【F1 2018】第18戦アメリカGP/キミ・ライコネンという偶像

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鈴鹿サーキットでの感動の余韻に浸っているうちに、F1サーカスは海を渡って第18戦目の舞台アメリカへ。世界中を旅し見る者に夢を与える商売は一箇所に留まってなどいられない。日本での激戦のことなど、まるで130Rのコーナーのように全開で駆け抜けて次のターンに挑みかかる。やっぱり凄く遠い世界だ。

けれど映像を見ているだけで、心の中に刻まれたエンジンサウンドが再び咆哮を上げる。魂は共にある。

ある時代の象徴

オープニングラップ。ターン1での首位争いを制したのはキミ・ライコネン(フェラーリ)でした。2番手の位置からスタートし、大きく反り上がるターン1の入り口までイン側から伸びていく真紅のマシン。すかさずルイス・ハミルトン(メルセデス)があざとすぎる幅寄せで牽制。それでも動揺することなく空いているラインから完璧なブレーキング、ハミルトンの前に出て隙を作らずコーナリング、今度は急角度で下るコーナー出口を先頭で駆け抜ける。タイヤチョイスの妙もあって一気に独走状態に持ち込む華麗なるオーバーテイク。

 

この一連の流れが素晴らしすぎて、直後に起こった後方のゴタゴタに全然気づかないほどでした。

 

思えば僕はライコネンの活躍をそれほど多く知りませんでした。チャンピオンを獲って、なぜかWRCに転向するもパッとした成績は出せず(アスファルトラリーは変に速かった印象が残ってますが)またF1の世界に戻ってきて、あんまり目立つ感じがしないのにファンの人が多いしトップチームにずっと残り続けてるしで本当によくわからない人だなぁと思っていました。今年の途中から見始めたF1では噛み癖の直らないワンコみたいなセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)よりも落ち着いた好走が目立っているセカンドドライバーという微妙な印象だったし。

でも今回のアメリカ戦では序盤から首位に立って、後ろからハミルトンが迫ってきても落ち着いていてどっちがチャンピオンなのかわからないほど。ライコネンの凄さがちょっとわかったような気がしました。

ハミルトンみたいな狡猾さもチーム全体を支配するようなカリスマ性も感じられない。だけど勝てるマシンがあれば勝つし、信頼できるマシンがあればそれに見合った走りを与えてあげられる人。ミハエル・シューマッハの後継者たち、フェルナンド・アロンソやジェンソン・バトン、そしてハミルトンやベッテルもいる厳しい時代に己の流儀を貫きながら頂点に輝いた男。間違いなく1つの時代の象徴だった存在。

表彰台の頂点に立っても飄々としていて(でも嬉しさは表情からこぼれている)5年半ぶりの勝利に馬鹿騒ぎしたりはしない。誰よりも速く走って、誰よりも早くゴールする。それだけなの。それがF1なの。F1ドライバーなんだから当然でしょ?って言われてるような気がする。潔くてかっこいい。だから世界中の人たちから愛されるのかな。

せっかく知ったばかりなのに、こんな人がきっと遠くない未来にいなくなってしまうなんてもったいないなぁ、とも思う。でもマックス・フェルスタッペンやシャルル・ルクレール、ピエール・ガスリーみたいな新しい才能も現れて、次の時代が生まれようとしている。こうやって時代は巡っていく。

 

フェラーリの戦略がハマり、メルセデスの戦略ミスがあったことを差し引いても強かったライコネン。ベッテルもいつもの癖が出なければタイトル争いももう少し面白くなったのに。最強のチームメイトがいなくなった来季もちょっと心配。

 

おわりに

フェルスタッペンが予選でフェルストッパーにまんまと引っかかったり、ブレンドン・ハートレイ(トロロッソ)が入賞したり面白いレースでしたがライコネンのこと考えてたら頭の中はライコネンだらけになってました。

次のメキシコでチャンピオンが決定しちゃいそうな感じですが、だんだん観戦の楽しみも増えてきて最後まで目が離せません!

 

【動画】F1 2018 アメリカGP レースハイライト

 

【動画】F1 2018 アメリカGP トップ5モーメント

Photo by Pascal Richier on Unsplash