【WRC2018】世界ラリー選手権 第5戦ラリー・アルゼンティーナ(アルゼンチン)の感想です

wrc第5戦アルゼンチン

シェイクダウンでラトバラ選手がトップタイムだと・・・?何かが起きる予感にソワソワしながら迎えた世界ラリー選手権 第5戦ラリー・アルゼンティーナ(アルゼンチン)は、良くも悪くも運に大きく左右される過酷なレースになりました。

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トヨタ・ガズー・レーシングWRT(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)

マシン:トヨタ ヤリスWRC

オット・タナク選手/マルティン・ヤルベオヤ選手:優勝
エサペッカ・ラッピ選手/ヤンネ・フェルム 選手:8位
ヤリ‐マティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手:リタイア

木曜夜のオープニングステージを2番手で終え、金曜日からの本格的なグラベルコースに挑むタナク選手を不運が襲います。朝のステージ開始からわずか10分ほど、オジエ選手に続き2番手で出走したタナク選手は右コーナー内側に隠れていた岩にヒットしハーフスピン。狭い場所に横向きになって停止することになり、ヨイショヨイショとマシンを切り替えしてレースを再開するまでに約20秒もタイムロスしてしまいました。

衝撃で歪んでしまったステアリングを急いで応急処置するタナク選手。これで優勝から遠ざかったかと思ったのですが、なぜかここからジェットエンジンが点火したかのように猛プッシュ。サービスに戻って修理するまでに首位に立ち、万全な状態に回復した午後は更に加速。2位から5位までが約15秒の中に収まる激戦なのに、タナク選手だけは2位のルービル選手に約22秒の差をつけ金曜日の時点で優勝をほぼ確定させてしまいました。ロスした約20秒を合わせるとライバルたちより40秒速いって、ツール・ド・コルスのオジエ選手並の異常な強さです。

これでタナク選手はトヨタ移籍後初勝利。だけど全然そんな風に思えない王者の貫禄が漂っていました。

 

シェイクダウンではトップタイム、好調をアピールしたラトバラ選手もステージ3で右コーナー内側に隠れていた岩にヒット。こちらはサスペンションとオイルの潤滑システム系を破損してしまいリタイア。直前までトップタイムをマークしていたラトバラ選手に幸運の女神は振り向いてくれませんでした。その後のインタビューでも「これまでの人生で間違ったことしてきたんじゃないかとか考えちゃった」みたいな発言があって心配しましたが本当に大丈夫かな・・・。次こそは鬱憤を晴らしてください。

そしてもう1人のドライバー、ラッピ選手も不運が続きました。3度にも及ぶパンクに「どこにもぶつけてないもん」なんてインタビューではスネてしまったラップ選手。ダイナミックにコースアウトするし最終ステージではストールするし、彼にとってもアンラッキーな週末でした。

 

同じ岩へのヒットでも大きく命運が別れてしまったタナク選手とラトバラ選手。アルゼンチンは柔らかい砂地や草木の茂みに小さな岩や岩盤が隠れていて、ぶつけてしまうと弾き飛ばせず衝撃がマシンに返って来るので非常に危険です。ラトバラさんの場合はスピードに乗っていたときだったので相当のインパクトだったはず。大きな事故にならずラッキーだったと思いたいです。

 

ヒュンダイ・シェル・モービスWRT(Hyundai Shell Mobis World Rally Team)

マシン:ヒュンダイ i20 クーペ WRC((HYUNDAI i20 COUPE WRC)

ティエリー・ヌービル選手/ニコラ・ジルソウル選手:2位
ダニ・ソルド選手/カルロス・デル・バリオ選手:3位
アンドレアス・ミケルセン選手/アンダース・イェーガー選手:5位

全員が前戦ツール・ド・コルスから順位を上げてのフィニッシュ。序盤はミケルセン選手の方が調子が良かったので、パンク&ストールで順位を落としたのは悔しかったでしょうね。ヒュンダイの中で一番大きな不運をもらってしまいました。

オジエ選手と同じくヌービル選手は出走順の関係で序盤にペースを上げられず(チャンピオンシップ上位からの出走なので、コースのお掃除役になってしまい良いタイムが出しにくい)、飛ぶように走るタナク選手に追いつけませんでした。でもズルズルと順位を落とすのではなく、しっかりと2位をキープした走りに徹していました。クールなときの彼は強いのです。

