【WorldRX2018】世界ラリークロス選手権 第6戦スウェーデン/VWを誰が止めるのか

世界ラリークロス選手権第6戦スウェーデン

世界ラリークロス選手権の第6戦スウェーデンが6月30日に開催されました。全12ラウンドの折返し地点に差し掛かり、そろそろ選手権争いを意識し始める頃。良い結果が欲しい!という気持ちが命運を分ける結果になりました。

世界ラリークロスのルールは以下の記事に書いてありますので事前に読んでおくことをおすすめします。

第6戦スウェーデン

第6戦はスウェーデン、ヘリェスサーキット。首都ストックホルムから北西に約350km、お隣ノルウェーとの国境近くに存在するラリークロスではおなじみのコース。

フォルクスワーゲンチームの本拠地で、なおかつ同チーム所属で選手権リーダーのヨハン・クリストファーソン選手のホームラウンド。他にもプジョーのハンセン兄弟を始め多くのドライバーにとって重要な母国開催です。

コースレイアウトは、一見簡単そうに見えるのに実は全然違って超テクニカル。各コーナー毎に攻略法が必要になるし、どんな挙動にも対応できるように気持ちも準備しておかなくてはなりません。1コーナーなんて完全にブラインドで、ジャンプしたらどこに着地するのかわからないよ…。とはティマ・ティマジヤーノ選手(Team STARD:フォード フィエスタ)の感想です。

ヘリェスサーキット レイアウト(FIA World Rallycross Championship)

 

予選~セミファイナル:猛威を振るうフォルクスワーゲン

開催1日目に行われたQ1、Q2ではヨハン・クリストファーソン選手(PSRXフォルクスワーゲン・スウェーデン:ポロR GTI)が今回も勢いが衰えずトップタイムでライバルをリード。

2日目のQ3ではチームメイトのペター・ソルベルグ選手がトップを奪い、第5戦イギリスから続いていたクリストファーソン選手の予選連勝記録を7で止めました。

クリストファーソンはジョーカーラップに深く進入し過ぎてわずかにタイムロスしたようでしたが、Q4ではまた取り返しフォルクスワーゲン勢が圧倒的な強さでセミファイナルへと進出。その後ろにはティミー・ハンセン選手(チーム・プジョー・トタル:プジョー208 WRX)、アンドレアス・バックルド選手とマティアス・エクストローム選手のアウディ勢が続き、6番手にはなんとティマジヤーノ選手が飛び込んできました。

 

セミファイナル1でもクリストファーソン選手がトップ通過、ティミー選手とエクストローム選手までが決勝進出。セバスチャン・ローブ選手(チーム・プジョー・トタル:プジョー208 WRX)は4位となりセミファイナルで姿を消しました。

セミファイナル2ではバックルド選手がトップに。ケビン選手が続き、決勝ではハンセン兄弟がセカンドローに並びます。もう1人、決勝に駒を進めたのはジェローム・グロッセ-ジャニン選手(GC Kompetition:メガーヌ・ルノーRS)、初のファイナル進出です。ソルベルグ選手は序盤リードしながらもエンジンが炎上し完走できませんでした。マシンを降りた後もすっごく悔しそうな様子でした。

【動画】Q1ハイライト

【動画】Q2ハイライト

【動画】Q3ハイライト

【動画】Q4ハイライト

 

決勝:ぶつかり合いの2番手争いが面白い!

綺麗な編隊を組んで飛び出した6台。やはりクリストファーソン選手が頭1つ抜け出して1コーナーへ。全車アクシデントもなくクリーンなスタートになりました。

2コーナーで早くも戦略が別れます。ジョーカーラップを選択したのはティミー選手、エクストローム選手、そしてグロッセ-ジャニン選手。バックルド選手とケビン選手はクリストファーソン選手に引けを取らないタイムで追走しますが、2周目にマシントラブルでケビン選手が脱落してしまいます。

3周目になるとクリストファーソン選手とバックルド選手の距離が徐々に開いていきます。その後ろではティミー選手とエクストローム選手の一騎打ちが始まり、ペース的には上のエクストローム選手に対し冷静にブロックするティミー選手との攻防は最終ラップまで続きます。2台ともジョーカーラップをクリアしているので、コース上で前に出るしかありません。

後続との距離を十分に取って、いよいよファイナルラップでクリストファーソン選手がジョーカーラップに。4周目あたりからギアが入りにくくなっているようで多少挙動が乱れましたが難なくトップでコースに復帰。しかし2番手のバックルド選手がジョーカーラップを抜けると、そこにはティミー選手、エクストローム選手の2台が待ち構えているのでした!

なんと2台の間にあった僅かな隙間にスッポリと収まってしまったバックラッド選手。前にぶつかるわ後ろから突かれるわで大ピンチ。ですがここで引くような性格ではありません。ティミー選手がアウトに膨らんだ一瞬の隙をついてインに飛び込み2位に浮上。動揺したのかペースが落ちたティミー選手は今度はエクストローム選手にインを突かれてしまいます。ここで2台は強く接触しティミー選手はコースからグラベルゾーンまで弾き飛ばされ、ゴールまで残りコーナー2つのところでストップてしまいました。

後続の競り合いをよそにクリストファーソン選手が勝利。2番手にバックルド選手。ティミー選手を抜き3番手でフィニッシュしたエクストローム選手は審議の末6位に降格となり、4位のグロッセ-ジャニン選手がチーム最高位の3位に繰り上がりました。

最終結果は以下をご覧ください。

第7戦リザルト(FIA World Rallycross Championship)

【動画】決勝ハイライト

 

感想:強さの秘密はダッシュだけではなかった

勝利後は、良きライバルでもありチームのボスでもあるソルベルグ選手直伝?の箱乗りパフォーマンスで締めたクリストファーソン選手。決勝で彼を下す方法はスタートから1コーナーまでの間に前に出て鼻先を抑えるくらいしか無いのですが、今回も最高のスタートを決めたのはクリストファーソン選手。後続も負けない走りでしたがポールスタートというポジションのアドバンテージを覆すことはできませんでした。

しかし、クリストファーソン選手の強さの秘密はそれだけではありませんでした。決勝では全員ハイレベルなので気づきにくいのですが、予選を見ているとスタート直後の1コーナーの入り口で彼だけブレーキングポイントが非常に奥にあり、その瞬間に他のマシンの渋滞から大きく前に飛び出すのです。スタートダッシュの上手さだけでなく、ブレーキの限界を正確に把握できる能力と、ギリギリまで我慢する勇気も強さの秘密のようです。もちろんマシンの性能が伴ってこそ為せる技ですけど。これはボス(ソルベルグ選手)のおかげでしょうか。

最大のライバル、アウディ勢は荒ぶるエクストローム選手が接触で降格となり、これで決勝でのペナルティは今季3度目になります。どこまで許されるのか線を引くのは難しいし激しいバトルも見たいけど、他車を壊すような当たり方はやめて欲しい。代わりにバックルド選手がマシンに慣れてきたのか調子を上げ、あともう少しでクリストファーソン選手に追いつけそうなところまで来ています。フォルクスワーゲン勢を止められるのはこの男なのかも。

 

おわりに

次戦は北米大陸に舞台を移します。昨年の勝利者はクリストファーソン選手ということで、今季の勝利数はまだまだ伸びていきそうです。

第7戦カナダは8月4日開催です。お楽しみに!

 

画像の出典:FIA World Rallycross Championship