【フォーミュラE 2016-2017】第11戦モントリオール(カナダ)の感想です

2017年8月11日

フォーミュラe第11戦カナダ

​2017年7月29日(土)にカナダのモントリオールでフォーミュラE 2016-2017シーズンの第11戦が開催されました。

次の日に開催される最終戦に向けて選手権争いの重要なターニングポイントとなった一戦、レースの模様と感想をお届けします。

ルールについては以下の記事で説明していますので、事前に見ておくことをオススメします。

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コース:

第11戦の舞台となるのは、モントリオールの市街地サーキット。市制375周年というキリがいいのか悪いのかよくわからないタイミングと重なり、セレブレーションの目玉イベントとしても注目を浴びるレースとなりました。

ルネ・レヴェスク通り東をスタートし、セント・ローレンス川を望むヴィジェ通り東へと回り込み、ラジオ・カナダをグルリと1周するレイアウトは市街地コースらしく直線的な作り。

ほぼ直角の連続コーナーの先には鋭角な5コーナー。そこから緩い曲線を描く地点はオーバーテイクショーも起こりそうな長めの区間。9コーナーとなるヘアピンの先で待ち受ける複合シケインと、ハイスピードとテクニカルセクション両方の特徴を兼ね備えた、まさに最終決戦にふさわしい特設コース。ダブルヘッダー1戦目は35周のレースとなります。

天気も快晴で、歴史的な瞬間が多くの人の目に触れることになるでしょう。

【動画】過去最高のストリートサーキットになるかも?

 

予選:両者ポールポジションを狙う!

予選

第1グループはニューヨーク2連勝のサム・バード選手(DSヴァージン レーシング)が出走しますがグループ3番手止まりと低迷。勢いを失ってしまったんでしょうか? ロイック・デュバル選手(ファラデーフューチャー ドラゴンレーシング)が1分23秒999のタイムで暫定トップに立ちます。

第2グループでは アントニオ・ダ・コスタ選手(アンドレッティ フォーミュラE)がタイヤをロックさせてフラフラ、コーナーで勢い余ってパワースライド、挙句の果てにウォールに当たりながらの激しい走りを見せますが、好タイムにはつならがず。ステファン・サラザン選手(テチーター)とニコラス・プロスト選手(ルノーe.ダムス)が首位と2番手を奪います。

いよいよ第3グループには世界チャンピオンを狙う2人のドライバーが登場。慎重なウォームアップからまずはセバスチャン・ブエミ選手(ルノーe.ダムス)がアタックを開始、キレのあるコーナリングで全セクター通して安定した走りで1分23秒053のトップタイムをマーク。続いて予選ラップに入ったのはルーカス・ディ・グラッシ選手(ABTシェフラー アウディスポーツ)、なんと1分23秒026と100分の3秒差で大逆転!チャンピオンシップ3位のフェリックス・ローゼンクヴィスト選手(マヒンドラ レーシング)は2人の気迫に押されたのか遠く及ばず4位に終わりました。

第4グループからは上位に絡むドライバーが出ず。これで予選の順位決定。ディ・グラッシ選手、ブエミ選手、サラザン選手、ローゼンクヴィスト選手、プロスト選手がスーパーポールに進出です。

スーパーポール

先頭走者はプロスト選手は1分23秒330をマーク。1コーナーで軽くミスしたのが痛かった。続くローゼンクヴィスト選手は同じコーナーで曲がり切れずさらに1秒以上のタイムロス。

サラザン選手は綺麗にまとめて1分23秒179のタイムで暫定トップに立ちます。残るは2名、予選の段階からガチバトルです。

続いてのタイムアタックはブエミ選手。先ほどとほぼ同じ1分23秒065のタイムで結果を見守ります。

最後にプレッシャーが大きくのしかかる状態でタイムアタックを開始するディ・グラッシ選手、最初の中間計測地点ではブエミ選手に遅れを取っていましたが、徐々にリズムに乗りペースを上げていきます。集中力を極限まで高めどんどん加速していくマシン。フィニッシュラインを通過するとなんと1分22秒849とぶっちぎりの好タイム!見事ポールポジションと3ポイントをゲットし、ブエミ選手とのチャンピオンシップポイントを差を7に縮めました。

