【WRC2018】世界ラリー選手権 第12戦ラリー・スペイン/ローブ先輩さすがっす!

ラリー・スペイン

WRC第12戦ラリー・スペイン。シーズン唯一のグラベル、ターマックのミックスステージは、次から次へと首位が入れ替わる大激戦。応援しているドライバーが好走しても、いつ何が起こるかわからないので全然落ち着かないレースでもありました。

で、最後に頂点に立ったのは、まさかの!!!

首位に立ったら何かが起こる?

首都マドリードに次ぐ大都市、バルセロナの市街地のストリートステージという超盛り上がる場所でスタートを切ったラリー・スペイン。セバスチャン・ローブがスポット参戦し、ケン・ブロックも久しぶりに登場していつもより多く回って上機嫌。なんとフォルクスワーゲンからペター・ソルベルグまで登場し(ひとつ下のカテゴリ、WRC2だけど)賑やかな気配。だけどレースは全然笑顔じゃいられない。

木曜のオープニングステージと次の日はターマック(アスファルト)、その後はグラベル(未舗装路)へと変化するミックスサーフェスラリーは、途中から雨も降り出して全く落ち着かないコンディション。レースの行方も大荒れとなりました。

 

初日のオープニングステージで首位に立ったのはオジエでしたが、金曜日にはグリップ不足に苦しみステージ3でタナクにトップを奪われます。雨に濡れる路面に対してタイヤ選択もバッチリ決まり波に乗るタナクは後続に30秒以上も差をつけてステージ10に挑みます。ここで優勝できればチャンピオン争いも有利に、なんて期待をしていたらなんとパンクで9位まで順位を落としてしまいます。これでトップに立ったのは地元スペイン出身のソルド。ですが次のステージ11では早くもウェットタイヤで飛ばすラトバラが首位に浮上し、いよいよ最終日を迎えます。

残りは4ステージ、ここで猛追するローブがラトバラを捕らえ逆転。更にラトバラは残り2ステージというところでフロントホイールにダメージを受けて6位まで落ちてしまいました。

 

トップに立つと何かが起こる。そんな予感を最後まで漂わせながらの最終ステージ。首位のローブを追うオジエはわずかに3.6秒差、3位のヌービル、4位のエバンスもそれぞれ14.1秒差、16.1秒差とまだまだ上位にワンミスでもあれば優勝の可能性を残しています。

チャンピオンを争う3人のうち、まず先に出走したのがタナク。残念ながら優勝争いからは遠ざかりましたが、ここパワーステテージで得られる最大得点5ポイントを狙いに行きます。狭いコース幅を一杯に使った攻める走りで暫定トップタイムを叩き出し、あぁ、これであのパンクさえなければという圧巻の走り。

ラトバラ、ソルド、エヴァンスを挟んでお次はヌービル。タナクに対して約1.5秒差とまずまずのペースで走行していましたが、後半になって急に挙動が怪しくなりタイムも大きく落としてしまいました。よく見ると右のリアタイヤがパンクしており、グリップを失ったリアがコーナー中に大きく左右に振れだします。なんとか走り切るも4番手のタイム。ボーナスポイントは5人までなので残りの2人が良い走りをすればノーポイントになってしまいます。恐るべしスペイン。何かが起こると思ったらヌービルの身に不幸が起こるとは。総合順位でもエバンスに抜かれ3位から4位へと後退し表彰台を逃してしまいました。

 

ラストバトルは2人のセバスチャン対決。その差はたったの3.6秒差。先に出たのはオジエ。ここぞというときの集中力と一発の速さには定評のある彼ですが、今回の本当の敵はローブではないことも知っています。攻めてはいるけど無理はしない走りでヌービルとほぼ同じスプリットを刻み最後まで失速せずにフィニッシュ。2番手のタイムに付けます。

最終走者はローブ。どうやら左フロントのタイヤが完全にグリップを失っているようでマシンは非常に曲がりにくい様子。ところどころ危ない場面もありますが、さすがに9連覇の伝説を持つ王者は止まりません。途中でタイムを落とすも最後は挽回し、オジエに対して0.7秒遅れでフィニッシュ。パワーステージ3番手、そして見事な優勝と現役ドライバーたちが震え上がる結果を残すことになりました。

 

シトロエン・トタル・アブダビWRT(CITROËN TOTAL ABU DHABI World Rally Team)

マシン:シトロエン C3 WRC(Citroën C3 WRC)

セバスチャン・ローブ選手/ダニエル・エレナ選手:優勝
クレイグ・ブリーン選手/スコット・マーチン選手:9位
カリッド・アルカシミ選手/クリス・パターソン選手:21位

奇しくもF1のキミ・ライコネンと同じく2013年以来の優勝となったローブ。WRCを引退し、得意なレースとはいえスポット参戦で優勝してしまうなんて誰が想像していたでしょうか。でも今年出走した他の2戦でもリタイアするまでは優勝しそうな勢いだったりと実力が衰えていないことは証明済みだったんですよね。

それに加えてタイヤ選択がハマり戦況は最終日になって一気に変わりました。その速さは現役最強のオジエすら上回り、5年ぶりの頂点へ!ドライバーもですがチームもまだ勝利の方程式を覚えていて、こういうときに勝てるのはやっぱり9連覇の歴史があるからなんだなぁと思いました。

