【映画感想】栄光のル・マン/オレにとってレースは人生なんだ(ネタバレなし)

2016年6月18日

movie
6月15日から世界3大レースの1つであるル・マン24時間耐久レースが開催されています。ドライバーたちが速さを競うだけでなく、チーム全員の力で長い1日を戦い抜き、世界一のスピードを証明する過酷なモータースポーツ競技。

この季節になると、いつもこの映画を思い出します。

スポンサーリンク

作品のあらすじ

フランス郊外都市、ル・マンのサルト・サーキットで行われる24時間レースに、デラニー(スティーブ・マックイーン)はポルシェチームのドライバーとしてやってきます。

世界一の名声を求める者たち、勝利の瞬間を目撃しようと集うお祭り騒ぎの観客たち。デラニーはその人々の中に、昨年彼との接触事故で命を落としたドライバーの妻、リサの姿を見つけるのでした。

どうして命を懸けてまで男たちは走り続けるのか。そんなリサの視線を感じながらもレースはスタートします。走る理由を求めるようにアクセルを踏み続けるデラニー。チェッカーフラッグが振られたとき、彼が見つけ出した答えは・・・?

 

ル・マン24時間耐久レースについて

感想の前に、作品の舞台となっているル・マン24時間耐久レースについて簡単に説明します。この1戦はFIA 世界耐久選手権(WEC)というシリーズ戦の1つなのですが、F1モナコグランプリ、アメリカのインディ500と並ぶ世界3大レースの1つとして名高く、トヨタや日産など日本のメーカーは選手権よりもル・マン優勝に力を入れるほど、ここでの勝利は特別な意味を持っています。

LMP(ル・マン・プロトタイプ)と呼ばれるレース専用の車両規定に基づき製作されたマシンは、時速400kmを超えるほどのスピードで(現在は規制により350km弱)長いストレートを駆け抜け、14km近いコースを1周するタイムはわずか3分ちょっと。3人のドライバーが交代でハンドルを握り、メカニックたちは給油やタイヤ交換、ときには修理でチームを支えチェッカーフラッグが振られる瞬間まで戦い続けます。

4日間にわたるイベント期間中は20万人を超える観客が滞在し、そこはもうお祭り騒ぎ。1年に1度のレースの祭典を祝います。

 

作品の感想

マックイーンの狂気、ル・マンの空気

アクション俳優として活躍したマックイーンさんが全財産を注ぎ込大失敗したという本作ですが、それには理由があります。

撮影のため実際に1970年のル・マン24時間レースを走り、マシンやコースに設置したカメラ、ヘリコプターによる空撮などで丸々フィルムに収めてしまう力の入れようで、その他レースシーン撮影のために数ヶ月間の間に50名以上のドライバーが参加しました。事故のシーンも撮影中に起こったアクシデントを再現しリアルさを徹底的に追求しました。

しかし映画としてはライバルとの駆け引きや男女愛などのようなドラマ要素が少なく、モータースポーツの楽しさが理解できない人にとっては車がグルグル走っている間に人がグダグダ喋っているだけにしか見えないのです。

たぶんマックイーンさんは、普通の人には理解できずレーサーが言葉にできない「走る理由」を描きたかったのでしょうが、本人もそれをどうやって映像で表現すればいいのか悩み続けていたのではないでしょうか。

答えが見つからず、何かに取り憑かれたかのように執拗にマシンを追う姿が浮かんできます。そのおかげでクルマの挙動、長時間運転中のドライバーの思考や感じる恐怖など、レースの雰囲気を含めたあまりにも濃いディテールの描写はドキュメンタリーや映画という枠を超えてしまい、伝説の名作として名を残すことになりました。

レースだけが人生だ

現在のようにクルマを制御しているのが人なのかコンピューターなのか判断の難しい難な時代とは違い、この映画が公開された頃は暴れる機械を人間がどれだけ乗りこなせるかが勝負。危険を承知でスピードを上げ、周回遅れを交わし、ライバルに追い抜く行為は全て命がけ。少しでも判断を誤れば命の保証はありません。

1年前のレースでは接触事故を起こし相手のドライバーを死なせてしまったデラニーは、その妻だったリサに走る理由を聞かれ、こう答えます。

「オレにとってレースは人生なんだ」

24時間の戦い。人生のたった1日にしか過ぎない時間の中ですが、レースの中では様々な出来事が起こります。ライバルとの駆け引き、些細なミス、挽回してくれる同僚ドライバーやメカニックたち。

天才的な腕があるわけでもなく、勢いだけで押し切れるような若さも失ってしまったデラニー。レーシングドライバーになる以外に選択肢がなかった不器用な男の生き様は、同じように毎日をがきながら生き続ける僕たちの人生と重なるのです。

エンターテイメントとしては物足りないのかもしれないけれど、現実に限りなく近い、ありのままの人間の姿を切り取った作品であるとも言えるでしょう。

本物のレースも楽しめるかも

今年のル・マンは総合優勝を狙うポルシェ、アウディ、トヨタの3強対決(トップカテゴリーにはこの3メーカーしかいませんが)。昨年はポルシェが優勝、6連覇を逃したアウディの逆襲、そしてトヨタ念願の初優勝にも期待がかかります。残念ながら地上波放映はありませんが以下のサイトでは生中継でレースの模様を楽しむことができます。

WEC 2016年 第3戦 ル・マン24時間レース SPECIAL(TOYOTA GAZOO Racing)

この映画を観ると、華やかな表舞台の姿だけでなく、その裏側に隠された人々の苦悩も感じられるようになり、実際のレースも面白くなるかもしれませんよ。

 

この感想を書くために参考にさせていただいたサイトやブログ

 

おわりに

今年は「スティーヴ・マックィーン その男とル・マン」という作品も公開され、興行成績は奮わなかったものの、この映画の評価はやはり高いものがあるようです。

レースと映画って以外と相性が良いのか「ラッシュ/プライドと友情」を始め面白い作品がいろいろありますね。「デス・レース」シリーズみたいな方向に行く場合もありますけど。

スポンサーリンク