世界報道写真展2018/写真を通じて感じる世界

世界報道写真展2018

今年も世界報道写真展に行ってきました。写真撮影が趣味でもないのにどうして毎年足を運んでいるのでしょう。

何に魅せられ、何に価値を見出しているのか、考えてみました、

写真を通して「世界の今」を知る

世界中で日々いろんなことが起こっています。その中で目にしたり耳にできる情報は、ほんの僅かしかありません。遠い地域になればなるほど報道される機会も減っていきます。世界報道写真展では作品を通して世界全体の大きな流れが見てとれます。

例えば数年前に難民問題が日本でも話題になりました。当時の出典作品にも難民に関連する写真が多く、世界中が危惧し注目しているニュースだと肌で感じられました。また、どこかの国の紛争を取り上げた写真が、別の国の泣いている子供の写真と根底ではつながっているのかもと直感が働くのも、世界の出来事が写真として横並びになっているからこそでした。

他にも「環境破壊が世界中で進んでいる」という言葉に今更驚く人はあまりいないと思いますが、環境破壊の一端を写真で目の前に突きつけられると、どれほど人類が愚かな行為を続けているんだろうと身が震えるくらいの恐怖を感じます。

人々の感情の起伏も見えてきます。今年は数年前のような大きな力の動きが幾分落ち着いたように感じました。でもそれは良い意味ではなく、怒りのエネルギーさえ枯渇してしまい諦めや絶望が広がっている。そんな風に思えたのです。

地球上には美しいものもたくさんのに、危険で悲しいことが相対的に増えているような気がするのはとても残念ですが、それでも目を逸らさずに向き合うために毎年写真を飾るパネルの前に立っています。

 

「多様性」の意味を知る

いつもいつも写真を見ながら思うことは、自分の小ささです。地球の人口は70億を超え、他の生命を合わせれば想像もつかない数に及びます。その命の一つひとつが異なる生き方をして多様な生態系や独自の文化を創り出しています。

多様性って言葉がありますが、意味するところは人それぞれ。決められた道を歩き、欲しいものだけを手にして生きるだけの人生では幅が広がりません。特に日本のように周りと同じであることで安心してしまう社会だと、異なるものを受け入れる感覚さえ弱ってしまいそうな気がします。

報道写真だからって残酷なシーンばかりではありません。いまだ神秘を秘めた地球で起こる一瞬をプロのカメラマンが収めた奇跡みたいな作品などもあり、それらを眺めているだけでも世界観が広がっていきます。

全部を知り全てを受け入れる必要なないと思いますが、自分の外側に広い広い世界がどこまでも続いていることを思い出させてくれる、今では大切な儀式になりました。

 

今年はコラボも実現

実は国境なき医師団の方も僅かばかりですが寄付という形で長年応援を続けていて、ずっと見続けてきた世界報道写真展とのイベント開催は個人的にとっても大きなサプライズでした。トークゲストの渋谷敦志さんはフォトジャーナリストとして、菊地寿加さんは国境なき医師団の看護師として何度も世界中で医療を必要としている場所に赴き、肌身で現場を知る方々。救わなければならない人はまだまだいるのに届かないもどかしさと、過酷な状況でも自分を見失わないタフを強く感じました。

菊地さんはイベントの翌日に次のミッションのため旅立たれるということでお忙しい中お話を聞かせていただきました。とっても笑顔さ素敵な方で、医療の手腕だけでなく、世界に通じるあの笑顔でも多くの人が救われるんだろうなぁと思いました。

渋谷さんのお話も長年に渡って続けられたからこその重さがあり言葉を失いました。生まれたときから希望を知らずに生きて少女の、未来も何も映っていない瞳。今は何もできないかもしれない。でも救いたいという気持ちが未来に何かを生み出すかもしれない。写真にはそんな力があると信じたくなりました。

世界報道写真展2018(東京都写真美術館)

 

おわりに

東京開催の後は、8月7日の大阪を始め西日本を巡回する予定です。機会があれば、ぜひご覧になってみてくださいね。

世界報道写真展2018(キャノン)