【F1 2018】最終戦アブダビGP感想/煙が目にしみる

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誰一人欠けることなく最後まで走り抜けた10チームと20人のドライバーたち。2018年シーズンの最終戦は、それぞれの「らしさ」を投影したレースに映りました。

前半:そんなに早くいなくならないで

眩しい夕日と日没後のマジックタイム、そして月夜のナイトレースを楽しみにしていたのに、なぜか決勝になると降水確率40%の曇り空。スタートは夕焼けどころか鉛色の空になってしまいました。

オープニングラップではいきなりニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)が宙を舞い、あわや大事故か?という事態になりますがヘイローのおかげで怪我もなく無事でした。ただヘイローが邪魔で出火してるマシンからでなかなか脱出できないという課題も浮かび上がり、安全性についての議論はこれからも必要であることを示す結果となりました。セーフティーカーが入ったあとのレース再開後もマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が「エンジン熱いー」と叫んでて、こっちも火が出ないか心配でした。

 

そのフェルスタッペンはスタートで順位を大きく落としてから必死の追い上げ中で、彼の前を行くのは因縁の相手エステバン・オコン(フォースインディア)。コーナーでインに飛び込むと、お前あっち行け!と言わんばかりのホイールタッチ&オーバーテイク!それに対してイラッとしたのかオコンも引かずに真っ向勝負でお返しです。ストレートに出ると自慢のエンジンパワーを活かして華麗に抜き返し、激しいバトルに嬉しいやら怖いやら。レースが終わった後の喧嘩はダメですが、コース上で戦いを果敢に挑むファイターのオコンが来季いなくなってしまうのはもったいないです。再来年のお楽しみに取っておきますか。

 

同じ頃にシャルル・ルクレール(ザウバー)がキミ・ライコネン(フェラーリ)を抜いたという情報が!あ~これが世代交代というやつなのねと感傷に浸っていたらライコネンのマシンがホームストレートでストップ。どうやら実力負けではなくてホッとしました。

ライコネンにとってフェラーリ最後のレースでまさかのリタイアという衝撃に動揺していると、さらなる衝撃が走ります。バーチャルセーフティーカーが入るとすかさずルイス・ハミルトン(メルセデス)がピットイン!このタイミングでは交換したタイヤが最後まで保つのか微妙なところなのでライバルたちの様子を見て動いても良かったはず。なのに勝利のために果断を下すチームと、そのチームを100%信じてるハミルトン!バーチャルセーフティーカーによって速度制限かかかってるうちにハミルトンはトップから11秒差の5位で復帰。通常ラップだとピットイン時のロスタイムは20秒程度なので周囲がタイヤ交換に入ればラクラク首位に戻れるポジションです。

同じ戦略を取ったのはルクレールとロマン・グロージャン(ハース)。他は全く動けずメルセデスのミスジャッジであることを祈るだけ。もうこの時点で勝ちは決まったと確信しました。

ライコネンの方は「マシンが止まったから、マシンを降りたんだ」という感じで颯爽とチームのもとに戻っていきます。うーん、最後まで彼らしい。

 

中盤:諦めのバルテリ・ボッタス

徐々にピットに入るマシンが増えていって、ハミルトンの順位が自動的に上がっていきます。だけどダニエル・リカルド(レッドブル)だけはいつまでも粘りの走り。そんなタイミングで雨が到来。カメラには結構な量の雨粒が映っていましたが結局はレースに影響を与えるほど降ってこず、ウルトラソフトで耐えてきたリカルドも諦めてピットに入ります。これで波乱は起こることなくますますハミルトン優勢に。リカルドはここで大雨でも来ればかなり有利に戦えたんですが、レッドブル最後のレースに天は味方してくれませんでした。ほんとツイてないです。この後も良いペースで走っていましたが前を行くフェルスタッペンを捕らえきれず(チームオーダーいかな?)消化不良気味の終わり方になってしまいました。この鬱憤、来季のルノーで晴らしていただきたい。

これでハミルトンがトップ、続いてセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、フェルスタッペン、リカルドと並びますが、ボッタスにミスが相次ぎフェルスタッペンとの競り合いの末抜かれ、続けざまにリカルドにもオーバーテイクを許して5位転落。途中から全然レースに集中できてませんでしたね。1年間優勝できずに終わってしまい、最後に心が折れてしまったんでしょうか。

中盤ではカルロス・サインツJr.が38週目でようやくピットイン。後続のルクレールとの差が大きいために順位を落とさずコースに戻ります。その後ろにはルクレール、セルジオ・ペレス(フォースインディア)、そしてフェルスタッペンと競り合ったりペナルティ受けたり浮き沈み激しいけどしっかり走ってるオコンが9位、10位にはグロージャンが入ってきました。

