ラトバラ選手の接触事故から世界ラリー選手権(WRC)の安全性について考えてみる

2016年2月23日

wrc

1月21日から開催された世界ラリー選手権(WRC)の2016年シーズン開幕戦、ラリー・モンテカルロ。この伝統の一戦での最中、フォルクスワーゲン・モータースポーツに所属しているヤリ-マティ・ラトバラ選手の競技車両と観客との接触事故がありました。このことによる詳細と、ラリーの安全性について考えてみます。

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コースアウト直後に急いで戻ろうとしたラトバラさんの前に人が・・・

問題の事故はステージ11でのタイムアタック中に起こりました。フォルクスワーゲン・モータースポーツのコーナー外側の溝に落っこちてしまったラトバラ選手は急いでレースに復帰しようとした際、観客の1人と接触してしまいました。

ファンの方が撮影した映像はこちらで確認できます。

趣味はベランダから

 

接触に気づいたのか、気づかなかったのか

映像を見ると、接触には2つの要因があるのがわかります。

  1. エンジン部分を故障したのか、ボンネットから煙を噴き上げていた
  2. 接触した観客は、競技車両の前から避けようとせずしゃがみ込んでいたように見える

ラトバラ選手が気づかなかったと説明したのも嘘ではないように思えます。ただスチュワードと言われる審議委員からは、目の前にいる観客に気づいていたのではないかとの疑惑をかけられたようです。どちらの言い分が正しいのか判断は難しいですが、接触したのは事実。

 

ラトバラ選手への処分

接触事故を起こした観客からは何の連絡もないようですが、周囲の観客から彼は無事だっと報告があり、とりあえず大きな問題にはなりませんでした。

ラトバラ選手とコ・ドライバーのミーカ・アンティラ選手には、コースアウトから復帰の際には停車して周囲の確認があった点と、もし観客が事故に書き込まれていた場合にはWRC規定及びFIA国際競技ルールに従う必要があった点について処分が下され、今季1戦の出場停止(執行猶予付き)と5,000ユーロ(約62万円)の罰金が言い渡されました。

STEWARDS DECISION No.6

関連する条文はこのあたりです。かなりザックリな訳です。

WRC競技規定 40.4

競技者は、観客が物理的な損傷を受ける事故に巻き込まれた場合、競技車両を即時に停止し、規定 40.3.1に記載の通りに従わなければならない。

WRC競技規定 40.3.1

緊急の治療を要する事故発生時は、以下に従い行動しなければならない。

  • 緊急用のSOSスイッチを即座に作動すること。
  • 可能であれば、後続の車両やヘリコプターの支援に対し赤色のSOSサインを掲げること。
  • 競技者は、車両の位置より少なくとも50メートル以上手前のよく見える場所に、後続のドライバーへの警告のため三角表示板を設置すること。車両はコース上から外れること。

FIA国際競技ルール 12.1.1.c 罰則となる規則違反行為

任意の競争やモータースポーツ一般への不正行為、または損害を与える行為

 

観客側も参加者なので、それなりの意識が必要です

ラリー競技はサーキットコースではなく普段からいろんな人が使用している公道で行うレースです。コースギリギリまで近づいて、目の前を駆け抜ける疾走感をダイレクトに楽しめる一番身近なレースでもあります。

そのぶん危険も近くにあるので観客の側も意識しなければならない部分もあります。以前日本で開催された時は安全を考慮してコースと観客の距離が遠かったらしく、たしかに危険ではありませんが楽しさも半減してしまいます。

この辺のバランスが難しいところです。あんまり安全を重視すると、ただのサーキットで開催するのと変わらなくなってしまいますし、観客も事故責任の部分があるのを認識して楽しんでもらいたいですね。

最近では運営側が安全面にも配慮し、観客が多く走行が危険なコースのキャンセルがあったり、車両もドライバーの安全を考慮した規定が設けられ、死亡事故も少なくなりました。ガチガチに固めてしまうのではなく、競技者も参加者も含めてのイベントと捉え、続いていってもらいたいものです。

 

おわりに

今回は誰も怪我なく済んだようですが、多分一番ダメージを受けているのは事故を起こした本人であるラトバラ選手だと思います。いつまでも引きずることなく立ち直って、元気な姿を見せてくれるのがファンとしては一番嬉しいです。

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