【WRC2017】世界ラリー選手権 第7戦ラリー・イタリア・サルディニアの感想です

2017年6月13日

WRC第7戦ラリー・イタリア

​世界ラリー選手権 第7戦ラリー・イタリア・サルディニアは、初日からサバイバルゲームの様相となり、最後まで結果が予測できない展開となりました。

レースの模様は他のサイトで取り上げられるでしょうから、各チームごと、そして全体的な感想を好き勝手に書いていきます。

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Mスポーツ・ワールドラリーチーム(M-SPORT WORLD RALLY TEAM)

マシン:フォード フィエスタ WRC(FORD FIESTA WRC)

オット・タナク選手/マルティン・ヤルベオヤ選手:優勝
セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手:6位
エルフィン・エバンス選手/ダニエル・バリット選手:27位

かつて、その速さを買われMスポーツに移籍するも、ミスが多く1シーズンで放出。しかしその後の1年が彼を大きく成長させることになるのでした。

2016年、新興タイヤメーカーが設立したDMACKワールドラリーチームがタナク選手に手を差し伸べます。マシンはトップチームと同じフォード フィエスタRS WRC、しかし経験豊富なミシュランタイヤで戦うライバルたちとの差に苦労します。

それでも負けず嫌いのタナク選手は粘り強さという重要なスキルを身に着けて着実に結果を出し、ついに第7戦ラリー・ポーランドでは首位で最終日を迎えます。

後続との十分なマージンを取って迎えた最終ステージ1つ前。

なんと右前輪がパンクを起こし、交換のために失った時間は40秒。その間にオジエ選手に抜かれて悔し涙の2位フィニッシュとなりました。

DMACKチームは新規定の混乱のせいか1年で撤退してしまいましたが、タナク選手は無事フォードMスポーツに返り咲き。あの悲劇からちょうど1年目の6月、ついに夢は叶いました。今回の戦いで勝利に一番必要だったのは昨年磨いた粘りの走り。上位陣が次々とミスやトラブルで順位を落としていく中、大きなロスなく冷静にマシンを運び、最後はラトバラ選手とのタイム差を利用し余裕のフィニッシュ(そうでもないかも)でした。

速いだけじゃ勝てない過酷なレースで価値ある初勝利。これでようやく未勝利という呪縛から解き放たれて、優勝の常連になれるでしょうか?

タナク選手と対照的に全く目立たなかったのがオジエ選手。出走順の不利もあり苦しい戦いになることは承知の上でしたが、昨年は最終ステージで砂山に突っ込んでも怯まず爆走、優勝には届かないもののパワーステージを制覇してその強さを証明できたのに。

オンボードカメラを見ていると、今季序盤の取っ散らかったドライビングとは違い落ち着いてはいるようです。でも無理ができないような元気のない走りでした。前戦では復活の兆しが見えたと思ったのですが、まだマシンとの相性に問題があるのでしょうか。最近はタナク選手の速いときも珍しくなくなってしまいましたしね。

それでもしっかりポイントを重ねて選手権首位は譲らず。その辺りは相変わらず手強い。

今回はただ1人、タナク選手から引き継いだDMACKタイヤで挑むエバンス選手は序盤にクラッシュして早々に戦線離脱。それでもリタイア前まではミシュラン勢と遜色ないスピードを見せていましたので、タイヤの性能はタナク選手のおかげもあって競り合えるレベルになってきました。

 

トヨタ・ガズー・レーシング WRC(TOYOTA GAZOO Racing WRC)

マシン:トヨタ ヤリスWRC

ヤリ‐マティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手:2位
エサペッカ・ラッピ選手/ヤンネ・フェルム 選手:4位
ユホ・ハンニネン選手/カイ・リンドストローム選手:6位

ようやく表彰台に戻ってきたラトバラ選手。課題だったグラベル(未舗装路)でのセッティングと暑さ対策を克服して大きなトラブルもなく走り切っての2位は立派でした。

最終日は前を行くタナク選手にプレッシャーをかけようとして逆に小さなミスでタイムロスしてしまうメンタルの弱さを久しぶりに見ましたが、クラッシュせずに戻ってきてくれて安心しました。ここまで完走率100%ですからね。この事実だけで泣けます。

中盤でオストベルグ選手に前をふさがれてタイムロス。抗議したけど認められなかった幻の10秒があれば優勝もできたかも?と考えてしまいますが、今更そんな勝利は本人が望まないのでこの順位で良しとしましょう。

もう1つのサプライズ、ラッピ選手は大健闘の4位。それ以上にステージトップタイムを連発するなどルーキーとは思えないスピードを披露してくれました。驚きはマシントラブルで2速が使えないの状態でのステージウィン。「ヤベェwww2速ないけど超速いwww」みたいな感じで本人たちもタイムアタック後大笑いしていました。次戦以降も勢いを持続できるでしょうか?

