【WRC2018】世界ラリー選手権に参戦するチームとマシン、ドライバーを紹介!(Mスポーツ・フォード)

2018年2月9日

M-Sport Ford

WRC(世界ラリー選手権)の2018年シーズンが始まりました!今年のチーム、マシン、そしてドライバーをご紹介していきます。

このページではMスポーツ・フォードについてご紹介します。その他の情報は以下のリンクからどうぞ。

Mスポーツ・フォードWRT(M-Sport Ford WRT)

ラリードライバーだったマルコム・ウィルソンさん(現チーム代表)が設立した「マルコム・ウィルソン・モータースポーツ(MWM)」が原点となるMスポーツは、元々自身のレーシング活動のために作られました。

フォードのテストドライバーでもあったウィルソンさんは、現役引退後にWRCのワークス活動を委託されます。そこでチームの規模を拡大することになり生まれたのがMスポーツでした。

一時はフォードのワークスチームに加えMスポーツとしても独立したチームでWRCに参戦していたので、どっちのチームにもウィルソンさんがいるという超忙しい時期もありましたが、2012年にフォードワークスが撤退を決め、丸投げにもほどがあるという状況でフォードの伝統をMスポーツが全て受け継ぐことになりました。

ワークスのバックアップを失い運営資金に苦しみながらもWRC活動は続きます。フォードフィエスタ R5を筆頭に製造するラリーカーは飛ぶように売れていきますが、それでも苦しかったようです。

シトロエンに在籍した王者セバスチャン・ローブ選手、その後はフォルクスワーゲンに移籍後敵なしのセバスチャン・オジエ選手が現れ、匹敵するエースの不在にも悩まされ成績の低迷が続きましたが、2017年ついにオジエ選手の獲得に成功。チームメイトも急成長し迎えた地元ラリー・GBでオジエ選手のドライバースタイトル、ジュリアン・イングラシア選手のコ・ドライバーズタイトル、チームメイトのエルフィン・エバンス選手が初優勝、そしてMスポーツとしてのマニファクチャラータイトル獲得!シーズン中にレギュラードライバー全員が優勝する(オット・タナク選手、エバンス選手は初優勝)という快挙まで達成し、フォードでさえ成し遂げられなかった完全優勝を手にしたのです。

2018年からはオジエ選手の強い要望に応えチーム名にフォードの名前が復活。資金面も強化し、万全の態勢で連覇を狙います。

 

マシン:フォード フィエスタ RS WRC

フォード フィエスタ RS WRCは、レギュレーション変更に伴いフォーカス WRCの後継として2011年に登場しました。開幕戦のラリー・スウェーデンでミッコ・ヒルボネン選手がいきなりの優勝、1位から3位までを同マシンが独占するという鮮烈なデビューを飾りました(といっても、全イベント戦ったのはフォードとシトロエンだけなのですが)。

ヒルボネン選手はこのマシンで前年まで7年連続チャンピオンの王者セバスチャン・ローブをあと一歩のところまで追い詰め、総合優勝までは手が届かなかったものの優秀な性能を証明することになりました。

2012年にフォードがWRCから撤退してしまいますが、ラリーカーの製造を行いフォードとも関係の深いMスポーツがそのDNAを受け継ぎ、大幅な規定変更があった2017年もフィエスタは走り続けてついにチャンピオンマシンへとたどり着いたのです。

ちなみにこのフィエスタ RS WRCは販売されていますので、お金があれば買えます!

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ドライバー/コ・ドライバー

セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手

現在のWRCにおいて、絶対王者として君臨するのがこのお二人。

オジエ選手は2008年、ジュニアWRC(WRC、WRC2、WRC3の下に位置する登竜門的カテゴリ)に総合優勝すると、次の年からシトロエンでWRCへ本格参戦。2010年にはポルトガルで初優勝、日本でも優勝を飾りトップドライバーとして認められるまでに成長しました。

そして2011年、彼に転機が訪れます。当時のシトロエンにはセバスチャン・ローブ選手という伝説の王者がおり、シーズン5勝の成績でもナンバーワン待遇を受けられないチームからの離脱を決意します。行先は2013年からWRCに参戦するフォルクスワーゲン。2012年のシーズンを捨てて新しいチームのマシン開発に関わり、飛躍の年に向け力を蓄えます。

ついに迎えた2013年。奇しくもローブ選手は前年で引退し(2013年は4戦のみのスポット参戦)残されたドライバーたちによる群雄割拠の時代が始まった年でした。

オジエ選手が心血を注いだフォルクスワーゲン ポロR WRCは彼の手足のように動き、2戦目で早くも初勝利。シーズンが終わってみれば9勝と圧倒的な強さでローブ選手が抜けたWRCの新しい王者に君臨しました。その後も同チームで2016年まで4連覇。フォルクスワーゲンが撤退するまでの間、彼が望んでいたナンバーワン待遇は揺るぎませんでした。

新しいチームへと移籍した2017年。ほぼぶっつけ本番で挑んだ開幕戦モンテカルロを優勝で飾り、環境が変わっても変わらずの強さを示しました。2勝ながら安定した速さと驚異の完走率でこの年も優勝し5連覇に記録を伸ばし、2018年も間違いなくこの人を中心にWRCが回ります。

スキーのインストラクターを持っていたり、きっとラリードライバーにならなかったとしてもスピードとスリルを追い求める人生を送っていたでしょうね。で、結局その頂点にあるWRCに行きついてしまうのかも。

 

コ・ドライバーのイングラシア選手は2002年キャリアをスタートし、2006年にオジエ選手と出会います。それからフランス国内のラリー、JWRC、そしてWRCでの活躍と、オジエ選手の輝かしい栄光ばかりが取り上げられますが、どんなときもイングラシア選手が傍らにいたのです。

