【ラリークロス】ペター・ソルベルグ選手のクラッシュからクルマの安全性を考える

ペター・ソルベルグ

ヨハン・クリストファーソン選手が5連勝を達成し、2017年のワールドチャンピオンに輝いたFIA世界ラリークロス(WorldRX)の第10ラウンド、ラトビア戦。同時に彼のチームメイト、ペター・ソルベルグ選手が負傷するという不運なアクシデントが起こってしまいました。

その日のライブ映像がYouTubeで配信されていましたので、振り返りながらレースの危険性について考えてみたいと思います。

それはスタート直後に起こりました

アクシデントの起こったセミファイナル2は1時間18分30秒あたりから始まります。

ソルベルグ選手はフロントロー、アウト側のポジション。スタートと同時に一気に加速、イン側にいるセバスチャン・ローブ選手の前に出て左に曲がる1コーナーへと進入します。

しかしオーバースピードになって体制を崩しながら外側にコースアウト、そのまま次の2コーナーに向かって流れていきます。特に他車からの激しいプッシュがあったようには見えません。

ソルベルグ選手のマシンがコース上に戻った場所は2コーナーのちょうど中間地点、エイペックス上(コーナー内側の頂点部分)になり、そこからコースを横切るように直進。ヤニス・バウマニス選手の走行ラインとクロスして運転席側の左側面に追突され、今度はコーナーのアウト側へと弾き出されてしまいました。

【動画】FIA世界ラリークロス第10戦ラトビア

 

スピードの出る場所ではなかったのに

2コーナーはヘアピンに近いような低速コーナーで、どのマシンも1速もしくは2速での走行だったと思われます。そんなスピードでも横からの衝撃はかなり強烈だったようで、ソルベルグ選手は左の鎖骨、肋骨を2本と肺にも損傷を負う大きなケガを負ってしまいました。

激しいクラッシュには見えませんでしたが、チームのスポッター(レース中に無線でナビゲーションする大事な役割の人)でもあり奥さんでもあるパニラさんの深刻な表情が映し出され、実況も何かあったことに気づきます。レースは赤旗中断。ソルベルグ選手は病院へと運ばれていきました。

ソルベルグ選手も衝突の直前までアクセルを踏んでいるように見えるので、もし無理に隊列に戻ろうとしなければ、このような事故は起きなかったのかもしれませんね。まぁ彼の性格ですからそんなことはしなかったでしょうけど。

 

マシンは頑丈、しかし側面は盲点?

WorldRXのマシンは見た目こそ市販車ですが、中身は全くの別物。速さだけの改良ではなく安全性も考慮されており、いくつものロールケージと呼ばれる硬いパイプが設けられ、ドライバーの周辺をガードしています。

これにより横転するくらいならドバイバーは無傷(目は回るでしょうが)でいられるくらいの頑強なボディを作り上げています。

しかしWorldRXの規定にはエアバッグの設置は義務付けられていないようです。ちょうどドア周辺、ロールケージを設置できない場所にピンポイントで衝突されるとダメージを吸収する術がありません。これが今回の悲劇を生んだ原因のようです。

飛んだり跳ねたりが当たり前の競技ですが、この点は今後もう少し安全性を考慮した議論があって欲しいところです。

Regulations – FIA World Rallycross Championship(FIA)

 

おわりに

普段は意識せず、ただ激しいバトルを見て楽しんでいたりしますが、ひとたび事故が起これば、いくら頑丈にできたマシンでも大変なことになる可能性があるという忘れがちな事実を今回は教えてくれたような気がします。

普段から運転したりスポーツ走行などを楽しむ方も、安全についてもう一度注意を向けてみてくださいね。

どうやら今季の決勝の模様がYouTubeで配信されているようなので、まとめ記事も近いうちに作ります。

 

画像の出典:FIA World Rallycross Championship