【WRC2017】世界ラリー選手権 第5戦ラリー・アルゼンティーナ(アルゼンチン)の感想です

WRC第5戦結果

​世界ラリー選手権 第5戦ラリー・アルゼンティーナ(アルゼンチン)は、勝敗が最終ステージまでもつれ込む超接近!誰もが驚く大逆転劇で幕を下ろしました。

熱い南米での熱い戦いを振り返ってみます。

ヒュンダイ・モータースポーツ(HYUNDAI MOTORSPORT)

マシン:ヒュンダイ i20 クーペ WRC((HYUNDAI i20 COUPE WRC)

ティエリー・ヌービル選手/ニコラ・ジルソウル選手:優勝
ヘイデン・パッドン選手/ジョン・ケナード選手:6位
ダニエル・ソルド選手/マルク・マルティ選手:8位

今季最速の男がまたしてもやってくれました。最終日、飛ばしに飛ばして首位まで0.6秒差まで迫って迎えた最終パワーステージ。ここでも全開アタックで、とうとう0.7秒差ながら首位でフィニッシュし2連勝を飾りました。

「ほら、最終ステージで首位との差が0.6秒しかなかったら、トライしてみるしかないだろ?」
When you start the last stage 0.6sec behind the leader, you have to give it a go.

首位に立つと気が緩んでしまうのかミスがありますが、追う立場になれば最後まで冷静さを失わず攻める姿勢からは年間チャンピオンの可能性も十分に感じられました。

そしてパッドン選手もオットットからのゴローンといった感じの地味な横転という災難から立ち直り見事6位フィニッシュ。ソルド選手もマシントラブルから復帰して8位とチームの底力を発揮。マニファクチャラータイトルも視野に入ってきました。

【動画】ヌービル選手のシェイクダウン走行

 

Mスポーツ・ワールドラリーチーム(M-SPORT WORLD RALLY TEAM)

マシン:フォード フィエスタ WRC(FORD FIESTA WRC)

エルフィン・エバンス選手/ダニエル・バリット選手:2位
オット・タナク選手/マルティン・ヤルベオヤ選手:3位
セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手:4位

誰がこんな展開を予想したでしょうか。フォード勢で最上位は、オジエ選手でもタナク選手でもなく、エバンス選手でした!

ハマると強いエバンス選手と、ハマると速いDMACKタイヤが見事に融合、序盤からまさかの独走状態になりました。最終ステージでヌービル選手に捉えられ優勝こそ逃してしまいましたが、2位表彰台とチームメイトたちに負けない結果を手に入れました。途中までヌービル選手よりも速いタイムを出していましたが、大事な場面でミス。それが結果を左右することになりました。

「橋の欄干にぶつけたのが、多分(優勝できたかできなかったかの)違いだよね・・・。」
I hit a bridge and that was probably the difference.

タナク選手と挑んだ昨年も最終日にパンクで優勝を逃したり、あと1歩運がないDMACKタイヤですが、条件さえかみ合えばミシュランの能力を凌駕する性能は本物だと証明できましたね。

そのタナク選手も表彰台。エバンス選手が優勝すれば、そのタイヤの開発に貢献した彼の評価も上がったのになぁ。

オジエ選手は今回も彼らしくない戦いぶり。1年に1度ミスするかしないかの完璧コ・ドライバー、イングラシア選手のペースノートミスや、ブレーキポイントを間違えてのコースオフなどチグハグな走り。そんなことがあってもなぜかマシンは壊れずチャンピオンシップリーダーとして尚も君臨するんですから、どれだけ強運の持ち主なんでしょう。

【動画】ヌービル選手とエバンス選手の戦い

 

トヨタ・ガズー・レーシング WRC(TOYOTA GAZOO Racing WRC)

マシン:トヨタ ヤリスWRC

ヤリ‐マティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手:5位
ユホ・ハンニネン選手/カイ・リンドストローム選手:7位

一時は首位争いに絡んでいましたが、メキシコと同じく暑さによる問題が発生しペースダウン。それでも最後まで走り切る姿はエースの貫禄十分。5戦連続完走なんて、それだけでファンとしては嬉しいです。

約1分30秒差の5位という結果、今の勢力図では実力通りといったところだと思います。エンジンの問題の他にもパンクしたり苦しんでいたようですし。

「(SS8で)パンクしてしまったよ。岩を避けようとして外側に膨らんでしまったんだ」
We had a puncture. I was avoiding a rock and I wend wide.

今回は無事に走り切ったハンニネン選手と共に、次の1戦のための貴重なデータを持ち帰ってくる方が今は大事な時期です。ラッピ選手も近々登場するし、チームの厚みが出てから攻めに転じるのが良策かと。

【動画】ラトバラ選手、シェイクダウン時のオンボード映像

 

シトロエン・トタル・アブダビ・ワールドラリーチーム(CITROËN TOTAL ABU DHABI WRT)

マシン:シトロエン C3 WRC(Citroën C3 WRC)

クレイグ・ブリーン選手/スコット・マーチン選手:15位
クリス・ミーク選手/ポール・ネイグル選手:リタイア

またしても不運に終わったシトロエン。ミーク選手は序盤で首位を争う快走を見せるもクラッシュで横転。マシンを壊してリタイアとなってしまいます。

まったく同じ場所でマシンにダメージを受けたブリーン選手も同じくリタイアと2台エントリーで挑んだラリーで2台同時に失う悪夢に襲われました。

ブリーン選手はなんとかマシンを修復して完走するものの15位と低迷。速いけど脆いというチームのイメージから抜け出せるのはいつになるのでしょうか。

「機械の部分は大したことないよ、ほとんど見た目だけの問題だ」
Mechanically, the car was quite fine, it was mainly cosmetic.

金曜日のクラッシュ後、メカニックのおかげでこの言葉通り無事に修復を終えた彼のマシンでしたが、土曜日にまたまたクラッシュしてそのまま完全リタイアとなりました。メカニック、頑張ったのにねぇ。

【動画】ミーク選手のクラッシュ映像

 

その他

スポット参戦で期待していたマッズ・オストベルグ選手は優勝争いに絡む走りで序盤を盛り上げてくれましたが、小川を横切るコースで弾けるウォータースプラッシュを上げた後、なんとリアのエアロパーツ(リアディフューザー)を落っことしてしまいます!

「(映像に移っていた、パーツを拾う男性に対して)見つけてくれてありがとう。どうか、できるだけ早くサービスパークまで持ってきて欲しいな」
To this person, thank you for finding our diffuser. Please deliver to service park asap.

これで不安定になったマシンを岩にヒットさせ痛恨のリタイア、マシンを直してのレース再開からなんとか9位完走となりましたが、なんとも言えない結果に終わりました。

スウェーデンではリアウイングが取れるし、今度は別のとこ取れるし。ちゃんとネジ締めてあげてー!

 

ハイライト映像

【動画】ステージ1 – 3 ハイライト

【動画】ステージ4 – 8 ハイライト

【動画】ステージ9 – 12 ハイライト

【動画】ステージ13 – 15 ハイライト

【動画】ステージ16 ハイライト

【動画】ステージ18 パワーステージ ハイライト

 

おわりに

今季2勝目を最初に手にしたのはヌービル選手。幻となった初戦、2戦目での勝利を現実のものとしていたら、チャンピオン争いは今とは全然違っていたでしょうね。

しかし、不調とはいえオジエ選手も未だに首位を独走中。ヌービル選手は彼を止めることができるでしょうか。

第6戦ラリー・ポルトガルは5月18日(木)から開催です。

(画像の出典:TOYOTA GAZOO Racing)