【映画感想】きみの声をとどけたい/言葉の力を、もう一度信じてみる(ネタバレなし)

きみの声をとどけたい

『きみの声をとどけたい』

夏休み中に公開される邦画アニメーション作品『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』や、同日に公開される『ワンダーウーマン』に埋もれてしまっている感がありますが、あらすじ読んだだけで、これは観ておきたい!と思いました。

幸運にも少し早めに観賞させていただく機会がありましたので、ネタバレしないよう公開日に合わせて感想を書いていきます!

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あらすじ

なぎさ(片平美那)は、湘南の海が見える街に暮らす女子高生。

夏休みが始まっても、将来のことや友人たちとのことなどが気になって、スッキリしない毎日。

雨宿りで偶然立ち寄った誰もいない喫茶店。中をこっそりのぞくと、そこはかつてミニFMステーションがあり、近くに住む人たちに温かい声を届けていた場所でした。

そこで出会った紫音(三森すずこ)となぎさは、とある理由で夏の間だけFMステーションを再開することに。かえで(田中有紀)、雫(岩淵桃音)、夕(飯野美紗子)、あやめ(神戸光歩)、乙葉(鈴木陽斗実)ら友人たちを巻き込んで慣れない番組作りをスタートしたなぎさは、次第に声の力、音楽の力、ラジオの素晴らしさを知っていくのでした。

そして夏が終わる頃、彼女たちの生み出す力が奇跡を呼び起こすのです。

【動画】声優ユニット「NOW ON AIR」らがボイスキャスト!映画『きみの声をとどけたい』予告編

 

作品の感想

声の力、音楽の力、ラジオの素晴らしさを伝えたい

きみの声をとどけたい

主人公のなぎさは、普段は仲の良い幼馴染たちとの関係にちょっとした悩みを抱えていました。ダイレクトな言葉では強すぎて、声にしなければ伝えないまま。その微妙な距離の取り方に答えを出せずにいました。

そんなときに出会ったミニFMステーションという場所。見えない誰かに届く、言葉の力。それはなぎさにとって新しい発見でした。直接じゃないからこそ言える本当の気持ち。ラジオの意義を知り成長していく姿は青春の王道を見ました。

ラジオにはもう一つ、大事な要素があります。色のない世界に彩りを与える音楽の力。大きな才能を持った音楽院生、乙葉が、その役を担います。このキャラが超カワイイ!みんなを支える影の主役的な存在で、声を担当している鈴木陽斗実さんはとても今作がデビューとは思えない堂々とした演技でした。今後が楽しみ。

 

人の心は複雑で、身近な人からの真剣な言葉が届かなかったりするのに、ラジオの向こうから届く声や音楽が、まるで自分に向けられたメッセージのようにじんわりと響くときがあります。

とっても小さな力だけれど、人と人をつないで、やがて大きな力に変えていく。ラジオはそんな可能性を持っているんだと思い出させてくれました。

ラジオは今でも時々聴くけれど、友人と過ごす休日のBGMや一人の夜を支えてくれたり、いつだって誰かとの隙間や、心の中にポッカリと空いた部分を埋めてくれるような存在だったな。もう少し頼ってみようかなって気持ちになりました。

 

あと劇中で「悪口を言ったら、自分に返ってくるんだよ」って言葉が出てくるんですが、同じこと昔ひいばあちゃんに言われていたのを突然思い出してビックリでした。これだけで泣きそうになりましたよ。

 

最後に起こる夏の奇跡

途中からゆるふわ音楽少女の乙葉さんが登場して物語に厚みが出てくるんですが、んー、なんだか物足りないかなーって気持ちに途中でなりました。肝心の歌声を聴ける機会が少ないからだったんですが、そこはご安心を。

ちゃんと聴けます!一番大事な場面で!

物語のクライマックスに流れる、夏の終わりに奇跡を起こす歌声を、ぜひ劇場の大きな音に包まれながら体感してください。

これだけでも映画観て良かったぁ~と思えました。

 

そして、未来の君たちへ

いつかラジオもなくなってしまうかもしれません。素晴らしい文化だとしても、今の時代に狼煙を上げてコミュニケーションを取る人もいなくなりましたし、手紙だってほとんど書く機会がなくなりました。

テキストの送受信も、そのうち直接脳に信号を直接流せるようになって視覚化すらされなくなるかもしれません。

タイムラグもお互いの距離も存在しない連絡手段ばかりになって、生き辛さを感じるようになる時代が近づいているような気がします。そんなとき、この作品を少しでも思い出してもらえたらいいな。ラジオという不器用だけど温かみのある、不思議な言葉のやり取りが存在していたことを。ダイレクトなだけじゃなく、間接的に気持ちを伝えることがときには必要だってことを。

 

少しクセもあるけれど、それでもっ!

この映画を作った人たちはラジオの力を信じていて、主人公たちのように今まであまり触れる機会がなかった世代にも素晴らしさを伝えたいという気持ちを込めたのだと思います。

ただ、ラジオ=素晴らしいものという結論ありきの物語に感じられて、そのような経験を持っていないお客さんにどれだけ理解してもらえるだろうか?という心配をしてしまいました。

逆に普段からラジオリスナーだったり、かつてラジオっ子だった大人たちにとってはすごく共感できる内容なので、そうだよね!すごいんだよね!って喜んでもらえるんじゃないでしょうか。

もしかしたら本来の趣旨とは違ってしまうかもしれないけど、ラジオが好き!っていう人にはぜひ観てもらいたいです。

 

おわりに

きみの声をとどけたい

独特のタッチで描かれたキャラクターたちは少し慣れるまで時間がかかりましたが、気づいたら違和感なんてどこかに吹っ飛んでいました。製作は『時をかける少女』や『ちはやふる』などを担当したマッドハウスさんということで、ときかけっぽいな~と思っていたら間違ってなかったみたい。

夏休み期間ももうすぐ終わってしまいますが、最後に優しくなれる映画が観たいな、と思ったら候補に入れてくださいね。

一人でも多くの方に、この作品が届きますように。

(C)2017「きみの声をとどけたい」製作委員会

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