2017年6月11日(日)にドイツの首都ベルリンでフォーミュラE 2016-2017シーズンの第8戦が開催されました。
週末ダブルヘッダーの2戦目は、前日よりも更に走行距離が伸びてバッテリーの負担もパワーアップ!?今回もマヒンドラレーシングがここでも大暴れ!そしてレースは意外な結末へ?
ルールについては以下の記事で説明していますので、事前に見ておくことをオススメします。
【フォーミュラE】シーズン3(2016-2017)のルールを簡単に説明します
コース:第7戦と同じくテンペルホーフ旧国際空港の特設サーキット!ただし走る距離は増量!
第8戦の場所は、前日6月10日(土)に開催されたテンペルホーフ旧国際空港内のサーキットとなります。
ただし周回数が異なり2周伸びて46周の長丁場を迎えます。前日のバッテリー消費データを駆使しての、ギリギリの戦略を各チームとも強いられることに。荒れた路面の影響もあり、タイヤとブレーキへの負担も勝利へのカギとなりそうです。
注目はオーバーテイクポイント。前日に各ドライバーが抜きどころを何か所か探りあてていますので、超テクニカルな1コーナー以外でのオーバーテイクショーが増えそうです。特にブエミ選手が発見した9コーナーは他のドライバーたちも真似してきそう。
【動画】ニック・ハイドフェルド選手のベルリンコースガイド
予選:接戦を制したのはまたしても超新星!
予選
高い気温で路面温度は前日よりも10度近くも上昇し、文字通り白熱の予選となりました。
まずは予選第1グループに入ったフェリックス・ローゼンクヴィスト選手(マヒンドラ レーシング)が、ライバルたちの基準となるトップタイムをマーク。同じく期待されたチームメイトのニック・ハイドフェルド選手は第2グループに出走しますがセンサートラブルにより記録を残せず予選敗退。
セバスチャン・ブエミ選手(ルノーe.ダムス)は順当にトップ5圏内に入りますが、予想外の結果となったのはルーカス・ディ・グラッシ選手(ABTシェフラー アウディスポーツ)でした。
一時は5番手のタイムでしたが、サム・バード選手(DSヴァージン レーシング)、ジャン-エリック・ベルニュ選手(テチーター)らに押し出されるように7位まで転落。スーパーポールへの参加資格を逃しました。
スーパーポール
真っ先に飛び出したのは絶好調ローゼンクヴィスト選手。驚きのタイムを残して凱旋すると、他のドライバーたちが誰も彼に追いつけません。ブエミ選手は約0.1秒届きませんでしたが2位で納得の様子。2列目には昨日のスタートミスの挽回なるか、ホセ・マリア・ロペス選手(DSヴァージン レーシング)と、チームメイトのサム・バード選手が並びます。ベルニュ選手は5番手から追い上げることになりました。
【動画】予選ハイライト
決勝:そんなんアリ?複雑な結果に両者困惑
前半
オープニングは軽い接触があり多少パーツが跳ね上がるも混乱はなく、ポールポジションからローゼンクヴィスト選手が、その後にブエミ選手が続きます。
3位争いはチームメイト同士、ロペス選手とバード選手が並びますが、バード選手は接触を嫌って引きました。彼のこのクリーンさが潔いのですが弱点でもあるんですよね。後方ではハイドフェルド選手が最下位20位から5周で12番手までジャンプアップ。マシンの性能に余裕があるので、難しい1コーナーのオーバーテイクでも余裕でこなします。
展開が落ち着いたところで先頭に目を向けると、ローゼンクヴィスト選手が独走、ブエミ選手が1秒差、そこから約3秒離されてロペス選手とバード選手となり、上位2名の速さが飛びぬけています。7番手スタートだったディ・グラッシ選手もダニエル・アプト選手と編隊を組んで6位に浮上、さらに上を目指しますが次の相手は厄介な相手ベルニュ選手。慎重に隙を狙います。
17周目になってバード選手が前を行くロペス選手に仕掛けます。場所は危険な1コーナー、しかもアウトからのアタック!
