毎年1月から始まるWRCイベントも全13戦を終え、ようやく短い休息に入りました。実際は有望なドライバーの奪い合い、来季を戦うマシンの準備、そして規定が大きく変更となる2017年に向けてのニューマシンの開発と関係者は休む暇もないでしょうけど。
ファンにとっては今年の振り返りと来季の予習期間になります。そこで今シースンのWRCレギュラードライバーたちを勝手に採点してみました。実は一番大変なコ・ドライバーさんと共に個人的な意見で評価していきます。
セバスチャン・オジエ選手/ジュリアン・イングラシア選手
チーム:フォルクスワーゲン・モータースポーツ
評価★★★★★(5/5)
フォルクスワーゲンが2013年からWRCに参戦して以来、今年で年間総合優勝3連覇。全13戦中8戦で勝利し、開幕戦で優勝した後は最後まで誰にも首位の座を譲りませんでした。速いうえにミスも少ないので、一度トップに立ってしまうと勝負が決まったかな?って思って諦めてしまうほど。
チャンピオンシップの成績によって出走順位が決まる今の規定では常に先頭走者として路面のお掃除役を任せられることになるんですが、そのハンデがかえって彼の走りを進化させ、ますます強さに磨きがかかってしまいました。
誰よりも勝利に対して執念を燃やすタイプで、時には批判される行動を起こしたりしてアンチも多かったりしますが、彼の強さを疑う人は存在しないでしょう。コ・ドライバーのジュリアン・イングラシア選手も完璧主義者で、今年1年を振り返ってミスは1つだけ、来年は0が目標だと宣言しました。こりゃあ来年も隙がなさそうですね。
ヤリマティ・ラトバラ選手/ミーカ・アンティラ選手
チーム:フォルクスワーゲン・モータースポーツ
評価★★★★☆(4/5)
2008年のスウェーデンでWRC最年少優勝記録を打ち立てたラトバラ選手。どんな状況もインタビューに真摯に答えてくれるナイスガイであり、オジエ選手に匹敵する速さを持っていますが、勝負どころでのミスが多くなかなか年間チャンピオンを手にすることができません。
今年はもしかして?と期待していたのですが、前半で早速3戦連続リタイヤとなり早々にチャンピオンシップ争いから脱落。そして諦めて気持ちを切り替えたのか後半戦は5戦連続で表彰台に上がる活躍を見せ、あぁ〜この走りが最初からできていればとファンの心を揺さぶってくれました。
最終戦ではちょうどクルマ1台が入る大きさの窪みにスッポリとハマりラトバラ選手らしさを見せてくれましたが、来季はそんなサービスいらないからチャンピオンシップタイトルを獲るために頑張ってほしいです。
今年のバトルで一番記憶に残っているのはラリー・フィンランド、1000湖ラリーです。セバスチャン・オジェ選手との一騎打ちで勝利したこの戦い、負けず嫌いのオジエ選手が追いつけないと漏らしたのはこの1戦だけでした。
アンドレアス・ミケルセン選手/オーラ・フローネ選手
チーム:フォルクスワーゲン・モータースポーツII
評価★★★★☆(4/5)
常に安定した走りを見せすでに表彰台の常連となったミケルセン選手。2年連続で年間チャンピオンシップ3位と、次世代のWRCを担い手としての評価も高くなってきました。
そして今年は今までで最高の瞬間が訪れました。ラリー・スペインで暫定2位でフィニッシュ後、最終走者のオジエ選手のゴールを待っていた彼に届いたのはオジエ選手がクラッシュしてリタイヤという報告でした。その瞬間、初優勝を手にしたのです。あまりに突然ののことに状況を理解できなかったミケルセン選手、コ・ドライバーのオーラ・フローネ選手におめでとうと言われて初めて自分が優勝したのだと気付いたそうです。
今までもずっといつ優勝してもおかしくないと言われて続けてきました。オジエ選手の自滅によっての結果ではありますが、これでまた1つ未来への大きなステップとなったでしょう。
心配なのは、排気ガス規制問題の影響でチームを減らすかもしれないとの噂です。せっかく芽吹いたチャンピオン候補を追い出すのはやめてー!
マッズ・オストベルグ選手/ヨナス・アンダーソン選手
チーム:シトロエン・トタル・アブダビWRT
評価★★★☆☆(3/5)
安定感でミケルセン選手に匹敵するのはオストベルグ選手です。コース下見中の事故で欠場となってしまったオーストラリアを除けば全戦でポイントを獲得しているという脅威の安定感。クルマに乗っていない時は料理が好きという意外な一面も持っています。
ただ、一発の速さが出すことができずフォルクスワーゲン勢を脅かすにはもう一歩届きませんでした。来季の、そして複数年契約を獲得するため後半戦も着実にポイントを獲得していましたが、なんとシトロエンが2016年はWRCに参戦しないことになってしまい、願いは叶わず。
個人的にはマシンとの相性が悪いのか乗りにくそうな感じがしちゃうんですよね。来季は初優勝したときのチーム、フォードMスポーツに移籍になるようなので、新規一転ニューマシンで暴れてもらいたいです。
クリス・ミーク選手/ポール・ネイグル選手
チーム:シトロエン・トタル・アブダビWRT
評価★★★★☆(4/5)
伝説のイギリス人ドライバー、コリン・マクレーさんにその才能を見出され、WRCという最高峰にまで昇りつめたものの、ようやく掴んだミニWRCのシートをチーム撤退により失うなど、ここまで来るのにいろいろ辛いことも経験してきた苦労人です。
ドライビングスタイルは、安定感がちょっと足りないですが速さならトップレベル。今季はアルゼンチン戦でフォルクスワーゲン勢不調の隙をついて念願の初優勝を成し遂げました。しかしその後数戦にわたりミスが続き、チーム代表のイブ・マトンさんから冷たい視線を送られることに。後半に入ると落ち着きを取り戻し、最終戦でも2位に入るなどベテランの意地と才能をきっちり記憶と記録に残す活躍を見せてくれました。
成績だけ見ると評価3でもいいんですが、初優勝と後半の速さを考慮して4にしました。今度はシトロエンも一時撤退ということでまた流浪の身に。フォルクスワーゲン勢と互角に戦えた唯一のドライバーですから声はかかると思うんですが、今度はどのチームに流れていってしまうんでしょうか。トヨタさん、2017年デビューに向けてミークさん雇ってみませんか?
おわりに
ヒュンダイ、そしてフォードMスポーツ、プライベーターチームもきになるところですが、長くなってしまったので次回に続きます。
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