 

終盤:煙が目にしみる

残り10周になった頃、オコンのマシンから煙が上がっています。「オイルかも~気をつけて」という不安な無線の後、エンジンパワーを失いリタイアとなってしまいました。来シーズンはメルセデスのリザーブドライバーとなり、しばらくF1で彼のレースを見ることはできなくなってしまうので非常に残念な結末。オイルスモークが目にしみます。ピットレーン上で止まってしまったマシンを動かすスタッフたちがモタモタしてて、見ててイラッとしてしまいました。

これで順位が繰り上がって10位に上ってきたのがピエール・ガスリー(トロ・ロッソ)。チームの努力も虚しく予選から苦しんでいましたが、ここまで粘っていた甲斐がありました!と思っていたらこっちも煙が!「スモーク出てる!スモーク出てる!」とガスリー大慌て!あっという間に悪夢のリタイアに追い込まれました。またも煙が目にしみます。スモークが上がったときに後ろにいたフェルスタッペンは本当に目にしみてそうです。

チームメイトのブレンドン・ハートレーもオープニングラップでのもらい事故から12番手まで浮上してきましたが、良い結果で終わることはできませんでした。トロロッソは予期していないレースで結果を出したりするのに、ここぞというときにはなぜか勝負に弱い感じがしますね。クビアトさんならなんとかしてくれるでしょうか?

 

最終盤ではフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)がチームからのリクエストを受けて猛チャージ!ですが勢い余ってコースを飛び出しポイント圏内には届かず。チームメイトのストフェル・バンドーンも非力なマシンでライバルたちとの3ワイド劇場を演出したり、最後にようやくいいところを見せられたマクラーレン。来季はもしかしたら手強くなるのかもしれません。

 

結局最後までタイヤを保たせたハミルトンが優勝、2位には一年を通して最大のライバルだったベッテル、3位にはフェルスタッペンと現在、過去、未来(?)のチャンピオンが揃い踏み。F1を観戦し始めたのは途中からだったのですが、その間はずっとこの3人が中心にいました。そんなドライバーたちが最後の締めくくりでも並ぶんだからF1の神さまが書いたシナリオはしっかりしてるもんですね。ベッテルさんはこのまま過去の人にならないように頑張ってもらいたいです。

 

まだまだ煙が目にしみる

チェッカーフラッグが降られ、メルセデスから粋な無線がハミルトンに飛びました。「僕の心を読んだね!」と答えるハミルトン。するとベッテルも加わり、今季いっぱいでF1から離れるアロンソと3台で豪華共演ドーナツターン。いくらするのかわからないくらい高価なF1マシンを、まるで子供みたいに操ってスピンターンを繰り返します。高く、高く立ち上るタイヤスモーク。ただそれだけなのに泣けてきます。今日は目が燻製になりそうなくらい煙にやられて涙が止まりません。

ちょっとやり過ぎかもしれませんが今日くらいは許してください。F1の歴史に名を連ね、チャンピオンの重責を背負いって戦い抜いた彼らにとっては、友に贈る言葉なきメッセージという神聖な儀式なんですから。

 

ここにグロージャンが加わろうとしてたみたいですが、君にはまだちょっと早いと思うよ。

 

【動画】アロンソ、ハミルトン、ベッテルが共演!チャンピオンたちのドーナツターンフェフティバル

みんなが言うんだ
君もいつかわかるだろう
恋(F1)は人を夢中にさせるって
君の心に火がついたとき
きっと気づくよ
その煙で何も見えなくなってしまうことに

「Smoke Gets In Your Eyes(邦題:煙が目にしみる)」より

 

おわりに

今年の途中からレースを観戦するようになったばかりなので昔から応援し続けているファンの皆さんとは思いの強さが全然違うんでしょうが、それでもこのチームとドライバーが揃ったのって奇跡みたいな出来事なんじゃない?って思えるくらい楽しかったです。

来年はまた新しい面白さをたくさん発見して、モータースポーツというモノ作りの時代が生み出した最高に楽しい競技をもっと多くの人に届けられたら嬉しいな。

2019年のF1グランプリは3月17日のオーストラリアから始まります!それまで待てないって人は1月24日開幕のWRCラリー・モンテカルロの応援をよろしくお願いしますっ!

 

【動画】F1 2018 アブダビGP レースハイライト

 

【動画】F1 2018 アブダビGP トップ5モーメント

Photo by Pascal Richier on Unsplash