【WRC2018】世界ラリー選手権 第2戦ラリー・スウェーデンの感想です

ラリー・スウェーデン

2月15日から18日にかけてWRC(世界ラリー選手権)の2018年シーズン第2戦ラリー・スウェーデンが開催されました。

近年では珍しく良好なコンディションと言われましたが、おかげで選手は大混乱?となったレースを各チームごとに振り返ってみたいと思います。

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ヒュンダイ・シェル・モービスWRT(Hyundai Shell Mobis World Rally Team)

マシン:ヒュンダイ i20 クーペ WRC((HYUNDAI i20 COUPE WRC)

ティエリー・ヌービル選手/ニコラ・ジルソウル選手:優勝
アンドレアス・ミケルセン選手/アンダース・イェーガー選手:3位
ヘイデン・パッドン選手/セブ・マーシャル選手:5位

実力だけでも勝っていたと思いますが、ツイてるときはなんでもうまく行くもんですね。スピンしても無傷で復帰、シフトパドルが効かなくなっても大きなトラブルには拡大せず、ライバルは一向に改善されないコンディションに苦しんで追ってこない。ルービル選手の初勝利は文字通りの完勝で、ランキングもトップに立ちました。去年から一気に増したスピードはいまだ健在。あとは安定感のある成績を出せればチャンピオンになれるところまで来ているのですが、今年はいけるかな?

ミケルセン選手は何度かのスピンで後ろ向きになちゃったりでタイムロスが大きくなったりして3位でしたが、今季ヒュンダイのレギュラードライバーとして初完走+表彰台と本人も納得しているようでした。パッドン選手も調子が良くて、あわやヒュンダイ勢の1 – 2 – 3フィニッシュ?なんて思う瞬間もありました。出走順にも助けられましたが、今年も引き続きドライバーもマシンも高いポテンシャルを秘めていることは証明されました。

 

シトロエン・トタル・アブダビWRT(CITROËN TOTAL ABU DHABI World Rally Team)

マシン:シトロエン C3 WRC(Citroën C3 WRC)

クレイグ・ブリーン選手/スコット・マーチン選手:2位
マッズ・オストベルグ選手/トシュテン・エリクセン選手:6位
クリス・ミーク選手/ポール・ネイグル選手:32位

昨シーズンはトヨタのラッピ選手やフォードのエバンス選手など若手飛躍の年でしたが、今季はそこにブリーン選手が入ってくるのかも。2017年はどうしても5位より上に行けなかった彼ですが、今年は優勝のチャンスもありそうです。

最初から最後までマシンも綺麗でコーナリングもスムーズ。ステアリングの修正も少なくてドライブも楽しかったんじゃないでしょうか。インタビューも終始ご機嫌だったし。

ただ今年は3レース分マシンをローブ選手に譲らなくてはならなくて、そこが本人も不満の様子。この成績なら考え直してくれるでしょうか。

久々にワークスドライバーとして参戦のオストベルグ選手は彼らしく堅実な走りで6位入賞。見事ミーク選手の分をカバーしてくれました。終始マシンの挙動が同じマシンのブリーン選手に比べて不安定で、かなり慌ただしいハンドルさばきだったので完走できるか心配だったのですが無事レースを終えひと安心。

目の覚める走りをした次のレースは大体やらかしてしまうミーク選手はやっぱりやらかしてしまいました。コースオフはコンディションの影響もあるけどスノーバンクに突っ込んだ映像を見る限り明らかにオーバースピードでした。そのせいでフロントグリルから雪が入ってエンジンパワーダウン、スロー走行時に後ろからやって来たタナク選手と接触して彼をコース外に弾き飛ばしてしまうなど今回は悪いことずくめ。

第3戦メキシコ、第4戦ツール・ド・コルス(フランス)とローブ選手がチームに合流しますが、下手するとミーク選手がエントリーから外されてしまうかも?

 

トヨタ・ガズー・レーシングWRT(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)

マシン:トヨタ ヤリスWRC

エサペッカ・ラッピ選手/ヤンネ・フェルム 選手:4位
ヤリ‐マティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手:7位
オット・タナク選手/マルティン・ヤルベオヤ選手:9位

トヨタ勢で唯一出走順の大きなハンデを抱えなかったラッピ選手が最高位の4位へ。金曜日に雪の中に飛び込んでしまった意外は大きなミスもなく、ステージタイムも常に上位をキープするなどデビュー2年目とは思えない強さ。パワーステージでも本気で走るオジエ選手のタイムを上回り、ランキングでは3位のラトバラ選手にポイントで並びました。惜しいのは毎回どこかで致命的ではないミスがあって微妙に表彰台まで届かないところ。次はバシッと決めてもらいたいですね。

ラトバラ選手は序盤で早くも自信を失い、さらにはトランスミッションに不安を抱えてのレースとなり最後は7位フィニッシュ。でも入賞して最低限の働きはできたと思います。

ただ、オジエ選手の奇策で一番被害を被ったのは彼でした。最終パワーステージでオジエ選手が2位に飛び込んだことで、5位にいたラトバラ選手は6位となり手に入るはずだった貴重な1ポイントを失って総合7位の6ポイントのみ。エバンス選手の降格で10位になったオジエ選手は1ポイントを手に入れパワーステージ分と合わせて5ポイントを獲得。せっかくオジエ選手に肉迫できるチャンスだったのですが、ほとんど差が詰めらえないままになってしまいました。

