シリアの難民はなぜヨーロッパに向かうのかという疑問について考える

2015年11月21日

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ISIS(イスラム国)の活動が今まで以上に激しくなってきました、11月12日にレバノンの首都ベイルートで発生した連続自爆テロでは43人が死亡、240人以上が負傷されたと報じられ、翌日フランスのパリで起こった同時多発テロでは129名以上が犠牲となり、352人以上の負傷者が出ました。

容疑者には難民としてフランスに入国したと思われる人物の挙げられており、これでヨーロッパ各国も難民の受け入れに対する態度が変わってしまう可能性があります。

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難民はなぜヨーロッパに向かうのか

しかし、なぜ彼らはわざわざ遠いヨーロッパに向かうのでしょうか。例えばトルコには難民キャンプがあり200万人を超える人たちが暮らしています。トルコ人はほぼイスラム教ですし、これだけ同郷の人がいれば心強いような気もします。でもそこには悲しい現実があるようです。

あくまでも”ゲスト”扱い

シリアの内戦が始まったのは2011年。その頃からトルコは逃げ延びてくる難民の受け入れを始めました。しかし、この処置はあくまでも一時的な保護策であってトルコ国内での生活が保障される権利を与えられてはいません。

キャンプ設備は他国の対応に比べて整っていると言われていますが、実際は政府が運営しているキャンプで暮らせているのは約200万人の難民のうち1割程度の約20万人ほどで、残りの多くの人たちには安住できる場所がありません。支援のための出費も膨らみ、満足なサービスを全ての人に行き渡らせるにはすでに限界を超えた状況になっています。

4年経っても終わらない内戦は生まれた国に帰る希望を奪い、ここにいる限りゲスト扱いされ続けるとあっては、これからの未来を別の場所に求めるしかないのです。

働く権利を求めて

近年経済成長が続いていたトルコ国内では最近になって成長率が鈍化し、これまで国を牽引してきた政権の基盤が揺らぎ始めています。先日の総選挙では与党の公正発展党(AKP)が勝利し政権交代という大きな変化は一旦遠のきましたが、失業率の上昇や首都アンカラでのISIS(イスラム国)によるテロ自爆テロが発生したりと不穏な空気はくすぶり続けています。

その環境の中でゲスト扱いの難民には”働く権利”も与えられていません。政府のキャンプに入れれた人はとりあえず暮らせるので良いですが、そうでなければ自分たちでなんとかするしかありません。まともな仕事がなかなか回ってこないので不法で安い賃金の仕事をこなすしかなくなってしまうのですが、それだけでは家族の生活を支えるのは厳しく別の場所を探すことになるのです。

世代喪失の危機

トルコにい続けられない一番の理由として、教育の問題があります。シリア難民の半分以上が18歳未満だと言われ、政府のキャンプの外で生活する人たちのうち14パーセントしか教育を受けられていないのです。

言語の違いも教育においては大きな障害となっています。2014年からはトルコ人以外の子供たちも教育を受けられるよう法律が改正されましたが、シリアで使われているアラビア語による教育カリキュラムはありません。

幸運にも内戦が早く収縮し国に戻れたとしても、今度は国を支える教育がゴッソリと失われてしまっていては立て直しもままならなくなってしまいます。国を離れるときに国の歴史や文化についての書物や学校の教科書とかを持っていくなんてことないでしょうから、そういった資料の喪失というのも心配になります。

 

おわりに

相次ぐテロ事件に難民問題を結びつけて受け入れを拒否しようという動きも強くなってきました。でもよく考えると数多くの人がヨーロッパに流れる状況をISISが利用してるのであって、むしろ難民たちも利用された被害者でもあります。

そしてこれから寒い冬がやってきます。着の身着のままで国を出た人たちにとっては、また新たな問題が待ち構えているわけです。もちろん困ってる人ならみんな受け入れちゃえ!という簡単な問題ではありませんが、少しでも安心な生活を送れるような方法はないのでしょうか。

 

参考にさせていただいたサイト

トルコでの難民登録者数(国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)さん)

Why do Syrians want to leave Turkey?(BBCニュースさん)

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