WRC(世界ラリー選手権)2015 第10戦 ラリーオーストラリアの感想と結果です

2015年9月12日

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WRC(世界ラリー選手権) 2015 第10戦が開幕しました。場所はオーストラリア、シドニーの北にあるコフスハーバーという海沿いの観光都市で、金曜から日曜の3日間にわたり開催されます。結果次第ではセバスチャン・オジェ選手の年間総合優勝が確定する重要なイベントでもあります。

「長いコーナーや、大きな木や、毒ヘビにも気をつけなくちゃね」

レース前はこんな冗談を飛ばしていたシトロエンのマッズ・オストベルグ選手でしたが、コースを下見に出かけた際にトラックと衝突事故を起こして肋骨を折るという怪我をしたため欠場、代わりにステファン・ルフェーブル選手が参戦することになりました。突然呼ばれてオーストラリアに渡り、いきなり乗ったことのないWRカーでレースに出るというハードな条件ですが、せっかくのチャンスなので最後まで走ってたくさん経験を積んでもらいたいです。

余談ですが、今なら1ユーロ(約140円)で1ヶ月、このオーストラリア戦と次のフランス戦のライブステージや合計数時間にも及ぶハイライト、過去の動画などを楽しむことができます。興味のある方はこちらからどうぞ。

 

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DAY1レース概況

DAY1は8ステージ125.12kmの、海岸から少し離れて木々が多い道のりを走ります。

今回のレースはグラベルと呼ばれる、舗装されていない土と砂利の滑りやすい路面を主に走ることになります。先に走ったクルマが路面の掃除役となり、後に走るほうが有利なコース。ここまでのチャンピオンシップ成績順が出走順となるため、先頭を走るセバスチャン・オジェ選手は苦しい立場に立たされました。

まず飛び出したのはヒュンダイのダニ・ソルド選手。今回はセカンドチームからの参加となりましたが、意地を見せて続けざまにトップタイムを叩き出します。本人も「パーフェクトだったよ」と確かな手応えを感じていたようです。

お隣ニュージーランド出身ということもあって地元パワーを受けられるハイデン・パドン選手はこのイベントで一時的にメインチームに繰り上がりましたが、この日を通してソルド選手には及びませんでした。

SS2: Sordo sets early pace

 

中盤に入るとシトロエンのクリス・ミーク選手がトップの座を奪います。本人曰く、タイヤ選択を変えてからいいリズムを掴めたとのこと。この人はミスが多いので成績自体はあまり良くありませんが、走りきればいつだって表彰台に上にいてもおかしくない速さと才能を持っています。

一方リードを奪われたソルド選手はエンジンストールを起こすなどクルマに問題を抱えている様子。それでもパドン選手やフォルクスワーゲン勢のタイムが伸びてこないので、なんとか上位に残りました。

SS4: Meeke ousts Sordo to lead

 

後半に入り、徐々に地力に勝るフォルクスワーゲン勢が浮上してきました。午前はアタックする気力が足りなかったとインタビューで答えていたヤリマティ・ラトバラ選手が徐々に調子を上げトップとの差を詰めていきます。セバスチャン・オジェ選手、アンドレアス・ミケルセン選手らも路面の掃除役に苦しみながらもトップから離されることなく追走します。

そしてこの日の最終ステージでは、ついにラトバラ選手が首位に浮上。風がなくなってしまったせいで前のクルマが巻き上げた砂埃が消えず、先に走ったほうが有利になる展開に変わりました。せっかくここまでトップ争いを演じてきたミーク選手やソルド選手は前が見えずマシンを一旦停止するほどの影響を受けてしまいました。「ボンネットより先が見えなくなってしまったよ」とミーク選手がインタビューに答えていました。

SS6: Latvala hits top gear
Latvala in front in Australia

 

DAY1暫定結果

DAY1が終了した時点でラトバラ選手が首位。同じフォルクスワーゲンのチームメイト、セバスチャン・オジェ選手とアンドレアス・ミケルセン選手が3、4位につけました。シトロエンのミーク選手は大健闘をみせて2位に割り込み、持前の速さを発揮しました。

5位から7位にはヒュンダイ勢が、ダニ・ソルド選手、ハイデン・パドン選手、ティエリー・ヌービル選手の順に並んでいます。その後ろにはフォードのオット・タナク選手、エルフィン・エヴァンス選手が続きました。パンクやスピンなどで2人ともリズムを掴めない様子です。

マッズ。オストベルグ選手の負傷により急きょ参戦となったステファン・ルフェーブル選手は最終ステージ残り数キロのところでサスペンションが壊れてしまいリタイヤとやってしまいました。9位となかなかいい順位だったんですが、残念です。でもクルマを修理して、DAY2も走ることができるとのこと。最後まで走りきってもらいたいです。

 

DAY2レース概況

「今年はやらないってば!」

前日好調だったシトロエンのクリス・ミーク選手は、去年のDAY2でコースからはみ出し過ぎて走ってしまい1分のペナルティを受けました。インタビューでその話をされて苦笑い。スタート前にリラックスした表情を見せてくれました。

