世界ラリー選手権(WRC)2016 第4戦 ラリー・アルゼンチンの結果と感想です(その2)

wrc4月21日(木)から4日間にわたり開催された世界ラリー選手権(WRC)の2016年シーズン第4戦、ラリー・アルゼンチン。前回に引き続き、後半戦を感想を交えながら結果を振り返っていきたいと思います。

 

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DAY3:ラトバラ選手の悪夢

天候は晴れて乾燥した日が続きます。気温は8度と冷たい朝になりましたが26度まで上昇が予想されています。天気予報によると最終日は雨が降るようで、賭けに出るならこの日が勝負。

DAY3は6ステージ157.82kmの道のり。トップドライバーは前日と同じく全員柔らかめのタイヤを選択です。

前日から好調が続くフォルクスワーゲン・モータースポーツのヤリ‐マティ・ラトバラ選手は隙のない走りで、2番手に上がってきたヒュンダイ・モータースポーツNのヘイデン・パッドン選手も彼に離されないのが精一杯。このまま勢いに乗って2連勝も目前かと思われましたが、午後に入って悪夢のような光景を見ることになってしまいました。

ステージ14の後半にある高速セクションで、突然サスペンション(地面のデコボコによる衝撃を吸収するための装置)が損傷してボンネット上部へ飛び出し、マシンはコントロールを失って横転。首位から一転、リタイヤとなってしまいました。

たしかに事故現場には石が路面から突き出ていましたがクルマが壊れるほどの大きさには見えず、通常ならサスペンション自体が衝撃を防いでくれているはず。不運だとしか言いようのない現象にラトバラ選手もガッカリです。

「本当に残念だよ。全部の石を避けて走るなんて無理だし、あの場所を通る以外に選択肢はなかったんだ。でもただの路面の出っ張りだから、どうしてあんな風に壊れてしまったのかわからない。でもそうなってしまったんだから・・・不運としか言いようがないよ」

Latvala blames suspension failure for SS14 crash(WRC.com)
(ラトバラ選手、クラッシュの原因はサスペンションの破損と語る)

 

しかしこのアクシデントにより、2位を走行中していたヒュンダイ・モータースポーツNのヘイデン・パッドン選手にはビッグチャンスが到来しました。彼にとって初の優勝の可能性が見えてきたのです。

1日を終えてパッドン選手はフォルクスワーゲン・モータースポーツのセバスチャン・オジエ選手に30秒近い差をつけての首位。3位はフォルクスワーゲン・モータースポーツ2のアンドレアス・ミケルセン選手が追いかけている状況です。

 

ステージ9 – 12ハイライト

 

ステージ13 – 15ハイライト

 

ラトバラ選手のクラッシュシーン

 

 

DAY4:初優勝は楽じゃない

残りもわずか3ステージ55.28kmとなった最終日。ラリーの拠点となるカルロスパスの天候は曇り空で気温は12度。雨も予想され天候が崩れてきました。岩石地帯を駆け抜けるエルコンドルステージでは霧が出て視界が悪くなっています。

注目は初優勝を目指すパッドン選手と追いかけるオジエ選手の一騎打ち。オジエ選手は快調に飛ばし、最終ステージを前に2.6秒まで差を詰めます。一方のパッドン選手は原因不明のトラブルが発生し、ゴールを前に不安を抱えます。

「ひどいステージだったよ。コンディションもガラッと変わったし、ヘアピンカーブでスピードを落とすとエンジンが止まってしまう現象がたびたび発生したんだ。一度はエンジンが掛かるまでに5秒くらいタイムロスしてしまったし。なんとかしないとね」

 

しかし迎えた最終ステージ、渾身の力を振り絞ったパッドン選手はトップタイムを叩き出し見事優勝。チームとしても参戦してから2度目の勝利を手にしました(前回は2014年ラリー・ドイツ)。

 

ステージ16ハイライト

 

ステージ18ハイライト

 

 

最終順位

順位は以下の通りです。ペナルティなどにより最終順位は変動する可能性がありますので、確定順位はこちらでご確認ください。

順位 選手名 チーム名 車種 タイム
1 ヘイデン・パッドン選手 Hyundai Motorsport N
Hyundai i20 WRC
3:40:52.9
2 セバスチャン・オジエ選手 Volkswagen Motorsport
Volkswagen Polo R WRC
+14.3
3 アンドレアス・ミケルセン選手 Volkswagen Motorsport II Volkswagen Polo R WRC +1:05.2
4 ダニ・ソルド選手 Hyundai Motorsport Hyundai i20 WRC +1:17.1
5 マッズ・オストベルグ選手 M-Sport World Rally Team Ford Fiesta RS WRC +4:56.7
6 ティエリー・ヌービル選手 Hyundai Motorsport Hyundai i20 WRC +9:29.5
7 マルコス・リガト選手 Ligato, Marcos Sebastián Citroën DS3 WRC +9:39.2
8 エリック・カミリ選手 M-Sport World Rally Team Ford Fiesta RS WRC +10:16.0
9 ヘニング・ソルベルグ選手 Solberg, Henning Ford Fiesta RS WRC +10:48.5
10 ニコラス・フックス選手 Fuchs, Nicolás Skoda Fabia R5 +24:42.8

 

ラリー・アルゼンチン ハイライト

 

 

感想

ラトバラ選手が優勝かと思っていたのに、まさかのリタイヤとなってしまいました。今シーズンはまだ3分の1が過ぎたところですがすでに総合優勝は絶望的に。チャンピオンになるには実力だけじゃなく運も必要なんですね。でもこれで諦めずに優勝目指してもらいたいです。フォルクスワーゲンをクビになったらトヨタに移籍してくださいね。

そしてヒュンダイチーム期待の若手パッドン選手が初優勝。去年から才能は認められていましたが、結果も出して証明することができました。これでヒュンダイのレギュラードライバーは全員優勝実績を手に入れましたから、次に狙うのは総合優勝ですね。でもエースを担うはずのティエリー・ヌービル選手が今回も冴えず立場が悪くなる予感が・・・。

同じく若手のエリック・カミリ選手もMスポーツ WRTのレギュラードライバーとなってから初の入賞。選手層が少しずつ広がっています。来年のWRCレギュレーション変更によって勢力も変化する可能性があり、面白くなる要素がだんだん揃って来たような気がします。

パッドン選手に話を戻しますが、この優勝には大きな意味があります。最終日の出走順は前日までの成績によって決められ、オジエ選手が10番出走、パッドン選手が11番出走と路面コンディション的にはほぼ互角。最終ステージ直前までで僅差まで詰め寄っていたオジエ選手が優勝を狙っていたでしょうから、彼を振り切って勝利したのは驚きでした。ここ数年でもラトバラ選手以外に突き離せる人いませんでしたから、新しい時代を迎えたのだと感じました。

あとは今年新しくなったヒュンダイ i20 WRCのポテンシャルが高いことも証明され、開発に関わった方々も嬉しいと思います。でもこのマシン、来年の大幅なWRC規定変更で今年限りしか使えないんですよね。そこだけがちょっと心配。でもフォルクスワーゲンとの総合力の差は着実に縮まって来ています。

 

 

おわりに

優勝はできませんでしたが、オジエ選手はしっかり2位をキープし、チャンピオンシップリーダーの座はまだまだ安泰です。パッドン選手にはもっと頑張ってもらって年間総合優勝争いをもっと盛り上げてもらいたいですね。

世界ラリー選手権(WRC)第5戦、ラリー・ポルトガルは5月19日より開催です。

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