【WorldRX2018】世界ラリークロス選手権 最終戦 南アフリカ/さらば栄光の日々よ

世界ラリークロス選手権最終戦南アフリカ

不確かな未来。それは人間の人生だけに限らず、モータースポーツの行く先にしても同じこと。それでも目指す先に勝利がある限り、ドライバーたちはゴールを目指して走り続ける。0 – 100mの加速はF1をも凌ぐモンスターマシンたちの栄光の日々が、ひとつの終わりを迎えようとしていた。

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波乱の予感と目覚める王者

アフリカ大陸の南端、ケープタウン。広大な大地の向こうにはテーブルマウンテンがそびえ立ち、その神々しい姿はサーキットからも見ることができる。さしずめ日本の富士スピードウェイと言ったところ。

何かが起こるのでは、という期待はあった。予選Q1でヨハン・クリストファーソン(SRXフォルクスワーゲン・スウェーデン:ポロR GTI)がジャンプスポットからの着地で痛恨のスピン。参加した18台中16番手(17番手以降はDNF)のタイムでフィニッシュとなる波乱からスタートした最終戦。フォルクスワーゲン陣営はマシンの到着が遅れシェイクダウンにも間に合わず、セットアップの時間も不足していた。

一方、今季をもってワークス・チームとしての参加を終了すると発表したチーム・プジョー・トタルはセバスチャン・ローブとティミー・ハンセンが優秀の美を飾るべくQ1で1、2番手に付ける。たとえ未来が見えなくても、彼らがアクセルを緩める理由になどなりはしない。

 

しかしQ2になると眠っていた王者が目を覚ます。Q2、Q3、Q4と2番手に大差をつけるトップタイムで予選首位に立つと、セミファイナルでも圧勝して決勝のポールポジションを獲得、チームメイトのペター・ソルベルグと共にフロントローをフォルクスワーゲンが独占してしまった。

 

今年最後のファイナル。顔ぶれはフォルクスワーゲンの2台、プジョーはセバスチャン・ローブとハンセン兄弟の3台、そしてアウディからはマティアス・エクストローム(Team EKS:アウディS1)のビッグ3が占めることに。遠くに見えるテーブルマウンテンをスタートラインの向こうに見つめながら各マシンがポジションに収まる。

スタート。超一流のドライバーたちにミスはなく、ポジション通りの立ち上がり。レースの行方を大きく左右するターン1ではイン側のクリストファーソンに被せるように旋回するソルベルグがアウト側に流れ、3列目スタートからインをタイトに攻めたエクストロームがそのサイドに並ぶ。今年何度もドア・ツー・ドアのバトルを演じた2人の戦いは、コース外に押し出されながらもペナルティなど知るものかとショートカット気味(ギリギリアウトっぽいけどお咎め無し!)に爆走するソルベルグが意地でオープニングラップでの順位を死守した。その間にトップを走るクリストファーソンははるか彼方へと走り去っていく。

なんとかチームメイトに追いつきたいソルベルグは2周めで突然スピン、ティミー・ハンセンを巻き込み2台共にリタイアとなってしまう。こうなってしまえば彼を止められるものなどこの世にはいない。コース幅を一杯に使ってコーナーに進入、ドリフトに入ればブレることなく出口方向にピタリと向きを変え、奥目のエイペックスをなぞり次のストレートに向けて立ち上がっていく。毎周寸分違わず描かれる美しいマシンの軌道を、3秒後方から見続けたエクストロームはどんな気持ちだったのだろう。もしかすると、マシンの良し悪しでは測れないほどの差を感じてしまったのだろうか。彼はレース後、ラリークロスからの引退を決めた。

 

クリストファーソンが今季11勝目を飾るフィニッシュラインを超える。エクストロームが2位で花道を飾る。3位にはローブが入り、ここまでFIAラリークロス選手権の中心だった3チームからエースドライバーたちが表彰台に並んだ。これまでの歴史を1枚の絵にしたような光景だった。2019年以降、これらの最強マニファクチャラーたちでさえ確かな道のりは見えない。ラリークロスはどこに向かうのか、誰のための未来になるのだろうか。

ファンの声は聞こえているのだろうか?

 

おわりに

クリストファーソン選手が12戦11勝、勝率.916という嘘みたいな大記録を打ち立てて幕を閉じた2018年のFIAラリークロス選手権。しかし良きライバルであったプジョーとアウディの来季以降の動向が見えず、欧州を中心としたレースから世界選手権へと昇格し拡大を続けてきた第一期の終わりになるのかなと思っています。

今後は電気自動車への転換など課題も多く、さらに日本ではせっかくのエキサイティングなレース中継が視聴できず知名度が全く上がらないという悲しい状況もありますが、これからも地道に応援を続けていきます。

2019年シーズンの第1戦は4月5日から、F1でもおなじみアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催されます。来年もお楽しみに!

画像の出典:FIA World Rallycross Championship

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