【WRC2018】世界ラリー選手権 第4戦ツール・ド・コルス(フランス)の感想です

WRCツール・ド・コルス

4月6日から8日にかけてWRC(世界ラリー選手権)の2018年シーズン第4戦ツール・ド・コルス(フランス)が開催されました。

今季初のフルターマック(舗装路)ラウンド、を各チームごとに感想を書いていきます。

Mスポーツ・フォードWRT(M-SPORT FORD World Rally Team)

マシン:フォード フィエスタ WRC(FORD FIESTA WRC)

セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手:優勝
エルフィン・エバンス選手/フィル・ミルズ選手:5位
ブライアン・ブフィエ選手/クサビエ・パンセリ選手:リタイア

1日目を終えた時点で後続との大きなギャップを作り、余裕を持ったレース運びでイベントを完全にコントロールしての優勝。圧倒的な強さでした。

初日のインタビューで「ほぼ完ぺきなレースだね!」と質問されて「ほぼかよ笑」と切り返すほどの余裕っぷり(”ほぼ”なのは、最初のステージでストールしたり出だしがちょっとバタバタしてるように見えたからなんですが)。

他車がセッティングに苦しんでいるのに前半からオジエ選手だけ先へ先へとアクセルを踏んでいく姿は、自分の技術とマシンの反応、そしてコ・ドライバーに対する信頼がなければできないことです。オジエ選手はその全てにおいてトップクラスなんだと再認識しました。

 

エバンス選手はメキシコのクラッシュで負傷したダニエル・バリット選手に代わりフィル・ミルズ選手と参戦しました。かつてペター・ソルベルグ選手と共に世界チャンピオンに輝いたミルズ選手は長い間エバンス選手のサポートを続けていたため、お互いよく知る関係。エバンス選手はソルベルグ選手と一緒で口を半開きにして運転するので、見ていてなんだかデジャブな感じでした。初コンビでは全開で攻め切ることはできなかったようですが、今回は大きなトラブルもなく無事に5位入賞。最後のパワーステージでストール?がなければ4位になれたかも。

ブフィエ選手はモンテカルロに続いてパンセリ選手と共に戦いましたが、エンジントラブルでリタイアでした。スポット参戦では毎回環境に合わせるのも結果を出すのも大変ですね。

成績だけ見ると盤石の体制に見えますが、やっぱりオジエ選手に頼る部分が大きすぎるのが心配。

 

トヨタ・ガズー・レーシングWRT(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)

マシン:トヨタ ヤリスWRC

オット・タナク選手/マルティン・ヤルベオヤ選手:2位
エサペッカ・ラッピ選手/ヤンネ・フェルム 選手:6位
ヤリ‐マティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手:リタイア

トヨタ移籍後初のターマック戦となったタナク選手は、序盤はセッティングに苦しんでいましたが徐々に順位を上げて2位フィニッシュ。ラッピ選手も最終順位は6位に終わりましたが、パンクがなければ3位表彰台も手に届く位置にいました。

最近のトヨタは後半に速くなる傾向があるのですが(オジエ選手が後半に無理をする必要もないくらい強いということでもあります)、今回も最終日のステージ勝利をタナク選手とラッピ選手が分け合う形となりました。次は序盤からオジエ選手のペースについていけるようになりたいですね。シェイクダウンの時点でもっとセッティングを詰められると勝機が見えてきそうです。

ラトバラ選手がリズムを掴みかけたところでのリタイアは痛かったですが、チームとしては良い結果が出て少しホッとしました。早く3台揃って表彰台に上がるような大活躍を見てみたいです。

 

ヒュンダイ・シェル・モービスWRT(Hyundai Shell Mobis World Rally Team)

マシン:ヒュンダイ i20 クーペ WRC((HYUNDAI i20 COUPE WRC)

ティエリー・ヌービル選手/ニコラ・ジルソウル選手:3位
ダニ・ソルド選手/カルロス・デル・バリオ選手:4位
アンドレアス・ミケルセン選手/アンダース・イェーガー選手:7位