いつも安定のソルド選手もしっかりと完走して3位表彰台。これでヒュンダイのマニファクチャラータイトル奪取へ大きく前進です。

 

Mスポーツ・フォードWRT(M-SPORT FORD World Rally Team)

マシン:フォード フィエスタ WRC(FORD FIESTA WRC)

セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手:4位
エルフィン・エバンス選手/ダニエル・バリット選手:6位
テーム・スニネン選手/ミッコ・マルックラ選手:9位

オジエ選手がどうしても勝てない場所。それがアルゼンチン。今回もチャンピオンシップリーダーの責務である一番手出走による不利と、柔らかい砂地によるトラクションの弱さが響き表彰台に立てませんでした。それでも粘りの4位入賞とパワーステージでの4ポイントを奪い取り、ヌービル選手とは10ポイントの差を残しています。

相棒のバリット選手がレースに復帰し、昨年0.7秒差でヌービル選手に敗れ優勝を逃した雪辱を晴らしたかったエバンス選手もオジエ選手と同様ペースが上がらなかったことから、柔らかい砂地が苦手なのはフォード・フィエスタの特性なのかもしれません。

最後には「みんなで分析してこういうコンディションでも改善できる箇所を探していく必要があるね」と前向きな発言。運は味方してくれませんでしたが、オジエ選手の闘志は全く衰えていませんでした。

フォード勢で幸運だったと強いて言えるのはスニネン選手でしょうか。道脇のバンクに引っ掛けあわや横転あり、犬がマシンの前を横切るハプニングありのレースでしたがなんとか完走。彼もやっぱりグリップが足りないと嘆いていました。柔らかい路面はMスポーツの意外な弱点になるかも?

 

シトロエン・トタル・アブダビWRT(CITROËN TOTAL ABU DHABI World Rally Team)

マシン:シトロエン C3 WRC(Citroën C3 WRC)

クリス・ミーク選手/ポール・ネイグル選手:7位
カリッド・アル・カシミ選手/クリス・パターソン選手:14位
クレイグ・ブリーン選手/スコット・マーチン選手:リタイア

マシンのアップデートを公表したものの、その真価を結果につなげられず終わってしまったアルゼンチン。それでもミーク選手の感触は良好なようで、方向性は間違っていないよと太鼓判。土曜日最後のステージでパンクしなければ表彰台に上れた可能性もありました。

超アンラッキーだったのは久しぶりの出走となったブリーン選手。6位とまずまずの順につけて挑んだステージ11で横転。ベッコベコになったマシン、そして閉まらなくなったドアをマーチン選手が押さえながら走りますがダメージが大きくリタイアとなってしまいます。復帰直後でハードなレースになり、まだ感覚が戻ってきてないんでしょうかね?

もう1台のアル・カシミ選手がなんとか完走しましたがポイント圏内には入れずチームの低迷からは抜け出せませんでした。

 

今回はミークさんおとなしいな~と思ったらやっぱり彼らしいアクシデントが起こっていて、コーナーをショートカットしすぎて道脇のポール(郵便受けかな?)をギリギリかすめてました。本当にギリギリだったので見てて変な声が出てしまいましたよ。

 

おわりに

オープニングステージではグラベルセッティングのままターマック走行を披露し、コーナリング時にサスペンションがビロンビロンに伸びる珍しい光景が見られたり、SF映画に出てきそうな絶景の中をラリーカーが駆け抜けるシーンに心踊ったりと動画を見てるだけでも楽しいイベントでした。いつか実際に足を運べたらいいな。

路面状況がシビアで、知らないうちにパンクしている現象が非常に多かった今回のラリー。風がなくて前走のマシンが巻き上げたダストが残っていたり濃い霧が出たりと、ただでさえ走るのが大変なのに追い打ちをかける自然の脅威。ラリーの過酷さと魅力を存分に楽しめた一戦でした。

第6戦ラリー・ポルトガルは5月17日開催です。お楽しみに!

 

 

ハイライト動画集

【動画】ステージ1 ブリーン選手の走行シーン

 

【動画】ステージ2 – 5 ハイライト

 

【動画】ステージ6 – 8 ハイライト

 

【動画】ステージ9 – 11 ハイライト

 

【動画】ステージ12 – 15 ハイライト

 

【動画】ステージ16 – 18 ハイライト

 

【動画】総集編

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