両者の差は現在8ポイント。この差は最後まで響いてしまいそうです。

そしてタナク選手は出走順の不利もあり結果は8位と沈んでしまいましたが、比較的コンディションが良好なステージではトップタイムを叩き出すなど闘争心は最後まで衰えませんでした。成績ではラトバラ選手の方が上なのに、やっぱりすごいなと思ったのはタナク選手。ラトバラ選手は「走りに自身が持てないよ~」なんて正直に答えてしまうところが大好きなんですけどね。

 

Mスポーツ・フォードWRT(M-SPORT FORD World Rally Team)

マシン:フォード フィエスタ WRC(FORD FIESTA WRC)

テーム・スニネン選手/ミッコ・マルックラ選手:8位
セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手:10位
エルフィン・エバンス選手/ダニエル・バリット選手:11位

もうどうしようもないくらい不調だったのが、なんとオジエ選手率いるMスポーツ陣営だからWRCって本当に予想が難しい。

金曜の朝、ステージ3からオジエ選手はコースの先頭走者として雪かき役。一応その前にインフォメーションカー、00カー、0カーというコースの安全を確かめるマシンが走行してはいるんですが、まだ踏み固められてなくて確かに走りにくそうでした。

でも後半はそんなにコースコンディションが悪いようには見えませんでしたし、やる気を失ってしまっていたのかもしれません。

で、チームはそんなオジエ選手にプレゼント。最終ステージでわざとペナルティを受けて出走順を遅らせ、他のドライバーよりも良い状況でタイムアタックを開始し、2番手のタイムで4ポイントゲット。そのままゴールすれば11位フィニッシュでしたが、10位にいたチームメイト、エバンス選手にわざとペナルティを受けさせ降着させてオジエ選手が10位フィニッシュ。合わせて5ポイントを手にしました。苦肉の策ですが、チャンピオンがここまで追い詰められたのはここ数年なかったことです。

でも一番気がかりなのは、失うものが何もないパワーステージでの全開アタックでトップタイムが出せず、ラッピ選手に勝てなかったこと。次のメキシコ戦まで様子を見ましょう。

エバンス選手は出走順では有利なはずだったのですが、ステージタイムも振るわずコース上の石に当たってパンクしたりスピンしたりと終始乗り切れない様子でした。ハマると速いけどハマらないと平凡という彼らしく分かりやすい結果です。でもポイントは欲しかったですね。

スニネン選手については全然目立ったところがなく終わってしまった感じ。走りもラッピ選手のような見せ場もなくてハイライトにも全然映らない。ラリプラさんやラリーXさんの情報もチェックしてみましたが情報少ないし。それでも8位にいるって逆にすごいことなんじゃないかって思います。次出てきたときは注目してみます。

 

その他

2003年のWRCチャンピオン、ペター・ソルベルグ選手のお兄さん、ヘニング・ソルベルグ選手が参戦しました。雪道に慣れているので少し期待していましたが、マシンの調子も今一つでワークス勢に付いていけませんでした。この人のオンボード映像見るとドリフトのアングルが深すぎてどこ走ってるのかわからなくなるくらいで面白いんですけど。

そしてWRCの戦いよりも大きなサプライズは、WRC2(WRCの下位カテゴリ)に出場した勝田貴元選手が日本人初優勝!2ステージ目で早くも首位に立つと、昨年のWRC2チャンピオン、ポンタス・ディデマンド選手の追撃を振り切りフィニッシュ。一時は新井大輝も3位につけており、2人とも一気に成長してきました!早くトップカテゴリーで走る姿を見てみたい!

 

全体を通しての感想

最近はあまり取り上げられることも少なくなっていた、出走順の問題が再度浮上してきました。各ドライバーが順番に選んだり、リバースオーダーの仕組みを見直したりと試行錯誤が続いていますが、なかなか改善されませんね。

それでも今までのオジエ選手だったらトップ10にすら入れないなんてことはなかったと思うんです。

同じく出走順のハンデを背負ったタナク選手は、それでもステージトップタイム5回と速さをアピール、ハンデが少なかったラッピ選手は4位と健闘しています。シトロエンもブリーン選手のマシンみたいな安定感があればオストベルグ選手ももう少し上に行けたかもしれません。ヒュンダイなんて表彰台独占する勢いの好調ぶりでした。

ここにきてようやく各チームの力が拮抗し始めているのかな?という感じがします。今までのような、強すぎるオジエ選手を封じ込めるためのルールでは、単にレースをつまらなくするだけの要素になってしまいかねません。

ようやく熱を帯びてきたWRCの盛り上がりが冷めてしまわないためには、やっぱり強い王者も必要なんですから、彼を引退に追い込んでしまったりしないよう、そして各選手ができるだけフェアなコンディションで戦える環境作りを整えていって欲しいと思います。

 

おわりに

うーん、なんだかスッキリしない一戦でした。モンテカルロ、スウェーデンはWRCラウンドの中でも特殊なイベントなので何が起こってもおかしくはないのですが、オジエ選手が元気なさすぎると調子が狂ってしまいます。

でもヌービル選手の今季初優勝、ブリーン選手、ミケルセン選手の活躍と嬉しいこともたくさんありました。今シーズンも新しいウィナー、新しい表彰台常連が続々と誕生してくれると作年以上に面白くなりそうです。

次の舞台は寒い雪国から、暑さ対策が必要になるメキシコへと向かい本格的なWRCシーズンが始まります。

WRC第3戦ラリー・メキシコは3月8日開幕です。お楽しみに!

 

ハイライト動画集

【動画】ステージ1 – 4 ハイライト

【動画】ステージ5 – 8 ハイライト

【動画】ステージ9 – 11 ハイライト

【動画】ステージ12 – 15 ハイライト

【動画】ステージ16 – 18 ハイライト

【動画】パワーステージ ハイライト

画像の出典:TOYOTA GAZOO Racing

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