【F1 2018】第17戦日本GP/F1は僕らの夢を背負って走る

F1日本グランプリ

飛沫のような雨が降ったり晴れ間が見えたり不安定な空模様。予選Q2の終了間際になって再び振り始めた雨は結果にも影響し、トロロッソ・ホンダの2台が揃ってQ3に進出。直後に雨は上がり、空に架かる虹がその快挙を祝福してくれました。

Q3開始直前。台風の通過による強い風が濡れて黒く染まるダンロップコーナーの路面を急速に乾かしていくと。場内アナウンスがポールポジションを懸けた戦いの始まりを告げました。

「フェラーリのベッテルは……ウェットタイヤのようです」

えぇ?

快晴の空に揺れる応援旗

接触が原因でパンクしたケビン・マグヌッセン(ハース)のタイヤがまるっとコース脇に残されて、回収のためにセーフティーカーが入った後のリスタート。すると直後にお隣に座っていた家族連れのお父さんが悲鳴を上げます。

「ベッテル、またやってもうた~!」

セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と接触。ざわつく周囲を見渡すと、目に映るたくさんの赤い人。さぞ残念なことだろうと一瞬思ったけど大半はフィンランド人推しのようでそうでもなく、地上波でF1を観戦してた頃はたしかベッテルが強かった記憶があったので無情な時代の流れを感じてしまうのでした。頑張って、と心の中でベッテルにエールを送ってみます。

他のトップ3チームのドライバーはせっせと上位を固めていき、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、フェルスタッペンにキミ・ライコネン(フェラーリ)が続き、後方からダニエル・リカルド(レッドブル)が追い上げてくる展開。今回のオーバーテイクショーも主役はレッドブル。トップ3以降との勢いの差は眼の前を通り過ぎる一瞬わかるくらいはっきりとしていました。

ベッテルも追い上げていかなければならないのに、空力パーツの一部を失ってしまったせいか他のマシンの後ろにつくと苦しそう。後日DAZNで確認するとスリップに入ってフラフラしてるシーンもありました。

スタートで失敗してしまったブレンドン・ハートレー(トロロッソ・ホンダ)の前に出たピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)は良いペースで前を行くロマン・グロージャン(ハース)に必死で付いていきます。でも20周あたりからタイヤが保たずズルズルと遅れていき、それでもステイアウトを判断する非情なトロロッソ軍団。全員がタイヤ厳しい状況なら才能も発揮できるだろうけど、周りがそうでもなさそうな中で1人耐えているのを見るのはちょっと忍びない。この後35周目にはシャルル・ルクレール(ザウバー)を抜いてポイント圏内の10位まで戻すんだけど、交換したソフトタイヤも最後まで保たせられずカルロス・サインツJr.(ルノー)にパスされ最後は11位フィニッシュ。圏外落ちしたときには、あぁ~っていう大きな悲鳴が響き渡りました。

ちょっとガスリーのタイヤマネジメント能力に頼りすぎてない?ハートレーくんも同じくらいのスキル求められててしんどそう。

 

後半になって冷静さを取り戻したベッテルも35周目になって6番手に浮上。これでトップ3チームの6台が完全に上位を占め、残された入賞圏内7~10位の取り合いに。ここに来てハッとさせられます。カラーリングは目立つのに、お騒がせな話題がないと全然目立たないセルジオ・ペレスとエステバン・オコンのフォース・インディア勢。でもその理由がわかったような気がします。

このチーム実はなんだか速くて、トップ3とそれ以降ダンゴ状態になっている2つのグループのちょうど中間という感じ。ちょうど競い合うレベルのチームがいなくなっちゃって淡々と自分たちのペースでフィニッシュを目指しているとあら不思議、いつもの入賞圏内に足場を固めてしまうのです。今回は2人のドライバーの間にグロージャンが入ってますが、チームとしてライバルよりもすごく腰の座った戦い方をしているように見えました。

決勝が始まる前にピンク色のグッズを売っているお店を探したけど見つからず(まだいろいろと難しい時期なのかな?)残念でしたけど、もし乳がん検診の啓発キャンペーンブースでも出していたら結構な人を集められたんじゃないですかね。

 

快晴のレースになったおかげで手堅い結果となりハミルトン圧勝、ボッタスは最後ちょっと危なかったけど2位でメルセデスのワンツー。フェルスタッペンは5秒ペナルティをもらっていたけど4位のリカルドが最後にずっこけて3位キープ。ライコネンは彼らしく淡々と走っていました。決して望んでいた結果ではなかったんだけど納得がいく順位。誰もがいがみ合うことなく各自応援するドライバーに振られる応援旗。胸がいっぱいになりました。全てのドライバーに送りたかったなぁ。リタイヤした選手は来年ちゃんと完走してくださいね!

初めて目の前で見たF1グランプリは、画面の向こう側の世界とは全く異なっていました。音が近づいてきたと思ったら猛スピードで目の前を通過していくカラフルなマシン。音自体は大人しくなったみたいですが(近くにいた少年が、耳痛くならないねっ!ってお父さんに話していました)それでも興奮せずにいられないエンジンサウンド。レース全体の流れが全然つかめなくて(一応ピエール北川さんの実況はどこでも聞こえるし、モニターも遠いけど見えました)どこかで歓声が上がって少し経ってからマシンが一周してくると順位が入れ替わっていてビックリするのも面白かったです。スマホでライブ配信見ながらってのもできるけど、ひっきりなしに通るフォーミュラカーから一秒たりとも目が話せなくってそれどこじゃなかったです。

 

1秒でも速く、1ミリでも前に。人間が機械の力を借りて物理の限界に挑む探究心と追いかけっ子をする子供みたいな純粋に楽しむ気持ち。異なって見えるベクトルがひとつになって押し寄せる。先人たちから受け継いだ技術を、いつか諦めてしまった多くの夢を、必死で抱えてまだ走り続けている人たちがいる。僕たちだってまだ夢を見られる。レースに関わる彼らとマシンの咆哮を通して。それがF1の意義でもあるのかもしれません。

幸運なことに今年で最後にはならず、ほんの少しだけ延長が決まった日本グランプリ。もしも潰えてしまえば多くの夢のかけらも消えてしまいます。可能な限り続いてほしい。そして再び逢いに行きます。

 

おわりに

今回は鈴鹿サーキットで初めての現地観戦でした。モニターごしの観戦も楽しいけれど、画面の向こう側の世界が本当に存在して、そこに自分がいたんだと思うと今までよりもレースが色鮮やかに見えて、DAZNさんのレース中継を見ながら思い出していると興奮が蘇ってきました。

観戦記はまだ別の機会に書こうと思います。

 

【動画】F1 2018 日本GP レースハイライト

 

【動画】F1 2018 日本GP トップ5モーメント