【WRC2017】世界ラリー選手権 第12戦ウェールズ・ラリーGB(イギリス)の感想です

2017年10月31日

WRC第12戦ラリー・GB感想

​世界ラリー選手権 第12戦ウェールズ・ラリーGB(イギリス)が開催されました。

予想を裏切る快晴で始まったレースでしたが、次第にいつも通りのウェットなコンディションへと戻り各マシン泥だらけ。そんな中でまた一人、新たなヒーローを生み出すことになった今回の戦いを各チームごと、そして全体の感想を書いていきます。

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Mスポーツ・ワールドラリーチーム(M-SPORT WORLD RALLY TEAM)

マシン:フォード フィエスタ WRC(FORD FIESTA WRC)

エルフィン・エバンス選手/ダニエル・バリット選手:優勝
セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手:3位
オット・タナク選手/マルティン・ヤルベオヤ選手:6位

見た目はヒョロッとしてインドア派の優しい好青年みたいですが、ハマれば速いエバンス選手。コースコンディションにハマれば速いDMACKと見事な融合を果たし初勝利!今季すでに2位2回、第5戦ラリー・アルゼンチンでは0.7秒で逆転を許し惜しくも初優勝を逃しましたが、3度目のチャンスでついに表彰台の頂点に立ちました。

オジエ選手はブレーキを壊したりと本来ならリタイアしててもおかしくない困難なラリーでしたが、それでも3位表彰台を獲得&WRC5連覇を達成。良いマシンに恵まれたフォルクスワーゲン時代が終わっても結果を出し続ける逞しさ。この人やっぱり本物の天才です。

昨年はDMACKチームに加入しタイヤの進化に貢献したタナク選手も表彰台争いに加わっていましたが、ナイトステージでの濃霧に苦しみタイムロス。ウェールズには魔物が棲んでいます。

 

ヒュンダイ・モータースポーツ(HYUNDAI MOTORSPORT)

マシン:ヒュンダイ i20 クーペ WRC((HYUNDAI i20 COUPE WRC)

ティエリー・ヌービル選手/ニコラ・ジルソウル選手:2位
アンドレアス・ミケルセン選手/アンダース・イェーガー選手:4位
ヘイデン・パッドン選手/セブ・マーシャル選手:8位
ダニエル・ソルド選手/マルク・マルティ選手:10位

最後まで諦めない宣言をしていたヌービル選手はいきなり10秒のペナルティ(エンジンがかからず時間までに所定の場所に到着できなかったのが原因のようです。)ということで心が折れてしまったかと思いましたが最後まで全力で走り切り、終わってみれば2位フィニッシュと大健闘。これくらいの集中力をモンテカルロから発揮していれば年間チャンピオンになれたかも?

ヒュンダイチーム加入後2戦目となったミケルセン選手は最終日にラトバラ選手を抜いて4位フィニッシュ。乗り始めたばかりのマシンでこんなに良い成績って出せるものなんでしょうか。こんな人がシートを失うなんて、なんて過酷な世界なんだ。

ソルド選手は良いところなしの10位フィニッシュ。来季は1人他チームに移籍するんじゃないかと思うんですが、このままだと再び浪人生活を送ることになるかも。あと残り1戦で本気が見たい!

そしてもう1人、悩める戦士がパッドン選手。ヒュンダイが育ててきたドライバーだから放出する可能性は低いと思うんですが、今季の不調は重症です。初戦の観客との事故を引きずっているのかなぁ。次の地元のお隣オーストラリア戦で復活の兆しを見せて欲しいです。

 

トヨタ・ガズー・レーシング WRC(TOYOTA GAZOO Racing WRC)

マシン:トヨタ ヤリスWRC

ヤリ‐マティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手:5位
エサペッカ・ラッピ選手/ヤンネ・フェルム 選手:9位
ユホ・ハンニネン選手/カイ・リンドストローム選手:リタイア

ラトバラ選手は序盤、アンダーステアとグリップ力の無さに悩んでいました。ヘアピンでは曲がり切れず、コーナー立ち上がりでは止まってしまうんじゃないかと思うくらい前に進まないトラクション不足。しかし後半になるとようやく本来のスピードが戻り表彰台を巡る争いに加わります。3位まであと2秒余りに迫るも届かず4位に終わりましたが、久しぶりに最後まで走り切る姿が見られたので良しとしますか。

これが最終戦となってしまったハンニネン選手は残念ながらクラッシュによりリタイア。最後まで木との因縁対決。ラッピ選手はまだ経験不足なのかトップ10圏内フィニッシュがやっと。ドライバー、チーム共に、来季にこの経験を活かして欲しいですね。

 

シトロエン・トタル・アブダビ・ワールドラリーチーム(CITROËN TOTAL ABU DHABI WRT)

マシン:シトロエン C3 WRC(Citroën C3 WRC)

クリス・ミーク選手/ポール・ネイグル選手:7位
クレイグ・ブリーン選手/スコット・マーチン選手:15位
カリッド・アルカシミ選手/クリス・パターソン選手:22位

前戦スペインで復活優勝し、勢いに乗るかと期待のミーク選手でしたが、あまりこのコースは得意ではないのか、大人しめに7位フィニッシュでした。無理してリタイアよりもこの選択は正しいと思います。変な気負いもなく、リアのエアロパーツが吹っ飛んでしまっても「これがウェールズさ」なんてサバサバした感じだったけど、もしかして来季の去就が決まっているのかな?

