5月19日(木)から、世界ラリー選手権(WRC)の2016年シーズン第5戦、ラリー・ポルトガルが開催されました。前の記事に続いての結果と感想です。
DAY3:ヌービル選手、まさかの・・・
DAY3は6ステージ165.28km、渓谷の中を縫うように走るイベント期間中一番長い距離を走る日です。朝の天候は晴れで、雨も予想されましたが結局レース中は降らないまま。この日も多くのドライバーがグリップ力のあるソフトタイヤを選択しましたが、ヤリ‐マティ・ラトバラ選手(フォルクスワーゲン・モータースポーツ)だけが摩耗の速さを意識したのかハード2本、ソフト3本の変則チョイス(1本はスペアタイヤです)。結果から見るとあまり効果はなかったようです。
ここでビックリのアクシデントが起こりました。場所はステージ10、5位を走行中のティエリー・ヌービル選手(ヒュンダイ・モータースポーツN)のマシンが突然ストップします。ヒュンダイのオフィシャルコメントによると、なんと原因はガス欠という人的ミス。この人の復調も期待していただけに残念すぎるリタイヤになってしまいました。
Lessons to learn on penultimate day of Rally Portugal(HYUNDAY Motorsport)
(競技3日目は試練の時)
この日のリーダーもクリス・ミーク選手(アブダビ・トタル WRT)。2位のオジエ選手に45秒以上の差をつけてリードしました。オジエ選手はチャンピオンシップポイント首位ということで出走順が1番手。路面に積もったホコリのお掃除役となりペースが上がりません。背後からはアンドレアス・ミケルセン選手(フォルクスワーゲン・モータースポーツ2)が迫ってきました。
ステージ12 – 15ハイライト
DAY4:予想外の展開
DAY4は残り4ステージ67.32kmのみ。昨晩降った雨の影響で路面は滑りやすいコンディション。でも天気は回復し気温も20まで上がると予想されました。
最終日の出走順は前日までの成績の逆順ということで、ここまで先頭走者として路面のお掃除役としての任務に耐えてきたオジエ選手のスパートが期待されるところでしたが、なんと走行中にパンクしタイムロス。スペアタイヤを使ってしまったためにその後も慎重になってペースを上げられず、ミケルセン選手に抜かれてしまいました。
前日までのアドバンテージを活かして逃げ切ったミーク選手が自身2度目の優勝。走行区間の短い最終日にドラマッチックな追い上げを見せたミケルセン選手が2位となりました。オジエ選手は悔しい3位となりましたが、パワーステージの最終19ステージでは最速タイム叩き出し、ちゃっかり3ポイントを獲得しています。
ステージ17ハイライト
ステージ18 – 19ハイライト
最終順位
順位は以下の通りです。ペナルティなどにより最終順位は変動する可能性がありますので、確定順位はこちらでご確認ください。
順位 | 選手名 | チーム名 | 車種 | タイム |
1 | クリス・ミーク選手 | Abu Dhabi Total World Rally Team |
Citroën DS3 WRC
|
3:59:01.0 |
2 | アンドレアス・ミケルセン選手 | Volkswagen Motorsport II |
Volkswagen Polo R WRC
|
+29.7 |
3 | セバスチャン・オジエ選手 | Volkswagen Motorsport | Volkswagen Polo R WRC | +34.5 |
4 | ダニ・ソルド選手 | Hyundai Motorsport | Hyundai i20 WRC | +1:37.1 |
5 | エリック・カミリ選手 | M-Sport World Rally Team | Ford Fiesta RS WRC | +4:01.6 |
6 | ヤリ‐マティ・ラトバラ選手 | Volkswagen Motorsport | Volkswagen Polo R WRC | +4:06.9 |
7 | マッズ・オストベルグ選手 | M-Sport World Rally Team | Ford Fiesta RS WRC | +6:53.6 |
8 | マルティン・プロコップ選手 | Jipocar Czech National Team | Ford Fiesta RS WRC | +10:24.1 |
9 | ポンタス・ティデマンド選手 | Skoda Motorsport | Skoda Fabia R5 | +11:45.2 |
10 | ニコラス・フックス選手 | Nicolas Fuchs Sierlecki | Skoda Fabia R5 | +13:14.0 |
ラリー・ポルトガル レビュー
ラリー・ポルトガル ハイライト
感想
来年に向けてのニューマシン開発に力を入れるため今季はスポット参戦のミーク選手がやってくれました。速いけどなかなか最後まで走りきることができず苦しんでいましたが、常に結果を求められるフル参戦とは違いプレッシャーが少ない分伸び伸びと走れて結果にも繋げることができたようです。競争原理主義だったチーム運営方針も見直してもらえると良いですね。
2位にはチームメイトのオジエ選手を抜いてミケルセン選手が飛び込んできました。出走順によるハンデのおかげだと言われるかもしれませんが結果が全てですから自信持ってもらいたいです。同じくチームメイトのラトバラ選手は今回もまともに走れませんでしたが、それでも6位まで戻してきました。この速さを最初から最後まで通して維持できれば優勝もできたはずなのに。
オジエ選手が3位でチャンピオンシップ争いではいまだ安全圏。しかしこれで3戦優勝できずフラストレーションは溜まっていると思いますので、どこかで圧勝を狙ってくるでしょう。
他に今回頑張ったのはエリック・カミリ選手。せっかくMスポーツ WRTのレギューラになったのに開幕から3戦連続リタイヤをやらかして前回ようやく8位入賞となりましたが、今回は更に上に上がり5位でフィニッシュ。徐々にマシンにも慣れてきましたかね?相棒のオストベルグ選手から堅実さを学んで完走し続けて欲しいです。
ラトバラ選手、パッドン選手、ソルベルグ選手と応援するドライバーがことごとく不幸になっているので、これからはヘンなエネルギーを送らないように注意したいと思います。カミリ選手、今回褒めちゃったから気をつけて!
そういえばヘニング・ソルベルグ選手の息子さんのオリバー・ソルベルグ選手も併催されていたDRIVE DMACK Fiesta Tropyという選手権に参加していたようです。親子のラリー対決とか見られたら面白いですね。まだまだヘニングお父さんにも頑張ってもらわないと。
おわりに
このところフォルクスワーゲン以外のチームが勢いづいてきています。前回はヒュンダイ、今回はシトロエンと来て、次戦あたりでフォードが活躍してくれると盛り上がりそうなんですが、ちょっと欲張りすぎでしょうか。
世界ラリー選手権(WRC)第6戦、ラリー・イタリアは6月9日より開催です。
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