【映画感想】リズと青い鳥/鳥かごの開き方

リズと青い鳥

冒頭から、2人の距離感が気持ち悪かった。言葉ではなく、敢えて表現で伝えようと散りばめられた細やかな描画が、逆に主旋律の輪郭を見落とす要素になっているみたいで苛立った。珍しく素直に受け入れられない物語を目にして少し焦った。流れに乗れない。僕は途中で席を立ってしまうかもしれない。

そう思っていたはずなのに。

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心の純度100%

みぞれが志願した第三楽章。

鳥かごの中の一羽の小鳥が、明るい外の光へと目を向ける。そこは愛する人のいない世界。だけど自分がいるべき世界。

あなたが望むなら。助走し空へと駆け上る。オーボエの軽やかなキーのリズムが、小鳥の羽ばたきのように舞う。どこまでも広がる青い空が見える。決して振り返ってはいけないと言い聞かせながら、遠く、遠く、自由に。あなたがそう望むから。

大きな空があり、空を舞うための翼を持った青い鳥を、閉じ込めてしまうのは罪なのだろうか。ずっと傍にいて欲しいという願いは、束縛なのだろうか。鳥かごの扉を開いたのは、愛の力。その愛ゆえに、離れたくないと思いながらも力強く飛び立つ姿を、吹奏楽の旋律が悲しげに、でも強い意志を持って描き出す。

 

「愛ゆえの決断」と名付けられたその曲の真実に、物語の主人公であるみぞれと希美は気づいてしまう。仲の良いはずの2人、でも間にある気持ちのズレ。音を通じて語り合う、言葉にならない確かな想い。

 

実写では実現できないのでは?と思えるほど極限までノイズを削り落とした映像は、そのすべてがメッセージになる。音楽すらも形を変え、まるで拡張現実のようにその世界を広げていく。些細な心の揺らぎで音色さえ変わってしまう繊細さが、視覚からも伝わってくる。演奏家である2人の、最高純度に仕上げられた心の声を、全身で受け止める。

 

 

「ハッピーエンドがいいよね」

希美の言葉通りの結末になったのかは、僕にはわからない。正直言うと、演奏後の2人の会話からも、最後のやりとりも、希望と不安、どちらの未来も見えた。第四楽章、鳥かごから飛び立っていった青い鳥が戻ってきたかどうかは2人とも知っている。

 

おわりに

スピンオフだから本編を知らないとわからないことや、わからない人も出てきますが、そこは「何かあったんだな」って察してあげれば特に深掘りしなくても全然問題ないです。むしろ終わった後に知りたくなる感じ?

鑑賞後も音楽が頭の中で鳴り止まなくてサントラも借りてきちゃいました(買わないのかよ)。映画を観た後だと第一楽章~第四楽章の流れがまるで二人のエピソードのように聴こえてきます。DVD/ブルーレイも12月5日(水)に発売されるので、同日時にリリースされる『カメラを止めるな!』と一緒に買ってあげましょうね。

実はTVアニメ版『響け!ユーフォニアム』の方はちょっとついて行けなくて第1期しか見てませんでしたが、こっちも今すっごい見たいです。劇場版新作が来春公開される予定なのでそれまでに予習しておかないと。

 

(C)武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会

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