7月28日(木)から、世界ラリー選手権(WRC)2016年シーズンの第8戦、ラリー・フィンランドが開催され、無事に終了しました。短いDAY4での勝負の先には、感動のフィナーレが待っていました。
DAY3の感想はこちらです。
DAY4:恩師コリン・マクレー氏の夢を果たす!
採取日は残り33.96km、2ステージを2度走る短い行程ですが、相変わらずの高速コースに一瞬の油断もできません。2位のヤリ‐マティ・ラトバラ選手(フォルクスワーゲン・モータースポーツ:ポロR WRC)に41秒もの大差をつけているクリス・ミーク選手(アブダビ・トタル WRT:シトロエン DS3 WRC)にしても最後まで気が抜けないのです。
しかしミーク選手は焦ることなく無理をしない走りに切り替え、リスクを避けます。ラトバラ選手も深追いは諦め、2人の差は最終ステージ前に10秒ほど縮まった程度でした。
残る1つの表彰台の座を狙うのはクレイグ・ブリーン選手(アブダビ・トタル WRT:シトロエン DS3 WRC)とオット・タナク選手(DMACK WRT:フォード フィエスタ RS WRC)選手。しかし猛追を続けたタナク選手はこの日の2ステージ目でクラッシュ、残念ながらリタイアとなりました。それでも後続のティエリー・ヌービル選手とヘイデン・パッドン選手(共にヒュンダイ・モータースポーツ:ヒュンダイ i20 WRC)とは7秒差と9秒差。最後まで誰が勝ち抜くのかはわかりません。
残る最終ステージ、そのヒュンダイ勢2人が驚異のスパートで追い上げますが届かず4位、5位に終わります。優勝は余裕のミーク選手。恩師コリン・マクレー氏も成し得なかったフィンランドでの優勝を手に入れました。2位はラトバラ選手3位にはブリーン選手がめでたく初の表彰台です。
最終ステージはパワーステージと呼ばれ、タイム順に1位から3位までポイントが与えられます。ヒュンダイの2人、ヌービル選手とヘイデン・パッドン選手がそれぞれ3ポイント、2ポイントをゲット。3位にはラトバラ選手が入り1ポイントを手に入れました。ミスターパワーステージと呼ばれるセバスチャン・オジエ選手(フォルクスワーゲン・モータースポーツ:ポロR WRC)は4位で0ポイントと今季初の事態。ちょっと精神的にも参っているようなので心配になりました。
最終順位
順位は以下の通りです。ペナルティなどにより最終順位は変動する可能性がありますので、確定順位はこちらでご確認ください。
順位 | 選手名 | チーム名 | 車種 | タイム |
1 | クリス・ミーク選手 | Abu Dhabi Total World Rally Team |
Citroën DS3 WRC
|
2:38:05.8 |
2 | ヤリ‐マティ・ラトバラ選手 | Volkswagen Motorsport | Volkswagen Polo R WRC | +29.1 |
3 | クレイグ・ブリーン選手 | Abu Dhabi Total World Rally Team | Citroën DS3 WRC | +1:41.3 |
4 | ティエリー・ヌービル選手 | Hyundai Motorsport | Hyundai i20 WRC | +1:45.9 |
5 | ヘイデン・パッドン選手 | Hyundai Motorsport | Hyundai i20 WRC | +1:48.2 |
6 | マッズ・オストベルグ選手 | M-Sport World Rally Team | Ford Fiesta RS WRC | +2:04.6 |
7 | アンドレアス・ミケルセン選手 | Volkswagen Motorsport II | Volkswagen Polo R WRC | +2:22.4 |
8 | エサペッカ・ラッピ選手 | Škoda Motorsport | Skoda Fabia R5 | +4:53.8 |
9 | ケビン・アッブリング選手 | Hyundai Motorsport N | Hyundai i20 WRC | +5:22.4 |
10 | テーム・スニネン選手 | Team Oreca | Skoda Fabia R5 | +5:35.5 |
感想
今季2勝目を手にしたミーク選手の速さが光る一戦となりました。今季はスポット参戦ですが、4戦2勝と絶好調。去年までは苛立った表情でインタビューを受ける場面が多かったのですが、元々の気さくな彼が戻ってきました。シトロエンは来季もこのまま楽な気持ちでレースさせてあげてくれませんかね?
2位には終わりましたがラトバラ選手も抑えた走りで無事完走。シーズン序盤でこの走りができていれば・・・と思うのは毎年変わりませんね。そしたら不調のオジエ選手に肩を並べる成績だったかもしれないのになぁ。
ミーク選手もすごいですが、このレースのもう1人の主役はブリーン選手。夢にまで見た表彰台は、最終ステージフィニッシュ後にインタビューが始まる前からもう泣いているくらい感激だったようです。
ヌービル選手も優勝後は連続で4位入賞と安定した走りが復調の気配。パッドン選手も連続大クラッシュからなんとか立ち直ったようです。今回ケガで出場できなかったダニ・ソルド選手が戻って来れば、ヒュンダイ勢もシトロエンに負けないくらいの実力が揃いそうですね。
残念だったのがフォード勢。タナク選手ばかりが目立つ格好になり、全く良いところがありません。マッズ・オストベルグ選手(Mスポーツ WRT:フォード フィエスタ RS WRC)はもうすこし頑張ってもらわないと来季のシートが危ないですよ!DMACKはMスポーツへのタイヤ供給を考えているとの噂があるので、実現するとタナク選手にエースドライバーの座を奪われてしまいそうです。
日本人勢はWRC2で出走した勝田貴元選手が無事12位フィニッシュ。新井大輝選手はリタイヤとなってしまい苦いデビュー戦になりました。この経験を活かして再度挑戦してもらいたいです。伊豆野康平選手も総合49位完走お疲れさまでした。
【動画】ステージ20 – 23 ハイライト
【動画】ステージ24 ハイライト
おわりに
これでミーク選手はオジエ選手に続いて今年2勝目を達成。去年までのフォルクスワーゲン独占ムードから全く別の様相となりました。チャンピオンシップはオジエ選手がまだ安全圏にいますが、逆転できる可能性も増えてきました。次戦ドイツでは出走順によるハンデが緩和されると思うので、各ドライバーの実力を見極めてみましょう。
第9戦ラリー・ドイチェランド(ドイツ)は8月18日(木)開催です。
[amazonjs asin=”B00IDZ2RVE” locale=”JP” title=”ignition model 1/43 Toyota Corolla WRC (#7) 1997 Finland”]
コメント