今さら表彰台くらいでは満足できないヌービル選手。それでも我慢の走りで3位表彰台です。最終ステージではマシントラブルもあり、ものすっごい不機嫌でしたけど。序盤でポイントを稼ぐことがどれだけ重要かは去年身をもって知ったはずなので、オジエ選手に突き放されても諦めずに置い続けてほしいです。

ターマックが得意なソルド選手は4位、オールラウンダーのミケルセン選手が7位と成績だけ見ると悪くないのですが、全車アンダーステアに終始苦しめられていました。ヒュンダイi20にとっては毎年のこととはいえ今年はターマックでその特性が強く出てしまうようになったのでしょうか?2人とももっと活躍するんじゃないかと思っていたのに。特にどのチームでも結果を出してきたミケルセン選手が手を焼くなんてよっぽどのことですから。

 

シトロエン・トタル・アブダビWRT(CITROËN TOTAL ABU DHABI World Rally Team)

マシン:シトロエン C3 WRC(Citroën C3 WRC)

クリス・ミーク選手/ポール・ネイグル選手:9位
セバスチャン・ローブ選手/ダニエル・エレナ選手:14位

道脇の溝に見事にハマり早々にリタイアとなったローブ選手に続いて、ミーク選手もコースオフでリタイアと最悪の結果になったシトロエン。安定感のあるクレイグ・ブリーン選手がいれば5位入賞くらいは確保できたかもしれないのに。

ネイグル選手のペースノート読み間違いが原因らしいですが、コースオフする前の長い左コーナーもずっとアウトに膨らんだままだし、スピードも出過ぎていて少し違和感がありました。ミーク選手も集中力切らしていたのかな?ステージが終わるたびにヘトヘトになっていたし精神的に大変なレースだったようです。

ローブ選手は世界ラリークロス選手権の方では優勝争いに絡むくらいの活躍を期待していますよ。

 

全体を通しての感想

10,000コーナーのラリーと呼ばれるツール・ド・コルス。オンボード映像を見ると、コーナーコーナーまたコーナーの連続でミーク選手のように1ステージでグッタリしてしまうのも無理はありません。ミケルセン選手もコ・ドライバーからの情報が多すぎるよ!と嘆くほど。コースもクネクネしているので、1つ先のコーナーの向こうが見えず、ペースノートを読み上げるタイミングも非常にシビアそうでした。

そんな中、各ドライバーがセッティングに苦しんでいるうちにオジエ選手が抜け出して初日で優勝が決まってしまったような展開になりました。コーナーに対する反応も早いし、マシンのレスポンスもかなりクイックだし、コ・ドライバーの読み上げも的確で先が見えていないコースに対してオジエ自身を持って飛び込んでいくのがオンボード映像からも伝わってきました。

彼に比べるとヌービル選手もオジエ選手もまだ詰めきれていない感じがあって、その辺りがタイム差にも出てしまっています。単にコースを早く走るドライビングテクニックだけじゃなく、ラリーって総合力で戦うんですね。

今回は2003年以降のチャンピオン・コ・ドライバーが勢揃いする珍しい一戦だったのっですが(といっても15年で3人しかいませんけど)、やっぱり現役最強のイングラシア選手には敵いませんでしたね。ダニエル・エレナ選手はお腹まわりがかなり・・・。

 

おわりに

週末は体調を崩して引きこもっていたのでWRCもずっとフォローすることができました。オジエ選手強すぎるしラトバラ選手いなくなってしまったけど、じっくり見るとただの圧勝劇ではなくて、とても面白い内容でした。

やっぱり最強のオジエ選手。しかし次戦アルゼンチンは彼が勝利していない珍しいレース。ライバルたちが流れを変えるには絶好のチャンスです!

WRC第5戦ラリー・アルゼンティーナ(アルゼンチン)は4月26日開催です。お楽しみに!

 

ハイライト動画集

【動画】ステージ1 – 2 ハイライト

【動画】ステージ3 – 4 ハイライト

【動画】ステージ5 – 7 ハイライト

【動画】ステージ8 – 10 ハイライト

【動画】ステージ11 ハイライト

【動画】パワーステージ ハイライト

画像の出典:TOYOTA GAZOO Racing