5月28日より、世界ラリークロス選手権(WorldRX)の2016年シーズン第4戦がイギリスのリッデンヒルサーキットで開催されました。チャンピオンシップリーダー争いも激しくなってきた一戦、レースの感想を書きます。
ルールについては以下の記事で説明していますので、事前に見ておくことをオススメします。
世界ラリークロス選手権(WorldRX)のルールについて説明します
予選:一台だけ次元の違う走り
今回からアップデートしたマシンを投入してきたペター・ソルベルグ選手(シトロエン DS3)が異常な速さで予選を席巻。Q1からQ3までトップ通過、タイヤに気を使ったというQ4でも2位とほぼパーフェクトな予選結果となりました。
Q4でソルベルグ選手からトップを奪い予選2位通過となったのはアンドレアス・バックラッド選手(チームHoonigan Racing Division:フォード フォーカス RSRX)。3位にはティミー・ハンセン選手(チームPeugeot Hansen:プジョー208 WRX)が入りました。
バックラッド選手は好調ですがチームメイトのケン・ブロック選手の成績がイマイチ。フォードフォーカスだと車体が大きくて車重もあるせいか俊敏性が不足しているように見えます。スタートや加速力が重要なラリークロスでは、パワーがあっても車重があるマシンはちょっと不利なのかもしれません。一回り小さいフィエスタの方が良かったんじゃ?って思います。でも同僚のバックラッド選手は乗りこなしているので相性もあるのかな?
ライブのオープニングにオンボード映像でコース紹介があるのですが、やけに綺麗な走りをするなと思ったら今回はセバスチャン・ローブ選手(チームPeugeot Hansen:プジョー208 WRX)の運転でした。相変わらず無駄のない走りしてくれます。
地元の期待がかかっていたライアム・ドーラン選手(BMW ミニ)はマシントラブルがあり満足に走れませんでした。残念。
セミファイナル:やはり優勝候補はあの2人
セミファイナル1
もう勢いが止まらないソルベルグ選手がここでもスタートダッシュを決め、そのままトップでフィニッシュ。
プジョー期待の若手ドライバー、ティミー・ハンセン選手と、弟でもありチームメイトでもあるケビン・ハンセン選手の対決もありました。2人は仲良く2位、3位と共にファイナルに進出。トッピ・ヘイッキネン選手(チームEKS:アウディ S1)やアントン・マルクルンド選手(共にチームVolkswagen RX Sweden:フォルクスワーゲン ポロ)ら有力選手が上位進出できず姿を消しました。
セミファイナル2
1位通過はマティアス・エクストローム選手(チームEKS:アウディ S1)。1週目でジョーカーラップを選択し、他車との混乱をうまく交わして余裕のトップ通過。さすがレースをよく知っています。2番手はバックラッド選手。ヨハン・クリストファーソン選手(チームVolkswagen RX Sweden:フォルクスワーゲン ポロ)が縁石に引っかかってコース外に飛んで行ってしまうというアクシデントがあり上位から転落。ティマ・ティマジヤーノ選手(フォード フィエスタ)が1週目で元WRC王者のローブ選手を蹴散らし、その勢いのまま3位に入ってしまいました。
ローブ選手の方はマシントラブルかペースに付いていけず5位フィニッシュ。予選でもトラブルで怒りを露わにするなどストレスの溜まる週末になってしまいました。サスペンションも硬すぎるのかボコボコと跳ねている箇所も見れらましたし、マシンセットアップも不調だったようです。
ファイナル:これぞラリークロス!ジョーカーラップが明暗を分ける
スタートダッシュを決めたフロントローの2台ですが、直後の戦略は異なりソルベルグ選手はオンコース、エクストローム選手はジョーカーラップを選択。これでソルベルグ選手がジョーカーラップを抜けるまでどっちが先頭かわからなくなりました。
4周目にソルベルグ選手が運命のジョーカーラップ、そこを抜けるとエクストローム選手が目の前に!予選のスピードが決勝では発揮できず首位を奪われ、エクストローム選手の3連勝となりました。
予選は無理をせず、セミファイナルとファイナルで全力を出してきたのかもしれません。優勝するには速く走るだけでなく一瞬の速さと戦略も大事なのがわかります。その辺り、エクストローム選手が上手でした。
ソルベルグ選手は第3戦のベルギーで戦力不足を感じてていたようだったので、今回はアップデートしたマシンを投入してきました。パワーもアップしているの かもしれませんが、ギリギリのライン取りやスタートダッシュ時を見ると、操縦性もかなり向上してコントロールしやすくなっているように思えます。今回はも う優勝まであと一歩足りませんでしたが、それでも互角の戦いができるところまで追いついてきてますね。レース後にエクストローム選手のチーム関係者ともハグとかしちゃってますし、ご機嫌の様子。
優勝のチャンスもあったバックラッド選手はスタート失敗。でもこれからも活躍してくれそうです。
最終結果は以下をご覧ください。
Live Qualifying Results – Supercar – Lydden Hill
配信映像
DAY1ハイライト
DAY2ハイライト
決勝ライブ映像(フル)
セミファイナル1:0:59:00頃から
セミファイナル2:1:10:00頃から
ファイナル:1:35:00頃から
おわりに
予選の速さが決勝では発揮できなかったソルベルグ選手でしたが、マシン性能の差はかなり縮まったように見えます。まだまだ年間総合優勝を賭けて熱い戦いは続きそうです。
第5戦ノルウェイは6月10日開催です。
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