世界ラリークロス選手権(WorldRX)からプジョーの撤退が決まり、オジエの移籍がなければ来年はシトロエンからWRCにフル参戦していたかも?と思うと恐ろしいです。たぶん10度目のチャンピオン獲っちゃう。

ここまで悪くはない成績を残していたブリーンにとっては、この結果は衝撃だったんじゃないですかね?彼がWRCにデビューする前に引退したはずのドライバーがスポット参戦で走ってまだ手にしたこともない優勝を手にしてしまうなんて。

 

Mスポーツ・フォードWRT(M-SPORT FORD World Rally Team)

マシン:フォード フィエスタ WRC(FORD FIESTA WRC)

セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手:2位
エルフィン・エバンス選手/フィル・ミルズ選手:3位
テーム・スニネン選手/ミッコ・マルックラ選手:11位

最後はかつての最大のライバル、ローブとの一騎打ち。

最後まで彼の目に映っていたのはチャンピオン争いのライバル、ヌービルでした。ローブを追いかけるのではなく確実にタイトルを狙う姿勢が最後まで一貫していましたが、敢えて目を逸らしていたような気もしました。しかしその心境はどうだったんでしょう。最近どんな苦しい状況でも笑顔を見せてくれるんだけど、今回は特別に切なく見えました。オジエの全盛期フォルクスワーゲン時代に最強のローブはすでにおらず、今になってローブと再戦しなくてはならないというもどかしさ。

ずっとオジエの影に隠れていたけどエバンスが6戦ぶりの表彰台。本当はもっと走れたのかこれが精一杯なのかMスポーツはチームオーダーがあるのでなんとも言えませんが、本来このくらいの走りはできる人ですよね。

 

ヒュンダイ・シェル・モービスWRT(Hyundai Shell Mobis World Rally Team)

マシン:ヒュンダイ i20 クーペ WRC((HYUNDAI i20 COUPE WRC)

ティエリー・ヌービル選手/ニコラ・ジルソウル選手:4位
ダニ・ソルド選手/カルロス・デル・バリオ選手:5位
アンドレアス・ミケルセン選手/アンダース・イェーガー選手:10位

シーズン前半は間違いなく最速のドライバーだったのに、後半になって一気に失速のヌービルは、今回も苦しい立場。なんとか表彰台圏内までたどり着いたと思ったら、最終ステージでパンクして貴重なポイントを減らしてしまいました。ついにチャンピオンシップリーダーの座をオジエに奪われ3ポイントの差をつけられて最終戦へ。もうここで勝つしかないのです。ヌービルの走りやすいセッティングと合っていなかったり、チームとしてもなんだか保守的な対応をしてるように思えるので、残り1戦は思うがままに戦えるような体制にしてくれるといいなぁ。

ソルドはマイペースすぎてせっかくトップに立ったのにマイペースを貫いて気づいたら5位になってました。でもフィニッシュ後は地元のファンと写真撮ったり楽しそうなところが好感持てますね。それよりミケルセンはどうしちゃったの?って思うくらい存在感がなくなってるような。後半はヌービルだけじゃなくヒュンダイチーム全体が元気ないみたい。パッドン除いて。

 

トヨタ・ガズー・レーシングWRT(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)

マシン:トヨタ ヤリスWRC

オット・タナク選手/マルティン・ヤルベオヤ選手:6位
エサペッカ・ラッピ選手/ヤンネ・フェルム 選手:7位
ヤリ‐マティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手:8位

3台ともに入賞って5戦ぶりだったりするんだけど、上位に位置し今度こそは全車無事完走おめでとうと言いたいところですが、もっと上位にいられた可能性もあるのであんまり喜べません。序盤にパンクで順位を落としてしまったラトバラは珍しく頭に血が昇った様子でインタビューでもピー音が入るほどでしたが、立ち直るとタナクらのアクシデントや天候の妙で再びトップへ返り咲き!でも最後は2人のセバスチャンからのプレッシャーのせいかマシンにダメージを受けてしまいました。タナクと共に速さはあるのに、なんだか不運といか。

タナクはチャンピオンシップリーダーになったオジエとは23ポイント差で最終戦に挑みます。優勝は必須条件となり運にも助けてもらう必要がありますが、最後まで応援しますよー。

来季のチームドライバー、クリス・ミーク選手もマキネンさんの隣で笑顔を見せていました。この人マシンの開発においてはかなりの才能がありそうなので、来季のトヨタは戦力高いかもしれませんね。

 

おわりに

ついに王者オジエが選手権首位に返り咲き、今年最後のバトルを迎えることになりました。首位になると出走順のハンデも大きくなるのですが、これまでのように見事に逆境を跳ね返せるでしょうか。トラブルさえなければ首位に立てる速さを持つタナク、前半の調子を取り戻せれば勝てるヌービルと誰が勝ってもおかしくありません。

最終戦ラリー・オーストラリアは11月15日開催です。三つ巴のタイトル争い、最後に笑うのは誰でしょうか?

 

【動画】ステージ1 – 4 ハイライト

 

【動画】ステージ5 – 7 ハイライト

 

【動画】ステージ8 – 10 ハイライト

 

【動画】ステージ11 – 14 ハイライト

 

【動画】ステージ18 – 18 ハイライト

 

【動画】イベント ハイライト

 

 

 

 

画像の出典:TOYOTA GAZOO Racing