定し勢いづくヴェルニュが3番手から一気に加速、ターン1で強引に首位を奪い取る。

先頭を華麗に走るヴェルニュの姿は、まるで細身の剣を片手にひらりひらりと舞い踊る姿。同じマシンに乗るアンドレ・ロッテラーは剛直な走りで、思い鎧を身にまとい大剣を大上段に構えているようなオーラがある。マシンの見た目さえ一回り大きく見える。

逆に小さく見えるのはブエミ。ディ・グラッシとタイトルを争っていた頃の面影が全く感じられなくなってしまった。頭に血がのぼるとフランス語で喚き散らすファンにはおなじみのシーンを、今年は見ただろうか。サイドバイサイドからの諦めムードは切ないを通り越して辛い。このチームを引き継いだのが日産だと思うと少し心配にもなってしまう。

テチーターにとって最大のライバル、アウディのディ・グラッシとアプトは、鋭い剣と大盾を構えた両翼の騎士。相手に隙を与えず、機を見るや確実にダメージを与える手堅い攻撃。アプトはシーズン3まではディ・グラッシの援護に回ることが多かったが、ドライビングスタイルも速さも今では見劣りしなくなった。むしろアプトの方が攻撃的になってきており今後は2人のバランスに注目したい。

ヴェルニュとのディ・グラッシ、この2人とタイトルを争う関係にあったサム・バードは(DSヴァージン・レーシング )、やはり最終戦でも謎の男だった。昨年はこの地で突然の2連勝、今年は順位を落としたかと思ったら上げてきたり、いつ速くなるのか全く想像がつかない。でも不安定に見えて前半、後半でしっかり1勝ずつ上げており、安定感がないとも言えない。完全なるダークホース。

フェリックス・ローゼンクビストは舞台の場をインディに移すことになった。チェスのような戦略と、頭を使った走りのフォーミュラEでは絶対的な速さは望めない。それに加えて優勝にすら絡めなくなってしまった今季後半の成績を考えると、そろそろ旅立つころだと思い立っても仕方がないとは思う。デビューした瞬間から速く、チャンピオンすら狙えると言われたドライバーが去ってしまうのは寂しいけれど。

 

ダブルヘッダー1戦目よりもレース周回数が2周少なくなり、利用できるエネルギーをスピードよりに配分したスプリントレースは、そこかしこで順が入れ替わる。

スピードの限界点に立つF1とは違い、スピードの出ないフォーミュラEはドライバーの空間認識能力にも余裕が生まれる。その余裕がドライバーたちのテクニックにも余裕を与え、それぞれの個性が走りにもはっきりと表れるのかもしれない。テクノロジーと人間の能力をバランス良くミックスしたレギュレーションは、観客にとっても幅のあるレース展開を生み出せるのかもしれない。

 

優勝はオープニングラップのダッシュから首位を守ったヴェルニュ。ロッテラーがジャンプスタートペナルティで順位を落としたため、2位、3位と共に表彰台に上がったアウディが2ポイント差でマニファクチャラーズタイトルを決めた。

しかし今季の栄光が、来季につながることなどないとこれまでの歴史が物語っている。ドライバーたちにとっても、もはやF1のシートを失った者たちの戦いの場ではない。ありとあらゆるモータースポーツ界の強者たちが、同じルールの元で戦うオープンホイールの総合格闘技へと、フォーミュラEは進化しようとしている。

 

【動画】2018 Qatar Airways New York City E-Prix (Season 4 – Race 12) – Full Race

 

おわりに

フォーミュラEの2018-2019シーズンは2018年12月14日のサウジアラビアから2019年7月13日のニューヨークまで全13戦が予定されています。ルノー・e.damsを引き継いだ日産の活躍も楽しみですが、昨年健闘していたパナソニック・ジャガー・レーシングのポテンシャルも気になるところ。本腰を入れてきたアウディ、そして昨シーズン覇者のヴェルニュ率いるテチーターなどライバルたちも強力です。

今年もYouTubeやTwitterなどメディアと連携して多くの人が楽しめるモータースポーツになってもらいたいです。

画像の出典:Formula E

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