賭けに出ましたが、ロペス選手はWTCC(世界ツーリングカー選手権)で鍛えられたケンカレーサーですから譲りません!残念ながらコーナー外に弾き出されたバード選手。しかもフロントタイヤ同士を接触させてマシンバランスが狂ってしまったのか徐々にズルズルと順位を落としていきます。
ロペス選手も調子が上げられず、ついにディ・グラッシ選手が交わして4位に浮上。このあたりで各車ピットイン競争が始まります。
後半
ここで予期せぬアクシデント発生。ピットアウトしようとした首位のローゼンクヴィスト選手の目の前を、なんとチームメイトのハイドフェルド選手が横切りあわや接触というハプニング。両者無事でしたがアンセーフリリースの審議対象となりました。
タイムロスがあったものの首位で復帰したローゼンクヴィスト選手、動揺することもなく快走を続け、ブエミ選手とは距離を置いてトップを守り続けます。
3位争いではディ・グラッシ選手がベルニュ選手を捉え、1コーナーでミスしたところをオーバーテイク。ベルニュ選手との接触が怖いですが、さすがにここは大人しく抜かれます。
34周目、ついに悲しいお知らせが。ピットレーン上で接触しそうになったローゼンクヴィスト選手に10秒のペナルティが課せられます。残念ですがルールなので仕方がないですね。
しかし、3位のディ・グラッシ選手が10秒以上後方にいるため、このまま粘り切れば2位フィニッシュが可能です。差を詰めたいディ・グラッシ選手ですが、どうしてもペースを上げられません。
結局1位フィニッシュのローゼンクヴィスト選手が2位に、2位フィニッシュのブエミ選手が優勝とややこしい結末に。ディ・グラッシ選手は足のケガも影響していたのか、無理せずの表彰台が精いっぱいでした。
詳しい結果は以下をご覧ください。
第8戦ベルリン(ドイツ)リザルト(テレビ朝日)
【動画】決勝ハイライト
【動画】決勝フル配信
感想
第7戦では車両規定違反のため0ポイントに終わったブエミ選手が雪辱を晴らす優勝となりました。しかし誰が見ても主役はローゼンクヴィスト選手!これからの展開が面白くなってきそうです。
一番残念だったのはバード選手でした。久しぶりの表彰台を期待していたのですが、まさかのチームメイト同士の相打ちとは。もう少しオーバーテイクがうまくなってくれればよいのですが、昨年のベルニュ選手といい今年のロペス選手といい、彼のチームメイトはいつだってガチファイター。簡単にはいきません。
今回はオンボード映像に注目しながらレースを眺めていたのですが、フォーミュラEの特徴でもあるエネルギーマネジメントの重要性がドライバーの技量からも伝わってきました。
全開走行でもストレートエンドでは軽くアクセルを抜いて惰性で走る瞬間を作ったり、ブレーキングは無駄のないように滑らかにと、かなり独特なテクニックが必要になります。こりゃあ耐久レースでもフォーミュラEの各ドライバーが引っ張りだこな理由がわかりますよ。
この次の週にはル・マン24時間耐久レースがありましたが、ディ・グラッシ選手はどうやら骨折していたらしく欠場となってしまいました。骨が折れた足で表彰台とか、どういうこと?って思いますけど。ニューヨーク戦には出られるみたいですので、ライバルのブエミ選手がいないうちにポイント稼いじゃいましょう。
おわりに
いよいよ今週末はニューヨークでの開催となります。AbemaTVとYouTube、どちらかで良いのでライブ配信してもらえないでしょうかね?真夜中になってしまうけど。
第9、10戦ニューヨーク(アメリカ)は7月15日(土)と16日とダブルヘッダーになります。お楽しみに!
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画像の出典:Formula E