故アイルトン・セナの母国、ブラジル。天候が不安定でそろそろ雨が降りそう…やっぱ振らない、今度こそ来そう…振らないみたいな感じで、予選になって降るんかい!でもって決勝は晴れかよ!というややこしい空模様。
タイトル争い落ち着いて、レースも大人のたしなみみたいな静かな展開になるのかな?なんて予想してたのですが、最後まで目の離せないバトルになりました。
雨の予報は外れてドライコンディションで始まったフリープラクティスはまだ戦う前なのにある意味男の戦いが勃発、チーム無線に怪しげな会話が飛び込んできました。セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の股間で何かが揺れてる事件発生。犯人は想像しているモノではなく小さなネジでした。こういうベッテル大好き。
ベッテル「両脚の間で何かが揺れてる。当然のもの以外で」
アダミ「了解」
ベッテル「繰り返す。両脚の間で何かが揺れてる。当然のもの以外で。足の周りで何かが起きてる」
アダミ「(笑)OK」
ベッテル「足の周りで何か跳ねてる。思っている物なら誇りに思うけど、それじゃない」— ベッテルニュース (@VettelNews_jp) November 9, 2018
雨は降らないと思っていたら予選で振り始めます。そこで目を引いたのはシャルル・ルクレール(ザウバー)。Q1が始まるとしれっとトップ3チームの順位に間に紛れ込み、Q2では雨でライバルたちがタイムを落とす中で再アタックを志願して怒涛の走り。一気に順位を上げました。ピエール・ガスリー(トロ・ロッソ)もタイミングよくアタックを仕掛けてQ3に進出しましたが、他とのタイム差がちょっと気になりましたね。マシンの性能差はまだまだあるのかなと。
決勝はポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)を先頭にスタート。しかし3列目スタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の方が勢いがありました。フェラーリの2台、そしてバルテリ・ボッタス(メルセデス)をターン1の飛び込みで次々と仕留めます。
後方ではマーカス・エリクソン(ザウバー)のマシンが接触があり、徐々にパーツが吹き飛んでいくという悪夢に襲われます。周回を重ねながらゆっくりと剥かれていくエリクソン。最後は空力もバランスも失ってリタイアしてしまいました。予選で調子良かったのにね。残念。
スタートから勢いに乗ったフェルスタッペンはついにハミルトンまでオーバーテイク!こんなお手上げ状態で抜かれるシーン始めてみたかも。今回はタイヤマネジメントも厳しかったみたいです。
これでフェルスタッペンの完勝かと誰もが思っていたことでしょう。そんなタイミングであの事件が起こってしまいました。ホームストレートで周回遅れのエステバン・オコン(フォースインディア)がフェルスタッペンを抜き返し同一周回に復帰。そのまま並んでターン1に飛び込み両者横並びのままターン2への進入でまさかの接触!
そしてF1解説でおなじみ今宮純さんからは衝撃の情報が。父スタッペンことヨス・フェルスタッペン選手が17年前に起こしたアクシデントが、なんの因果か息子の時代になってフェルスタッペン家に返ってきたんだそうです。もはや呪い。エクソシスト必要なレベルで怖い。でも昔からのファンの人たちはあのシーンを見てニヤリとしてたんだろうなー。長年応援し続けた人だけが味わえる密かな楽しみ。
AS・WEBに書きました。17年前、01年に首位モントーヤに追突したのは、オコンと同じ、周回遅れのヨス・フェルスタッペン。父とは逆の立場になったマックス、これも長き『ブラジルGP伝説』のまたひとつに。
【今宮純のF1ブラジルGP分析】 https://t.co/JSnpUXYpNb
— f1-world by IMAJUN (@f1worldbyimajun) November 14, 2018
ちょうどグランツーリスモスポーツというゲームにもインテグラゴスサーキットが入っていたので、実際に問題のターン1を走ってみました。写真だと逆光になってしまっていますが、この見通しの悪さ、おわかりいただけただろうか。
ちなみに2人がぶつかった側から見上げるとこんな感じ。かなりコース幅が狭く見えますね。
直線から左へ下りながらのコーナーは全く先が見えません。こんなところで正確にブレーキングを決めて左、そして次の右コーナーへと抜けていきます。フェルスタッペンはいとも簡単に何度もオーバーテイクを決めていましたが実際はかなりドライビングに気を使うブラインドのタイトなコーナー。ここで戦っている相手でもない周回遅れのオコンが飛び込んでくるなんて、そこまで頭が回らなかったのかもしれません。
どちらにも言い分はあるし攻める気はないけれど、オコンそこまで無理しなくても……。っていうかガムシャラに突っ込むからトロロッソのマシンと勘違いしてるんじゃ?なんて思いました。
いや~、勝利が目の前にあっても優勝ってのは難しいものなんですね。毎回勝てるレースをやって勝ってしまうハミルトンの底力もすごいってことですね。
最後はフェルスタッペンの追い上げを振り切ったハミルトンが優勝。実はパワーユニットが故障寸前だったという状態でフィニッシュまで耐えてくれたメルセデスのマシンを、まるで愛馬を愛でるカウボーイのように称えるハミルトンの姿がとっても感動的で、若干ながら高感度アップしました。
2位はあのアクシデントから立ち直ったフェルスタッペン。よく心が折れずに走りきりました。やっぱり成長してるよね。優勝は逃したけど強くなったのは確かでした。でも1位まであと僅かのところまで迫っていたから、もしピットストップでの約1秒のロスがなければまた違った展開になっていたのかも。
3位にはボッタスに最初から苦しめられていたキミ・ライコネン(フェラーリ)がなんとか振り切りこれで3戦連続表彰台。なんでしょうねこの安心感。ブラジルGPではシャンパンファイトでサンバを踊るのですが、ライコネンは…仁王立ち!
踊るハミルトン ブチ切れるフェルスタッペン 眺めるライコネン pic.twitter.com/oNLCJrWjLn
— フィジ子 (@JTMcLaren) November 11, 2018
トロロッソはやっぱり力不足でポイント圏外で終わってしまいました。ブレンドン・ハートレイはせっかくの誕生日なのに、チームオーダーを巡ってガスリーとの遺恨も残ったとか報道があったり悲しい結果に終わってしまいました。残り1戦でその才能を周囲に刻みつけることができるでしょうか?
そして最後といえばオコーン!気落ちしないて攻めてね!ちゃんと走ってね!次につながる走りをしてね!絶対ですよ!
トロロッソの2人はレース後も笑いあっていて安心しました。
Prepare (not) to Laugh! If you like Dad jokes, this is for you 👇
Full video >> https://t.co/hooPwaealV pic.twitter.com/dOT1naFu2m
— Scuderia AlphaTauri (@AlphaTauriF1) November 15, 2018
おわりに
フェルスタッペンとオコンの接触の是非ばかり話題になってしまいましたが、この周回遅れの対応だけでなくベッテルが予選の忙しいときに車検に呼ばれてしまった件や、ハミルトンがセルゲイ・シロトキン(ウィリアムズ)に幅寄せした件が全くお咎め無しだったりと、ルールの曖昧な点が多く見られました。F1は成熟したスポーツですが毎年レギュレーションは進化していきます。近年は判定する側の人間のそれについていけなくなっているのかもしれません。厳格化しすぎて萎縮しないように、かつ全車公平な戦いができるような配慮を、少しずつでも続けていかなければなりませんね。そしてそれを見守るのもきっとファンの役目です。
ついに次戦はシーズン最終戦!決勝は11月25日の22時10分からなのでリアルタイムで応援できそうです!
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