2番手に終わったブエミ選手はモーター交換のペナルティにより10グリッド降格、プロスト選手は車両規定違反でスーパーポールのタイム抹消と災難続きのルノー勢。

最終順位はディ・グラッシ選手、サラザン選手、ローゼンクヴィスト選手、プロスト選手の4台が先頭から並びます。

【動画】フリープラクティス&予選ハイライト

 

決勝:チャンピオンを掴む意地

前半

まずは注目のスタート、ディ・グラッシ選手はきっちり後続をブロックしながら1コーナーを先頭で駆け抜けます。サラザン選手、ローゼンクヴィスト選手は順位そのままですが、ミッチ・エバンス選手( パナソニック ジャガーレーシング)が7番手と好位置のスタートから4位にジャンプアップ。

一方、予選2番手から10グリッド降格となったブエミ選手は、アグレッシブな周囲のマシンに慎重になり過ぎたのかガンガン抜かれ12位から16位まで後退。苦しい展開となりました。

序盤の首位争いはディ・グラッシ選手がエネルギーを多めに使って逃げる作戦に出ます。中盤ではハイドフェルド選手とアプト選手が接近戦を続けながら徐々に順位を上げ、その後ろからはようやく落ち着きを取り戻したブエミ選手が13位まで戻しました。ここまで大きな接触もなく、非常にクリーンなファイトが続きます。

14周目、ついにブエミ選手が10位まで浮上。これで1ポイントの獲得権利を得るところまで来ました。同周回ではロイック・デュバル選手(ファラデーフューチャー ドラゴンレーシング)がインに飛び込んできたハイドフェルド選手のラインをふさぎ接触。ハイドフェルド選手が右フロントサスペンションを破損して曲がることもままならなずリタイア、デュバルはドライブスルーペナルティを受け11位から後退していきます。

ここでフルコースイエロー(全車速度を落とし追い抜き禁止となります)となり、ちょうどピット入り口付近にいたディ・グラッシ選手は予定より2週ほど早いピットインを敢行。これを機に続々と他のチームもマシン交換を始めます。

後半

ブエミ選手がピットレーンで前を行くアプト選手に「おせーよ!」と激高していましたが、そんなこと言われても困るし。ピットアウトのときは強引に追い抜くブエミ選手。しかも意図的にスピードを落とす意地悪さ。さすがにジェントルマンなアプト選手も頭にきたのか、後ろからこ突いたようにも見られました。やり過ぎはいけませんよ~。

後半に入って落ち着いた順位を確認すると、ディ・グラッシ選手は後続に5秒以上の差をつけて首位、サラザン選手を捉えたジャン-エリック・ベルニュ選手(テチーター)が2番手に、ローゼンクヴィスト選手はピット戦略で順位を落とし4位へ。

21周目、ブエミ選手は7位まで上がってきます。彼の後ろからはアプト選手が猛追。チームメイトのディ・グラッシ選手のためにもプレッシャーを与え続けます。24周目には6位へと1台だけ異次元の走り。懸命に追いかけるアプト選手の後ろに、ようやく調子を取り戻したのかバード選手が盛り返してきました。

25周目、ホセ・マリア・ロペス選手(DSヴァージン レーシング)がクラッシュ。ここで重機投入のためセーフティーカーが入ります。残り10周でディ・グラッシ選手が築いてきた大きなギャップはなくなり、ブエミ選手にも首位が見えました。最後の勝負に向けて各ドライバーが集中力を高めていき、28周目、残りわずかとなったレース再開。

ディ・グラッシ選手はリスタートと同時にファンブーストを利用し首位の座をガッチリキープ。とはいえ2位につけるベルニュ選手もファンブーストを使えるので油断ができません。

再開と同時に順位が動いたのはブエミ選手。前を行くチームメイトのニコラス・プロスト選手を抜き、5位へ。プロスト選手は後ろからくるアプト選手の防衛に回るチームの作戦のようですが、次の周でアプト選手にあっさりと交わされてしまい、全くチームの役に立てませんでした。きっとレースの後は監督でもあり父でもあるアラン・プロスト監督に怒られたことでしょう。