SNSなどでは時折ひょうきんな姿も見せてくれる彼ですが、ひとたび助手席に乗り込めば完全主義者へと変貌します。シーズン通してほぼミスのないナビゲーションはWRC世界一の実力。

 

エルフィン・エバンス選手/ダニエル・バリット選手

1996年のイギリスラリー選手権(BRC)王者を父に持つエバンス選手のラリーキャリアは2007年にスタートしました。イギリス国内のフィエスタ・スポーティング・トロフィーで初年度から3位、翌年には優勝とさっそく好成績を挙げます。

その後も2010年にジュニアBRCでの優勝、2011年には父が戦ったBRCで総合2位、2012年からはWRCの若手育成プログラム、WRCアカデミーで初年度で優勝と順調に実績を重ね、次の年にはWRC2(WRCの下位カテゴリ)に参戦する一方、フォードのWRCマシンなどの開発にも関わるようになりました。

2014年からはついにMスポーツのドライバーとしてオット・タナク選手らと共にWRCでも戦いますが、ムラのある成績で一度はWRC2へ降格。その間に父と同じBRCの栄冠を手にしレベルアップして2017年にWRCに復帰すると、持ち前の速さに加え安定感も増し地元ラリーGBで念願の初優勝を成し遂げたのです。

相棒のバリット選手はキャリアをスタートした1999年からすでに100戦を超える経験を持つ、イギリスのトップ・コ・ドライバー。イギリスやアメリカのラリーで活躍し、2006年からは日本のトップラリードライバー、奴田原文雄選手とコンビを組みPWRC(現在のWRC2に相当)に参戦、その後は新井敏弘選手とも組むなど日本とつながりの多い選手です。

2013年にエバンス選手のコ・ドライバーとなりますが、2016年のWRC2降格時には現在WRC修行中の勝田貴元選手のコ・ドライバーも務めていました。

2017年のラリーGBでエバンス選手と最高峰での勝利を手にしたバリット選手。しばらくは日本人選手と走ってくれる余裕はなさそうです。

 

ブライアン・ブフィエ選手/ジェローム・ドゥグー選手(シェビー・パンセリ選手)

フォードは今年、フランスで名の知られたベテランドライバーをチームに召集しました。WRC9連覇のセバスチャン・ローブ選手と同じボラン・プジョーシリーズからキャリアをスタートし、2002年に同タイトル獲得。その後はフランスを中心にヨーロッパでの戦いが続きました。

2011年にはIRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)でモンテカルロを制しました。そんな彼がWRC参戦のチャンスを掴んだのは2013年。シトロエンDS3で挑んだラリー・モンテカルロでいきなり5位入賞の成績を残すのです。

2014年に再び訪れたチャンスでは序盤からトップを快走し、セバスチャン・オジエ選手に追いつかれたものの2位フィニッシュ、モンテカルロでは抜群の成績を残しています。

2018年も開幕戦のラリー・モンテカルロに続き、第4戦ツール・ド・コルス(フランス)にも参戦予定。地元フランスの特殊なコースに対しては彼より経験を持つ人はいません。

 

コ・ドライバーのドゥグー選手もフランス国内で多くの経験を持つ選手。13年にも及ぶ戦歴を経て2015年にWRC2カテゴリーでラリー・モンテカルロに挑み7位入賞という成績を残しました。

2018年のモンテカルロでも好成績を期待されましたがレース直前の事故で出場できなくなり、代わりにやって来たのはパンセリ選手。ブフィエ選手が2014年にWRCで2位表彰台となった際のコ・ドライバーでした。

パンセリ選手はダカール・ラリーに参戦し6位入賞、事故の話を聞いてレース直後に至急駆けつけてくれました。シェイクダウンにギリギリ間に合うようなタイミングでぶっつけ本番となりましたが結果は見事8位入賞。とんでもないタフガイです。

 

テーム・スニネン選手/ミッコ・マルックラ選手

スニネン選手は、早くからWRCの未来を背負う男として期待されている期待のドライバー。2014年のWRCデビュー戦でWRC3のクラスながら初戦で優勝を飾ってしまいました。そんな彼に目をつけたのがTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)で、彼を若手育成プログラムのドライバーに抜擢しました。

優勝を期待された2016年、惜しくもライバルのエサペカ・ラッピ選手にタイトルを奪われますが、才能に対する評価は高く2017年にはWRCのトップカテゴリにフォードからスポット参戦することに。ラリー・フィンランドでは優勝したラッピ選手にまたしても敵いませんでしたが、表彰台目前のところまで行き4位フィニッシュ。周囲の期待に応えます。

今年は第2戦のスウェーデンを皮切りに8戦の登場が予定されており、最強のマシンでどこまで結果を残せるか期待です。

そんな彼と一緒に戦うのはマルックラ選手。2000年のデビュー時までに多くのトレーニングを積んでおり、2002年にはフィンランド選手権で2位、2007年にはユホ・ハンニネン選手と組みIRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)での優勝も経験しています。

2013年にはアンドレアス・ミケルセン選手のパートナーとしてフォルクスワーゲンチームでWRCのトップカテゴリを戦います。2014年半ばにミケルセン選手とのペアを解消しますが、スニネン選手と出会い、再び頂点を争うために戻ってきました。今度こそ手が届くでしょうか?

 

おわりに

最強のドライバーとベテラン、若手がバランス良く存在するフォードチーム。フォード本体の復帰で資金面でも改善され、昨年以上に充実した体制が整ってきました。

昨年の実績から見ても今年の最強チーム。去年の輝きをもう一度見せてください!

 

画像の出典:M-Sport