9月29日(金)から世界ラリークロス選手権(WorldRX)第11戦がドイツで開催されました。
年間チャンピオンは決定してしまいましたが、総合2位の座を巡り激しい戦いが勃発!今回も決勝の模様と感想を書いていきます。
ルールについては以下の記事で説明していますので、事前に見ておくことをオススメします。
【ラリークロス】世界ラリークロス選手権(WorldRX)のルールについて説明します
ドイツラリークロスの聖地・エステリンク
ドイツ北部、ハンブルクにほど近い場所にあるエステリンク・サーキット。ここはドイツにおけるラリークロスの聖地。そして2016年はここで年間チャンピオンが生まれました。
コース全長は0.95kmと短めながらシンプルなレイアウトのため素晴らしいオーバーテイクが見られるのが特徴です。昨年はスタート直後の1コーナーでケビン・エリクソン選手が神ドリフトを披露からの初優勝を決めました。
しかしグラベル(未舗装路)部分の土が重くてグリップも不十分。ちょっとでも気を許せば外に振られてあっという間に抜かれてしまうリスクもあります。
ALL-INKL.COM WORLD RX OF GERMANY(FIA World Rallycross Championship)
予選~セミファイナル:不死身の鉄人かよ!
わずか2週間前のラトビア戦、セミファイナルのアクシデントで負傷したペター・ソルベルグ選手(Team PSRX Volkswagen Sweden:ポロ GTI)が、鎖骨の手術から4日しか経っていないのに強行出場です!
チームドライバーとしての責務は代役のディエトル・デッピン選手に譲り、自身はスポット参戦登録でドライバーズチャンピオンシップ2位の座を守るため意地の出場になりました。
そんなソルベルグ選手、雨上がりの湿り気を帯びたコースでまさかの本気モードに入ります。Q1はトラックレコードを更新する走りで5番手のタイム、Q2では3番手とケガが嘘のような走り。翌日のQ3、Q4ではなんとトップタイムを叩き出し堂々の首位で予選突破。付け加えておきますが、この人イベント前のテスト不参加です。ぶっつけ本番でこれなんです。とんでもない人です。
Q1トップタイムのマティアス・エクストローム選手(Team EKS:アウディS1)が予選2番手、ファイナル常連のティミー・ハンセン選手(Team Peugeot-Hansen:プジョー 208)が3番手。その後に今季のチャンピオン、ヨハン・クリストファーソン選手(Team PSRX Volkswagen Sweden:ポロ GTI)が続きます。
予選では今年も美しいオーバーテイクが生まれました。Q4でニコラス・グロンホルム選手(フォード・フィエスタ)がスタート直後の1コーナーで、イン側に空いた隙間に飛び込みライバルたちをゴボウ抜き!彼のお父さんはマーカス・グロンホルムさん。WRCでは2度のワールドチャンピオンに輝いた偉大なDNAはしっかりと受け継がれているみたいです。
セミファイナル1ではソルベルグ選手が再び本気モード。後続に1.5秒以上の差をつけての完勝で決勝まで来てしまいました。2番手にはトッピ・ヘイキネン選手(Team EKS:アウディS1)、そしてティミー選手が2戦ぶりの決勝進出を果たしました。
セミファイナル2には今季ここまでファイナル進出率100%のクリストファーソン選手が登場したのですが、まさかの5位敗退。エクストローム選手が首位での首位進出、続いて昨年の型落ちマシンでの参戦ながらティミー・ハンセン選手の弟ケビン・ハンセン選手(Team Peugeot-Hansen:プジョー 208)と予選でも活躍したグロンホルム選手の若々しい顔ぶれがファイナルに進みます。
【動画】Q1ハイライト
【動画】Q2ハイライト
【動画】Q3ハイライト
【動画】Q4 グロンホルム選手の華麗なオーバーテイク
決勝:最後の1秒まで諦めない!
