【WorldRX2018】世界ラリークロス選手権 第9戦ラトビア/勝率88%の男

世界ラリークロス選手権第9戦ラトビア

モータースポーツでは過去の記録を根こそぎ塗り替え、ときにはルールさえも変えざるを得ないほどの強さでシーズンを席巻する者が突然現れることがあります。

その出現はいつも予測できず、気づいたときには全てを支配する存在になっている。今年は目の前でまさにそんな状況になっている歴史的な瞬間なのかもしれません。

ほぼ完全試合の絶対王者

予選Q1、Q2、Q4を制し、セミファイナルをトップ通過、ポールポジションを獲得したのはまたしてもヨハン・クリストファーソン(PSRXフォルクスワーゲン・スウェーデン:ポロR GTI)。シーズン全12戦のうち8戦で7勝しここまでの勝率は88%と怪物化した彼を止められる者は存在するのでしょうか。

決勝のスタート。最初のターン1までしっかりとインを締め、真後ろから隙を狙うマティアス・エクストローム(Team EKS:アウディS1)を完全ブロック。アウト側にいた2番手スタートのセバスチャン・ローブ(チーム・プジョー・トタル:プジョー208 WRX)はエクストロームに外側に押し出されたところをニコラス・グロンホルム(GRX・タネコ・チーム:ヒュンダイi20)に突かれ4番手にまで後退。チームメイトのティミー・ハンセン、ケビン・ハンセンらがその後ろに続きプジョー勢にとっては苦しい展開に。ここで早くもローブ、ケビンがジョーカーラップを選択し後半の勝負に備える動きを見せます。

2周目に入るとクリストファーソン、エクストロームが快調に飛ばし後続との差を広げていき、追走する3番手のグロンホルムはティミーと接戦に。頭を抑えられている形になったティミーがここでジョーカーラップを通過。合流地点ではローブに前を譲り、プジョー勢は全車義務をこなし後は追い上げるだけです。

フォルクスワーゲン、アウディ、プジョーの3強の一角を崩し決勝に乗り込んだヒュンダイのグロンホルム、他のマシンと遜色ないタイムで好走を続けエスクとロームとともに3週目でジョーカーラップへ。しかし前の周で猛プッシュしていたローブに出口付近での順位争いで前を出られ4番手に後退。経験豊富なプジョーの巧みさが新興勢力に厳しい洗礼を浴びせます。それでもグロンホルムはローブに最後まで食らいつく姿勢を崩しません。

トップ3とそれ以降との大きな違いはライン取り。セミファイナル常連にもなるとどのコーナーでもイン側の縁石を綺麗にトレースし、出口に向いたドリフトのアングルも安定しています。なのでコースの最短経路を取れるし加速に移るタイミングも早く、結果としてタイムに現れます。

予選通過が難しいドライバーになるとコーナリング中にイン側にマシン半分から1台分の隙間があり、マシンコントロールの上手いドライバーが後ろにいる場合に簡単にパスされてしまいます。

さすがに映画「ワイルド・スピード」シリーズに見られるような派手はドリフトは以前のように見られなくなりましたが、マシンの性能だけでなくドライバーのテクニックにもトップクラスとから大きな差があるのが現状です。

グロンホルムは2015年からWorldRXに参戦し経験も豊富。トップドライバーたちに近いライン取りもできており、今シーズンになってファイナルでも戦える性能を持つマシンも手に入れたことで存在感を増してきています。

 

話はレースに戻り、5週目にようやくクリストファーソンがジョーカーラップを通過。すでに後続との差は大きく、余裕を持って本コースへと復帰。戻った時点でもエクストロームとは2秒以上の差がありこの時点で勝利はほぼ確定。それでも最後まで全く手を緩めること無くクリストファーソンが圧勝でフィニッシュラインを通過し6連勝、今シーズン9戦中8勝という驚愕の大記録達成となりました。

 

おわりに

電気自動車への移行という不確定要素もあり来季以降レギュレーションがどこまで見直されるかはわかりませんし、今季でアウディが撤退してしまうのでますますクリストファーソンとフォルクスワーゲンの牙城を崩せる可能性が少なくなっています。

そんな中、ヒュンダイのi20とニコラス・グロンホルムという存在が新しい希望になってくれたら良いなど密かに楽しみにしています。あとメガーヌ・ルノーもポテンシャル高そうだし見た目一番かっこいいのでもっと目立って欲しいな。

 

画像の出典:FIA World Rallycross Championship