DAY2は4ステージ、本イベント最長のコースを含む117.48kmです。序盤は昨日の良い調子が続いているミーク選手がリードします。しかし後半になるにつれフォルクスワーゲンの3台が調子を上げ、最終ステージ前には4位までが約7秒以内に収まる大混戦になりました。地元ニュージーランドから多くの人が応援に駆けつけてきてくれたことでヒュンダイのハイデン・パドン選手もスピードを上げ、少し離されているものの5位まで順位を上げてきました。

SS10: Meeke leads as Paddon flies
SS11: Ogier turns up pressure on Meeke

 

そして迎えた夕暮れ。陽が暮れた後の暗闇の中を走る最終ステージはミーク選手にとって後味の悪い1日の終わりとなりました。出走が始まる頃には風が止み、クルマが舞い上げた埃がいつまでも消えません。出走間隔が3分から5分に延長されましたが充分ではなかったようです。先に走るのはフォルクスワーゲン勢。後続になればなるほど不利になるという状況の中で勝負に挑んだミーク選手でしたが、暗闇と埃の舞う中では思うように速く走れず、この日ここまで守り続けたトップの座を奪われてしまいます。レース終了後、インタビューのマイクに一言も発せないほどお怒りのミーク選手はオフィシャルに抗議。ヒュンダイのダニ・ソルド選手も「がっつりタイムロスしたよ。ガッカリだ」と答えており他の選手からも不評でした。来年の開催にも影響を与えることになるかもしれません。

Ogier leads Australia thriller

 

DAY2暫定結果

DAY2終了時で、フォルクスワーゲンのセバスチャン・オジェ選手が首位に立ちました。シトロエンのクリス・ミーク選手は惜しくも2位。3位、4位にはフォルクスワーゲンのヤリマティ・ラトバラ選手、アンドレアス・ミケルセン選手が入りました。

ヒュンダイのハイデン・パドン選手が追い上げを見せ5位に。こちらも調子を上げてきたフォードのオット・タナク選手を挟んで、ティエリー・ヌービル選手、ダニ・ソルド選手のヒュンダイ勢が並びます。ヌービル選手はコース沿いの民家の前にある郵便箱スレスレを走ったりと頑張っていたのですがタイムには繋がらず7位へと沈んでいます。ソルド選手は初日の好調を維持できずここまで落ちてしまいました。リアブレーキが全然効かないと漏らしていますが、明日の朝までに治るんでしょうか?

 

DAY3レース概況

最終日のDAY3は5ステージ、距離は68.76kmと短く一度のミスが致命的になります。ここまで先頭走者で路面の掃除役を任されていたフォルクスワーゲンのセバスチャン・オジェ選手ですが、WRC最終日は前日までの成績を反対にした順番で走るというなんだかわかりにくい規定によって、ようやその任を解かれました。後続になればなるほど有利なコースで、トップ3はシトロエンのミーク選手、続いてフォルクスワーゲンのヤリマティ・ラトバラ選手、そしてオジェ選手の順でのスタートとなりました。

レースが始まると、有利な条件を得たフォルクスワーゲンの2人が優勝目指してラストスパート。ミーク選手があっという間に置き去りにされてしまいます。しかも背後からはこちらもフォルクスワーゲンのアンドレアス・ミケルセン選手が迫ってきます。オジェ選手から徐々に離されていくラトバラ選手は、ここでマシンセットアップを変更するという賭けに出ますが不発に終わり、残された短い距離での大逆転は叶いませんでした。

 

最終日結果

優勝はフォルクスワーゲンのセバスチャン・オジェ選手。ここで年間総合優勝も決まりました。2位のチームメイト、ヤリマティ・ラトバラ選手との2人による1-2フィニッシュは3戦連続、今季5度目となります。

ミケルセン選手は、決められた場所への集合時間に1分遅れたため10秒のペナルティを受けて追撃も虚しく4位。ミーク選手はなんとか逃げ切ることができました。ラリー競技では各ステージ間の移動もレース車両で行います。なので次はここに何時までに行ってねといった指示を受け、その時間に遅れるとペナルティを受けてしまうんですね。ちゃんと交通ルールも守ったうえでたどり着けるようなスケジュールにはなっていますが、途中でタイヤ交換や応急処置をしたり、道 に迷ってしまったりするとせっかくステージでいいタイムを出しても残念なことになります。

5位はヒュンダイのハイデン・パドン選手。今回はメインチームでの参戦でしっかりポイントを稼いで役目を果たすことができました。チームメイトのティエリー・ヌービル選手は7位、ソルド選手が8位だったので、良いアピールにもなったと思います。

フォード勢は目立った活躍ができず、オット・タナク選手が6位、エルフィン・エヴァンス選手が9位と低迷しました。2人ともまだオーストラリアの経験が浅いので馴染めなかったようです。このレースで得たものが来年に繋がるといいですね。

 

今シーズンのドライバー順位等は以下にあります。

2015 FIA Drivers´ Standings

 

次戦のWRC 2015 第11戦 ラリー・フランスは10月1日から開催されます。

 

ビデオクリップ

WRC 2015 第10戦 オーストラリア SS1-4

 

WRC 2015 第10戦 オーストラリア SS5-8

 

WRC 2015 第10戦 オーストラリア SS9-10

 

WRC 2015 第10戦 オーストラリア SS11

 

WRC 2015 第10戦 オーストラリア SS12-15

 

WRC 2015 第10戦 オーストラリア SS17

 

WRC 2015 第10戦 オーストラリア レビュー

 

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