そして6位でフィニッシュしたハンニネン選手。クラッシュしてしまうまでは2位ポジションだったりしました。速さはあるんですよね。あとは全日通して走り切れる耐久力を身に着ければ、もう少し上の順位を狙えそうです。

チーム全車が完走&入賞と信頼性には大きな手ごたえを感じた1戦になりました。

 

ヒュンダイ・モータースポーツ(HYUNDAI MOTORSPORT)

マシン:ヒュンダイ i20 クーペ WRC((HYUNDAI i20 COUPE WRC)

ティエリー・ヌービル選手/ニコラ・ジルソウル選手:3位
ダニエル・ソルド選手/マルク・マルティ選手:12位
ヘイデン・パッドン選手/セブ・マーシャル選手:リタイア

好調が続くヒュンダイの中で飛び出したのは、ここまで不調が続いていたパッドン選手。今季で引退するジョン・ケナード選手、そして彼の後を引き継ぐマーシャル選手と2名のコ・ドライバーと共に戦いに挑みました。

圧倒的な速さで久しぶりの優勝?と期待が高まるも、思わぬミスで右後輪をヒットし、炎上するほどのダメージを受けてリタイア。なんとも惜しまれる痛恨のエラー。

しかし選手層の厚いヒュンダイ勢、今度はヌービル選手が追い上げを見せ3位表彰台。でも最近のヌービル選手、ブレーキが効かなくなってキレたり、ダストがすごいってキレたり、放送禁止用語連発とかちょっと横暴な感じしません?

ソルド選手はマシントラブルで低迷。今回は厳しい結果となりました。マシンに問題が出ている点は今後も少し心配です。

 

シトロエン・トタル・アブダビ・ワールドラリーチーム(CITROËN TOTAL ABU DHABI WRT)

マシン:シトロエン C3 WRC(Citroën C3 WRC)

アンドレアス・ミケルセン選手/アンダース・イェーガー選手:8位
クレイグ・ブリーン選手/スコット・マーチン選手:25位
クリス・ミーク選手/ポール・ネイグル選手:リタイア

今季、もう何度この姿を見たことか。スタートから首位に立ったミーク選手。そして期待を裏切らず見事な横転でマシンに大ダメージを負い、またもやリタイア。事故った直後の表情が「ヤベェまたマットン(チーム代表)に超怒られる・・・」という風に見えたのは気のせいでしょうか。

同じくレギュラードライバーのブリーン選手もジャンプ時にマシンを破損しリタイア。

残るはミケルセン選手のみ。突然呼ばれて突然走らされての無茶ぶりでしたが、パンクやマシンの不調を抱えながらも見事完走し8位入賞。チーム内で最高の成績を残してしまうという超人技を披露してくれました。タイム的にはまだまだですが、次戦ポーランドも参戦決定。後半になって優勝を狙えるドライバーがまた1人登場です。

 

その他

お祭り男マッズ・オストベルグ選手はここでも大ジャンプを披露。「ジャンプ楽しみにしてるよ!」とファンに言われると、「どれくらい飛べばいいんだい?」なんて答えるお茶目な人。トラブルなどに苦しみながらも7位と好走を見せてくれました。プライベーターという予算の少ない立場ながら頑張っています。パーツ取れちゃうとかも今回はなかったです。

それともう1人、WRCの下位カテゴリ、WRC2で日本の勝田貴元選手がなんと3位表彰台を獲得です!ごめんなさい良い成績を出せるのはもっと先だと思ってましたごめんなさい。

個人的にはインディ500で佐藤琢磨選手が優勝したのと同じくらいの驚きでした。新井大輝選手ともども今後の日本のモータースポーツ界を背負っていくドライバーとして応援していきます!

 

全体を通しての感想

とにかく序盤から次々に脱落していくサバイバルレースでしたが、そこでトヨタがしっかり走り切るといういい流れが来ました。実力だけで優勝するにはちょっと足りない今だから、こういうタイミングをちゃんと捉えられるのって素晴らしいです。

でも今回はラトバラ選手よりラッピ選手が目立ってしまったなぁ。ルーキーですけど昨年のWRC2チャンピオンですからありえなくはないですが、それにしても速い。次戦からはポーランド、そして彼の故郷(他のトヨタドライバーみんなフィンランド人だけど)フィンランドと高速グラベルラリーが続きます。地元に近づいてますます飛躍してくれそうですね。

あとミケルセン選手の復帰も嬉しい。なんといっても昨年の選手権3位の人ですから放っておくなんて勿体なさすぎです。調子が良いとドライビングが雑になるときもありますが、安定感はさすがでした。正直シトロエンC3 WRCは速いけど乗りにくいんじゃないかと思ってました。でもセットアップもロクにしないで所見でいきなり完走できるってことはそうでもないはず。ポテンシャルは高いマシンなんですね。

今戦で一番の感動ポイントは、オストベルグのダストに怒り心頭だったのに無線が聞こえなかったという理由を知って和解するラトバラ選手とのハグシーン。これぞBL!じゃなくてスポーツマンシップ!と感動しましたね~。

ラリーって自然の中での戦いなので、全員が同条件で走ることは不可能なのです。走る順番でコンディションが変わったり、時には牛が路上を横切ったり、そういうのも含めてのラリーであり、難しくもあり美しいスポーツ競技だなと改めて思いました。

 

ハイライト動画集

【動画】ステージ1 – 5 ハイライト

【動画】ステージ6 – 9 ハイライト

【動画】ステージ10 – 12 ハイライト

【動画】ステージ13 – 15 ハイライト

【動画】ステージ15 – 17 ハイライト

【動画】ステージ19 パワーステージ ハイライト

【動画】ラリー・イタリア・サルディニア レビュー

 

おわりに

今回のレッドブルTVには元F1ドライバーのマーク・ウェバー選手が再登場。ついつい来週ル・マン24時間耐久レースがあるのに大丈夫?とか心配してしまいました。まだ走っている姿が残っているんですよね。コメンタリーとしての素質も十分でよく喋る!

第8戦ラリー・ポーランドは6月29日(木)開催です。ミーク選手がまさかのゲスト出演とかあったら嬉しいのに。

(画像の出典:TOYOTA GAZOO Racing)

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