【WRC2016】世界ラリー選手権 第12戦 ラリー・カタルーニャ(スペイン)の感想です(DAY4)
10月13日(木)から、世界ラリー選手権(WRC)2016年シーズンの第12戦、ラリー・カタルーニャ(ラリー・デ・エスパーニャ)が始まりました。21年ぶりとなる地元優勝か、今年のチャンピオン決定か。どちらにしても終わった後には大騒ぎになりそうです。
DAY3の感想はこちらです。
目次
DAY4:力尽きるも大声援
最終日は残り4ステージ、62.80km。わずか8.4秒差の優勝争いも、山沿いの2ルートを2度走るのみの短期決戦。天候は回復し路面も乾き始めています。タイヤは多くのマシンが固めを選択しました。
首位を走るセバスチャン・オジエ選手(フォルクスワーゲン・モータースポーツ:ポロR WRC)は、チャンピンシップのライバル、アンドレアス・ミケルセン選手(フォルクスワーゲン・モータースポーツ2:ポロR WRC)のリタイアでプレッシャーから解放されたのか、最初のステージから2位を走るダニ・ソルド選手(ヒュンダイ・モータースポーツ:i20 WRC)より常に速いタイムで引き離していきます。ティエリー・ヌービル選手(ヒュンダイ・モータースポーツ:i20 WRC)はもはや追いてけぼり。
そして迎えた最終ステージ。絶景を横目に峠道を駆け抜け、観客の前でドーナッツターンを披露してフィニッシュです。クレイグ・ブリーン選手(アブダビ・トタル WRT:シトロエン DS3 WRC)、ケビン・アッブリング選手(ヒュンダイ・モータースポーツN:i20 WRC)らは360度ドリフトターンをしながらスタンドに手を振るという大サービスで観客を沸かせます。まだゴールしてないのに、なんという余裕。
ヌービル選手はアンダーステアでコーナリングが苦しい様子でしたが、順位をキープし見事3戦連続表彰台へ。優勝してから急に調子良くなりましたねぇ。
ソルド選手もラストスパートを仕掛けますが、さすがに14秒の差は埋められません。最終走者となったオジエ選手は、去年このコースでゴール直前にガードレールに衝突してリタイアになってしまったのですが、そんな油断は一瞬も見せず、慎重に走るかと思っていたのにソルド選手のタイムさえ上回る本気のアタックでゴール。見事優勝を決め4年連続年間王座を手にしました。
最終ステージはパワーステージとも呼ばれ、ここでのタイム順に1位から3位には3、2、1ポイントが与えられます。早々にリタイアとなりフラストレーションの溜まっていたヤリ‐マティ・ラトバラ選手(フォルクスワーゲン・モータースポーツ:ポロR WRC)が鬱憤を晴らすような勢いでトップタイムをマーク。2位はオジエ選手、3位はソルド選手と優勝争いを繰り広げた2人が残りのポイントを獲得しました。
【動画】ステージ 15 – 19 ハイライト
【動画】最終ステージ ハイライト
最終順位
順位は以下の通りです。ペナルティなどにより最終順位は変動する可能性がありますので、確定順位はこちらでご確認ください。
順位 | 選手名 | チーム名 | 車種 | タイム |
1 | セバスチャン・オジエ選手 | Volkswagen Motorsport |
Volkswagen Polo R WRC
|
3:13:03.6 |
2 | ダニ・ソルド選手 | Hyundai Motorsport | Hyundai i20 WRC | +15.6 |
3 | ティエリー・ヌービル選手 | Hyundai Motorsport | Hyundai i20 WRC | +1:15.0 |
4 | ヘイデン・パッドン選手 | Hyundai Motorsport N | Hyundai i20 WRC | +1:27.8 |
5 | マッズ・オストベルグ選手 | M-Sport World Rally Team | Ford Fiesta RS WRC | +3:24.4 |
6 | オット・タナク選手 | DMACK World Rally Team | Ford Fiesta RS WRC | +5:24.9 |
7 | ケビン・アッブリング選手 | Hyundai Motorsport N | Hyundai i20 WRC | +7:31.3 |
8 | ヤン・コペッキー選手 | Škoda Motorsport | Skoda Fabia R5 | +9:05.1 |
9 | ポンタス・ティデマンド選手 | Škoda Motorsport | Skoda Fabia R5 | +9:20.4 |
10 | クレイグ・ブリーン選手 | Abu Dhabi Total World Rally Team | Citroën DS3 WRC | +9:57.1 |
感想
ついに今期の優勝がここで決まりました。シーズン中盤こそWRCが抱える出走順のハンデに苦しんでいましたが、後半のターマック(舗装路)イベントになると順番による差が少なくなりるので、実力で勝負ができるようになりました。そこからは1人だけ違うレベルで走っているような異次元の強さ。彼を脅かす存在であるはずのラトバラ選手はふがいない成績になってしまいましたし、ミケルセン選手はまだ成長途中。クリス・ミーク選手(アブダビ・トタル WRT:シトロエン DS3 WRC)はフル参戦ではなかったですし、そう考えると当然の結果でもあったんですね。
今回の結果を見ると、今年のヒュンダイチームの活躍を象徴するような順位になっています。ソルド選手、ヌービル選手の2 – 3 フィニッシュに加え、4位のヘイデン・パッドン選手(ヒュンダイ・モータースポーツN:i20 WRC)、アッブリング選手も7位と全車が入賞。全体的にアンダーステアな性格になっているようですが、速さは本物。来年ニューマシンになってしまうのがもったいないくらい仕上がってきてます。残り2戦でも結果を期待しましょう。
【動画】ラリー・カタルーニャ総集編
【動画】ラリー・カタルーニャ ベスト・オブ・アクション
おわりに
今期も残り2戦。来季のシートを掴むため、または少しでも良い待遇を得るため、そして勝利の瞬間を味わうために選手たちは走り続けます。これからも応援しましょう。
第13戦ウェールズ・ラリーGB(イギリス)は10月27日(木)開催です。