8月16日より、世界ラリー選手権(WRC)の第9戦、ラリー・ドイチェランドが開催されます。久しぶりのターマックラ(舗装路)、そして独特の表情を持つ過酷なラリー。ワインを飲みながら観戦するのも楽しいです。
概要と見どころをご紹介します。
概要
ラリー・ドイチェランドランドは大きく分けて3つの顔を持っています。1つ目はぶどう畑。一面に広がるぶどう畑の間に伸びる農道は視界が狭くハンドブレーキを使ったヘアピンターンも多いトリッキーなコース。畑の中に飛び込んでしまうマシンもいますが、農場主は嘆くどころか嬉々として生産されるワインのラベルにそのドライバーの名前を刻みます。
2つ目は軍事演習場。バウムホールダーを中心とした区域は戦車の演習場などがあり、見た目も一気に変わります。コンクリート製の路面はコンディションにより摩耗率が大きく変動し、道脇には戦車すら止めるヒンケルシュタインがありマシンは触れただけでも無事では済みません。
3つ目は湖畔。開けた視界に飛び込んでくる美しい風景。コースは狭いけどスピードの出るステージなので一瞬も油断ができません。
天候も変わりやすく、3種類のラリーにタイヤマネジメントも一苦労。18ステージ、325.76kmの工程はフィンランドの豪快さから打って変わって繊細な匠の技術が求められるラリーです。
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【動画】プレビュークリップ
【動画】ステージ紹介
見どころ
タナクの逆襲?
一度は選手権争いを諦めた発言をしていたタナク選手でしたが、ヌービル、オジエといった優勝候補ドライバーが苦しんでいる最中にサクッと勝ってしまったもんだから、精神的にもポイント的にもまだまだ後半はイケるぞっ!って気分になったみたいです。
トヨタとしてもフィンランドでの良い結果に自信を取り戻したでしょうし、マシンの信頼性を確かなものにするためにも続けての勝利を目指して欲しいです。去年は調子の良かったラトバラさんがマシントラブルによってチャンピオンを諦めざるを得ない状況になってしまったので、同じことの繰り返しはいけませんよ。
ヌービル、オジエの調子は?
チャンピオンシップの行方はヌービル、オジエの2人に絞られたはずでした。しかしフィンランド戦では共に良い結果を出せず下位に沈んでしまった両ドライバー。ヌービルは先頭走者ゆえのハンディキャップとペースノートのミスにより初日で大きく順位を落とし、オジエはアップデートの成果が思うように出せずチームメイトに助けてもらっての入賞でした。
ターマックではハンデも少なくなるので、今回は自分のペースで走れるはず。もしもここでも不調なら後半ライバルたちの激しい追い上げに合うことでしょう。
ソルド復活!
なかなか良い成績を残したパッドンには申し訳ないのですが、彼の復活も待ち望んでいました。優勝にはなかなか手が届かないものの、表彰台争いにはきっちり絡んでくる大ベテランが3戦ぶりに出走です。
安定したドライビングテクニックに加え、以前からターマックの速さは誰もが認めるところ。ヒュンダイは4人もドライバーを抱えていて戦略で誰を出すか決めるから出られないことも多いのですが、いざ出番が来たときに結果が出せるからすごい。
ドライバーの人材が少ないシトロエンは、この人取ればいいのに。
おわりに
ツール・ド・コルス以来、久しぶりのフルターマック戦になります。土煙を巻き上げながらのダイナミックなドリフトシーンはありませんが、普段の道路ではありえないスピードで駆け抜け、ターンしていくマシンの姿はやはり異質の凄みがあります。
ハイライトはYouTubeでも無料で配信されていますので、是非楽しんでみてください。
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画像の出典:TOYOTA GAZOO Racing