どうしても5位より上に行けないブリーン選手は、今回は不運が重なり15位フィニッシュ。パンクするわ、ツルツルーと滑って行った先の溝に落ちてしまうわ、ハンドブレーキが効かないわでなんとか完走。可哀そう過ぎる。

 

その他

今回のマッズ・オストベルグ選手は部品が飛んで行ってしまうことはありませんでしたが、電気系統のトラブルでリタイア。しかし普通に終わらないのか彼らしいところ。

「ハンドルのボタン押したらなんでかわからないけど直ったよ~」

なんて喜んで走り続けていたら完全に壊れました。

最終戦大丈夫かな?

 

全体を通しての感想

オジエ選手が「こんなに美しい場所だったなんて!」と思わず声に出してしまうほど綺麗に晴れた初日。正直、雨が降ったらDMACKにも勝ち目があるかもなんて思っていましたが、天候も展開も全く予想が外れ、いきなりエバンス選手の独走で始まりました。

初日はペナルティ、次の日の朝には溝に落ちてあわやリタイアかという危機を乗り越えたヌービル選手は、その後鬼のような走りで追い上げます。最終日の朝、インタビューに答えた彼は純粋に速さだけを目指す清々しい表情になっていたのがとても印象的でした。この顔で1年走れていたら絶対にチャンピオン取れただろうに。

最後は圧巻のフォード祭り。ラストステージにMスポーツ勢で一番先に登場したタナク選手は好走を見せるもフィニッシュ直前であえてペースを落とします。まだこの時点では出走していないヌービル選手が2位のままフィニッシュし、かつパワーステージで5ポイントを手に入れた場合、オジエ選手が3位フィニッシュだとチャンピオン確定に1ポイント足りません。

そこでタナク選手、自分が5位以内に入ってオジエ選手の邪魔をしないようにスピードを落としたみたいです。タナクさん、1年でどんだけ成長してるんだよ!人間性までとてつもなく大きくなっちゃったよ!

彼が入賞フィニッシュした時点でMスポーツのマニファクチャラータイトルが決定。チーム代表のマルコム・ウィルソンさん1度目の大歓喜!

そしてオジエ選手が登場。チームと、タナク選手の思いやりのために疾走するフォード・フィエスタ。見事暫定3位フィニッシュで、仮に次のヌービル選手と最終走者のエバンス選手が上位に食い込んでも最低1ポイントはゲットできるためワールドチャンピオン決定です。マルコムさん2度目の大歓喜!

ヌービル選手が最高の走りでトップタイムをマークし、いよいよエバンス選手の優勝を賭けたドライブが始まります。

ラリー・アルゼンチンでは初優勝直前でヌービル選手に0.7秒差の逆転を許しましたが、今回は40秒以上の開きがあるためか、走りにも余裕がみられます。そして大勢が待ち受けるフィニッシュラインに飛び込み、地元ウェールズで念願の初優勝!マルコムさん3度目の大歓喜!

そして優勝インタビュー。あれ、もしかして隣にいるのは・・・?

「ベリーベリー誇りに思うよ!ベリーベリー嬉しいよ!ベリーベリー安心したよ!」

ってエバンス選手よりも横にいるお父さんの方が目立っちゃってるよ!っていうか顔そっくりだよ!

 

エバンス選手の地元で初優勝、Mスポーツの母国でマニファクチャラータイトル、そしてオジエ選手の5連覇、おまけにタイヤメーカーDMACKの初優勝と、出来過ぎな結果になりました。

これで兼ねてから噂されていたフォード本体の復活も期待できるかも?DMACKも再度自身のチームを立ち上げて参戦してくれるかもしれませんね。来年もっと盛り上がるきっかけになってくれれば嬉しいです。

そして、フォード・フィエスタとDMACKを育てたタナク選手は、その役目を終えたかのように来季トヨタへと旅立っていくのでした。ヤリスも大きく育ててくださいね。

 

おわりに

次回でいよいよシーズンフィナーレ!今年は特別に楽しいWRC、最後の最後にもうひとつくらい大きなドラマを期待しましょう。

第13戦ラリー・オーストラリアは11月16日(木)開催です。最終戦は明るい太陽の下で輝くマシンの晴れ姿が見たい!

 

 

(画像の出典:TOYOTA GAZOO Racing)

ハイライト動画集

【動画】ステージ1 – 4 ハイライト

【動画】ステージ5 – 7 ハイライト

【動画】ステージ8- 11 ハイライト

【動画】ステージ12- 14ハイライト

【動画】ステージ15- 18ハイライト

【動画】ステージ19- 21ハイライト

【動画】ウェールズ・ラリーGB イベント ハイライト

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