31周目、4位のローゼンクヴィスト選手がウォールにヒットしマシンを損傷します。ここぞとばかりにさらに順位を上げるブエミ選手。必死に食らいつくアプト選手。ここでもプロスト選手はローゼンクヴィスト選手を抜くのに手間取りまた置いてけぼり。父プロストのお怒り度もアップすることでしょう。

残り3周、ディ・グラッシ選手に手が届くところまで近づいたベルニュ選手でしたが、最後まで捉えることができず2位でフィニッシュ。3位はブエミ選手を抑えきったサラザン選手が見事に表彰台の座をゲットです。

そしてディ・グラッシ選手はポールトゥウィンの完全勝利。ここでついにチャンピオンシップでブエミ選手を抜き首位に立ちました。

2位陥落となったブエミ選手は、レース後の検査で車両規定違反が発覚。せっかくの4位フィニッシュも悪夢の0ポイントとなりました。

第11戦モントリオール(カナダ)リザルト(テレビ朝日)

【動画】決勝ハイライト

【動画】決勝フル配信

【動画】ディ・グラッシ選手を追った360度カメラ映像

 

感想

ニューヨークでの覇気の無さはなんだったんだ?と思うほど圧倒的な強さでのポールトゥウィンで、ついに選手権でも首位に立ちました。

ルノーに対して進化のスピードで劣るマシンと、焦りがレース中の挙動にはっきり表れるナーバスさ。そこがディ・グラッシ選手の弱点だったのですが、カナダでのダブルヘッダー初戦ではどちらも顔を出すことはありませんでした。

焦りについては、ニューヨーク戦から怖いくらいに落ち着き払っていたので今回も心配はしていませんでしたが、挑戦者の立場でありながら守りに入ってしまうのでは?という心配はありました。

ところが始まってみるとスーパーポールでの衝撃の速さ、本戦ではレースをコントロールするしたたかさ、フルコースイエローをきっかけとしたピットイン戦略も見事に決まり、完全に王者の走り。王冠を手にするものとしての風格まで備え、いよいよ最終決戦を次の日に迎えます。

一方ブエミ選手は予選前のフリー走行では大クラッシュを起こし、その影響で10グリッドの降格となり、そのスタートでは慎重になり過ぎて順位を落とすなど全てがうまくいかない週末でした。

レース後半の追い上げは驚異的でしたが、車両重量が4キロも規定より軽かったことを考えると、実際のペースはあまり良くなかったのでしょう。速いとはいえ後ろにはアプト選手、そして途中からはバード選手が同じペースでついていけていましたし。それは自分でも感じていて、ピットレーンで騒ぎをおこしたり冷静さを失ってしまいました。とどめはレース後の規定違反による失格と、この日の苦労が全て無に変える結果を受け、立ち直れるのでしょうか。勝負の行方は別としてファイナルラウンドではそれぞれのドライバーらしい戦いが見られると良いのですが。

ニューヨークで復活の2連勝を挙げたバード選手は、どうやらマシンに問題を抱えていた様子。それでも予選の18位から6位まで順位を上げ、最後にはしっかり存在感をアピールです。来年は初戦から期待してもいいのかな?

この1戦で個人的にMVPをあげたいのはアプト選手。時には自分を犠牲にしてもディ・グラッシ選手とチームのために最良な手段を選択するドライバーですが、ブエミ選手の悪態で頭に血が上ったのか、今まで見たことない熱い走りを披露してくれました。スティーブン・スピルバーグ監督のデビュー作『激突!』みたいに追ってくる恐怖で、ブエミ選手も速く走らざるを得なかったのかもしれません。フォーミュラEで一番速い男と一番怖い男がいるチーム。敵に回したら勝てる気がしませんね。

あと ミッチ・エバンス選手の快走も嬉しかったですねぇ。パナソニック ジャガーレーシングの雄姿を、今季の最後にようやく見ることができました。

 

おわりに

次の最終戦でシーズン3の感想も最後になります。シーズンまとめ記事も時間があれば書いてみようと思っているので、シーズン4が始まる12月までの間もチョコチョコと関連記事は更新していきます。

次回は7月30日に開催された最終戦モントリオール(カナダ)の感想になります。

画像の出典:Formula E

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