フロントローにはソルベルグ選手とエクストローム選手が並び、一昨年と昨年のチャンピオンの王者対決。スタートで飛び出したのはソルベルグ選手でした。マシン1台分のリードで注目の1コーナーに飛び込みます。
予想以上に滑りやすいコーナー上ではヘイキネン選手が外に飛び出しコースアウト、ソルベルグ選手もミスでイン側を開けてしまいその隙にエクストローム選手が飛び込み前に出ます。すぐ後ろからケビン、ティミー兄弟がピッタリと追走しオープニングラップから混戦の気配が。グロンホルム選手だけが最初の周回でジョーカーラップに入ります。
2周目の1コーナーでまたもソルベルグ選手が痛恨のミス!ほんの一瞬ですがアウト側に流されると、あっという間にプジョーのマシン2台に追い抜かれてしまいました。それでも闘志むき出しで前との距離を詰めるソルベルグ選手はコース後半でジョーカーラップを選択しますが、ここでもバンクに接触するミス。痛み止め切れてしまったんでしょうか。最後尾から前についていくことができません。
3周目、今度は1コーナーでケビン選手がミス、兄のティミー選手にオーバーテイクされ3位へと順位を1つ下げると、オープニングラップでコースアウトしたヘイキネン選手が猛プッシュで後ろから迫ってきます。どうやらリアサスペンションの破損によって真っ直ぐ走れなくなったケビン選手は最終コーナー手前でヘイキネン選手にパスされ4位まで後退。その間にエクストローム選手は2番手のティミー選手との間隔を少し広げることに成功。優勝目指してまっしぐら。
集中を切らしてしまっていたソルベルグ選手が5周目に入ってもう一度盛り返し、最終コーナー前で最後尾からケビン選手、グロンホルム選手を一気にパス!ここまで耐えに耐えてきたケビン選手でしたがファイナルラップでスピンを喫し、最下位になってしまいました。ソルベルグ選手も最後まで凄い。
珍しく上位3台揃ってファイナルラップまでジョーカーを温存することになりましたが、これ以上大きな波乱は起こらずエクストローム選手が久しぶりの優勝を飾りました。2位はいつだって堅実な走りのティミー選手、ヘイキネン選手は今季初の表彰台でした。
最終結果は以下をご覧ください。
Live Qualifying Results – Supercar – Estering(FIA World Rallycross Championship)
【動画】決勝ハイライト
感想
映像を見ると、ソルベルグ選手は決勝辛かったんじゃないかなと思います。痛みもあったのかもしれませんが、よりによって右回りのコースレイアウトで、固定された左腕を伸ばしてのステアリング操作は自由が利かないでしょうから結構無理してたのでは。
それでも決勝堂々4位の成績。本来なら欠場してエクストローム選手にポイントで大きく逆転されているはずでしたが、1ポイントではありますがソルベルグ選手の方がまだリードしています。最終戦のアフリカでは元気な姿で大暴れしてもらいたいですね。
小林可夢偉選手がF1で活躍してた頃、接触でパーツが取れるとなぜか速くなるなんてことがありましたが、もしかしてソルベルグ選手も骨折すると空気抵抗が減ってさらに速くなるとか?(なりません)
いよいよ次で今季も終わりになりますが、ソルベルグ選手とエクストローム選手のチャンピオンシップ2位争い、そしてアウディのEKSとプジョーのチームハンセンのチームタイトル争いも続きます。
アフリカではどんな感動を与えてくれるんでしょうね。少し間隔が空きますが、楽しみに待っています。
今年連覇を果たせなかったエクストローム選手は現在ドイツツーリングカー選手権(DTM)で選手権リードしているので、こちらも応援してあげましょう!
おわりに
次回でついに選手権もラスト!そしてアフリカ初上陸!これは見逃すわけにはいきません!フォルクスワーゲンチームの完全制覇なるか?それともアウディが意地を見せるのか?いよいよ最終決戦です。
最終戦(第12戦)は11月10日(金)にアフリカ・ケープタウンで開催されます。お楽しみに!
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